俳句例:201句目～
春暁の夢匂はせつ花活くる/金尾梅の門
春浅き牡丹活ける妻よ茶焙は/渡辺水巴
月の供華活けつつ向ふ庭は雨/皆吉爽雨
水仙を徳利に活けて太宰の墓/沢木蓉子
桔梗活けて宝生流の指南かな/夏目漱石
桔梗活けて屏風は狩野の繋馬/正岡子規
梅一輪活けて白紙の海がある/対馬康子
梅活けし青磁の瓶や大三十日/正岡子規
梅活けて君待つ庵の大三十日/正岡子規
梅活けて君待つ庵や大三十日/正岡子規
大ぶりに活けて華やぐ桃の花/渡辺千鶴子
廊下ゆくまた芍薬の活けてある/岸本尚毅
活けられし海芋正面ありにけり/稲畑汀子
桃の花活けこぼしたる蕾かな/高橋淡路女
桃の花たつぷり活けて忌を修す/角/裕子
活けられて寒薔薇真紅なる呪詛/嶋田麻紀
お祝いの活けたる梅の枝が邪魔/池田澄子
芍薬を活く辺の櫛笥ややくもる/宮武寒々
きさらぎや水より淡き花活けて/朝倉和江
きさらぎや葉牡丹活けて謡会/大橋櫻坡子
俳句例:221句目～
芒活けそんな気分になつてをり/鈴木鷹夫
きのふ活けて今日蕣の花もなし/正岡子規
くらがりに活けしあやめや時鳥/下村槐太
水仙を活けて鼓をかざりけり/松本たかし
水引草活けて誰待つこともなし/澤村昭代
すずらん活け癩一生の乳房抱く/上山茂子
花活けて面テさやかや炭をつぐ/増田龍雨
花瓶や活けかへられて秋の草/岡本癖三酔
花菖蒲活くる板間に正座して/上野さち子
花菖蒲活けて真夜きく水の音/福永みち子
ばらの花活けバラ苗の販売所/溝口みさを
花菖蒲活けぬつぶさに水つかひ/朝倉和江
びろうどの花活け逓吏春の風邪/宮武寒々
花菜活け一ルクスほど明るくす/松下秀俊
水仙を活けつつ湖の荒れを言ふ/鈴木鷹夫
菊低く活けて夕日のさすままに/岸本尚毅
菊月夜昼のつづきの花を活く/古賀まり子
活けんとす梅こぼれけり維摩経/正岡子規
桃活けてその一日を軽くせり/山田みづえ
木の芽活けて壁に青年の黒帽子/古沢太穂
俳句例:241句目～
菊活けて学校がまねく狂言師/能村登四郎
菊活けて据ゆれば客間定まれり/島田青峰
有るだけの花を活けたる寝正月/藤田節子
曼珠沙華活けて独りの闇ひらく/上川謙市
曼珠沙華活けてあるのも久米の寺/森白象
菊活けて赤貧といふにもあらず/西島麥南
菊活けて静に住めり帰化市民/左右木韋城
菊活ける妹の指先ひそかに勁し/桜井博道
萱活けて夕日をあかく壁に受く/村上冬燕
人待つと連翹活けて湯を沸かす/下村槐太
落柿舎の釣瓶に活けし草の花/野上山椒子
文化の日雁金色の蘆花を活く/百合山羽公
侘助を活けてめでたき話など/沖浦たか子
僧の書あり瓶に活けたる秋の花/正岡子規
葉蘭活けて春行くまゝのお木像/渡辺水巴
冬菊を活け老いざまを慈しむ/殿村菟絲子
冬薔薇活く鋭き棘を水に沈め/山口波津女
冷水をしたたか浴びせ躑躅活け/杉田久女
初菊を活けて朝餉の豊かなり/川村はるか
受験子へ見守るのみの花活ける/秋山愛子
俳句例:261句目～
蒲活けてあり涼しさの乱れなし/宮津昭彦
壺黒きに活けて高野の高すすき/茂里正治
松過ぎの水仙さびし木瓜活けよ/永井龍男
敬老の日の菊活けてくれにけり/村上母人
蚤ふえし家に薊を活けにけり/百合山羽公
夜更なり身の匂ふまで菊活けて/朝倉和江
活け初めや長き袂のおきどころ/川合初子
大年の花活け終へし手のほてり/朝倉和江
大輪の菊活けて死をみつめをり/中川宋淵
奔放に活けてアネモネ江戸切子/橋本瑞枝
手の中に活けてより挿す秋の草/朝倉和江
通草活け午後の日ざしに古刀展/宮武寒々
寄せ活けて句読点なる吾亦紅/大森光栄子
寒椿活くるこの手に二十歳待つ/山岡季郷
牡丹を活けておくれし夕餉かな/杉田久女
極楽鳥花ありつたけ活け年迎ふ/松村多美
活け直し六日の床を新たにす/鵜飼濃尾女
野の揺れをそのまま活けて秋桜/後藤渓秋
活け舟をのり越す春の夜汐かな/高田蝶衣
野の花をたつぷり活けて石鼎忌/深川知子
俳句例:281句目～
野の草を活けてすなはち秋草図/鈴木節子
活けあげし芒に夜風おのづから/朝倉和江
犠牲多き戦果や菊を活け足らず/渡邊水巴
猫じやらし野菊と活けて十三夜/遠藤梧逸
活け花の桜ほんものパチンコ店/右城暮石
椿が咲きましたと活けに来た妻/北原白秋
野ぶだうを活けて籠売る大原路/巽恵津子
野菊活け遺影を旅にあるごとく/宮津昭彦
金盞花活けて日あたる父祖の墓/栗山妙子
活け込みて卓上秋の野辺とせり/高澤良一
鉄砲百合活けて真面目に話する/滝井孝作
桔梗活けられしか依然不安にて/下村槐太
庭に見し岩菲の色も活けらるる/稲畑汀子
鉄線を活けて首筋よみがへる/小檜山繁子
幕間に白膠木紅葉を活けもして/竹田小時
師の萩の白きを活けて無月なる/青木重行
白百合を活けて久しき湯治かな/赤木格堂
母子草一束ねして活けられし/寺岡小夜子
百合さはに活ける慣はし一忌日/川口咲子
島の著莪活けて茶店の富士見亭/高澤良一
