死にに関連した俳句の例をまとめました。
死にを含む俳句例
僧朝顔幾死に返る法の松/芭蕉
死にに秋風くらき眼せり/原裕
尽く蛍死にけり籠の中/正岡子規
死に方の喉突く話更衣/鈴木鷹夫
父も母も家にて死にき吊忍/岡本眸
漁夫の死に人屯せり朝曇/吉野俊二
人の死に心動かず秋風に/相馬遷子
兵の死に砂一握を奉る/宇多喜代子
痩せはてゝ死に力なや冬の蝿/虚子
死に真似の死に到るあり/永田耕衣
冬生に家なし死に墓なし/加藤楸邨
死に遠く飢ゑも爽やか霰うつ/楸邨
生き死にを俳諧の種籠枕/長谷川櫂
玉虫は死にたり光失はず/下村梅子
死にもせぬ旅寝の果よ秋の暮/芭蕉
狸死に狐留守なり秋の風/正岡子規
犬死にき実生つばきに初蕾/及川貞
初夢や金も拾はず死にもせず/漱石
勿忘草人は恋にも死ににけり/林翔
山よりも静か母の死に顔/橋本夢道
俳句例:21句目~
青嵐死にゆく人の力かな/内田美紗
山鳩の死に緑さす山の樹々/三谷昭
わが夢の中にて死にし山鳩よ/林桂
露の土父も教師として死にき/林翔
雪柳生死に右往左往して/寺井谷子
死に水や風に応えて散る桜/源鬼彦
桔梗や死に一言の暇なし/長谷川櫂
一匹が死に一匹の金玉/すずき春雪
万両や万両たりし妻死にし/森澄雄
塩間に鮎死にかゝる時雨かな/如行
肉親の死に音もなき鰯雲/松村蒼石
母死にしその夜や雛納めけり/岸田稚
兜虫死にたる脚が脚を抱き/加藤楸邨
寒曉の青年の死に隣りせり/山本歩禅
死にしと師走のうそや望月夜/路/通
死に際の台詞を思ふ朧かな/星野明世
死にたしと師走のうそや望月夜/路通
冬の蝿死にたる蝿の上歩む/大隅徳保
死に近き妻に団扇の風送る/石倉啓補
死に至る時間蕪を煮る時間/永島靖子
俳句例:41句目~
死に到るまで抱擁の蟇の数/堀口星眠
窃きこの水の死にたる狩の径/齋藤玄
屍より死に近くあり夏の河/高澤晶子
鼬罠孫に伝へて死にゆけり/高木公園
空を出て死にたる鳥や薄氷/永田耕衣
食拒み死にゆく母か白木槿/平松鉦重
短夜のあはれ一遍死にの助/石塚友二
白桃や死に損ひし妻が笑む/鈴木鷹夫
人の死に菊と扉の多い家/宇多喜代子
死にかけし春の風邪を物語/下村槐太
冬鴎生に家なし死に墓なし/加藤秋邨
友の死に日暮るる路と花杏/大井雅人
人は死に人は鶲とあそびけり/斎藤玄
岬端の笹鳴死にそこねては/齋藤愼爾
友垣はみな死にたれど祭かな/松崎豊
死にそびれ絲遊はいと遊ぶかな/苑子
天に天狼日本狼死に絶えし/島世衣子
玉虫の死にからびたる冬畳/飯田蛇笏
無名死に鷺佇つことの幾夏か/斎藤玄
走り根の傍へが花の死に処/高澤良一
俳句例:61句目~
死にぎわは馬となりたる秋桜/岬千恵
孵化場に死に鴉吊る春疾風/石川文子
満月の雪のこの底焦れ死に/榎本好宏
枯葉舞ふ死にも悦楽あるごとく/林翔
貝寄風や若く死にたる弟に/榎本好宏
延若も死にたる春の炬燵かな/龍岡晋
蟹死にて仰向く海の底の墓/西東三鬼
明易や天涯へ星死ににゆく/亀田憲壱
蝶蜂も死にて花野の終る時/細見綾子
蝶燕母も来給ふ死に得んや/石田波郷
幾万の蝉死に絶えて風の音/長谷川櫂
落葉風死に遅れしは墓洗ふ/小林康治
水捨てる少女よ金死にたるか/北光星
草の花生にも死にも水使う/保尾胖子
恋死にし松井須磨子の花筐/西本一都
母死にて母に貰ひし雛伏目/品川鈴子
草の花人の死にしは昔なり/正岡子規
老衰といふ死に方や冬の蠅/富安風生
純白の砂漠に死にし黄金虫/仙田洋子
死ににゆく猫に真青の薄原/加藤秋邨
俳句例:81句目~
紅梅や死にゆく鳥の翅広し/柿本多映
喋るだけ死に近づくよ青田の父/山口伸
死にに行く対の小袖や夏芝居/千手和子
死にはてゝ五体隈なき月明り/中川宋淵
四月馬鹿人の死に嘘なかりけり/安住敦
死にゆくに一度怪訝な眼せり/遠藤進夫
堂堂と死にそびれたり初明り/山崎十生
死に下手の鈴虫にまた胡瓜買ふ/奥静代
壮年の死にざまに似て兜虫/福田甲子雄
死に侍るは誰か鵺かや春の闇/中村苑子
うつ向きに死にし烏の囮かな/桜井土音
夏死にて川端茅舎すがすがし/下村槐太
死に場所を求めし猫の大銀河/対馬康子
おのが死に一驚掌拡げボス蛙/香西照雄
死に居るを魔の高笑ふ金かな/尾崎迷堂
死に後れたる夫の逝き盆の月/河村八重
夜の森や一寸死にたく冬不運/細谷源二
死に急ぐなと蛍に水吹いて/鈴木真砂女
死に損の狼煙あげたる凌霄花/坂間恒子
死に方は天にまかせて花明り/品川鈴子