泣くに関連した俳句の例をまとめました。
泣くを含む俳句例
時鳥雨の裏店女泣く/正岡子規
春昼や法廷に泣く人の声/原石鼎
春嵐泣ぐせ病女隠れ泣く/岸田稚
泣く声に似て風花の煙突/飴山實
狂ひ泣く童女光れり藪枯し/原裕
勾当の身を泣く宿や暮の秋/几董
旧里や臍の緒に泣く年の暮/芭蕉
袖かけて子供の泣くや花茨/五明
泣くごとく渓流に燈を冬山家/林火
女泣く風垣の内われ知らず/岸田稚
新涼の泣く力こそ赤ん坊/廣瀬直人
春寒や牛粛として車泣く/正岡子規
蝶々や泣くこと多き右大臣/龍岡晋
大寒や畳を拭けば畳泣く/辻田克巳
秋の蝉藤樹脱藩像に泣く/西本一都
鶏頭や扉叩いて子供泣く/岸本尚毅
赤子泣く眞宗寺や冬の月/正岡子規
赤子泣く家を覗きて雪女郎/石嶌岳
墨付し行燈を泣くきり～す/越人/
城跡を泣く人誰そやそばの花/言水
俳句例:21句目～
亀鳴くや泣く子に机龍之介/仁平勝
緑蔭や泣く子に母の現れて/上村占
俤や姨ひとり泣く月の友/松尾芭蕉
蕨飯朝より宿の赤子泣く/河野南畦
秋の雨胡弓の糸に泣く夜かな/暁台
怒る泣く笑ふ神将年の暮/米澤治子
三の替泣く芝居とて隅田川/城一枝
男泣く外科病棟の旱星/伊丹三樹彦
泣くものの声みな透る夜の霜/朱鳥
橋の月誰人柱泣く夜かな/正岡子規
人の泣く仏足石や小六月/根本露皎
雲海を航く退屈さ赤子泣く/森田峠
泣く前の大きな瞳枯野星/今瀬剛一
雪の果泣くだけ泣きし女帰す/林火
掌に顔を隠して涅槃泣く/古屋秀雄
実に泣く傾城もありとしの暮/也有
九つか霜夜の鐘に泣く女/正岡子規
毛皮着て泣く人雨の北半球/高澤晶子
泣くことに人は飽きるよ油蝉/辻桃子
蘇鉄泣く後の月夜や妙国寺/赤木格堂
俳句例:41句目～
炎天に笑ふか泣くか汝大仏/鈴木鷹夫
火燵して小説に泣く女かな/羅蘇山人
花疲泣く子の電車また動く/中村汀女
舟君の泣くかほみゆる火鉢かな/蓼太
うそ寒の誠を泣くや小傾城/正岡子規
朝抜いて腹泣く視野や初嵐/石川桂郎
に聞けも泣くらむ春老けて/瀧井孝作
鬼灯や毒婦お伝の泣くような/仁平勝
木枕に惟然泣く夜の長さ哉/正岡子規
骨ほてり泣くは少年与一郎/湊楊一郎
枯木星仰ぎ男は素手で泣く/中村苑子
秋風やいつも子の泣く裏通り/石井保
かくれ泣く妻が肩見ゆ白薔薇/有働亨
かく多き人の情に泣く師走/相馬遷子
兄のこと話せば泣くや梅擬/高浜虚子
入営をひた泣く親の誠かな/大谷句佛
冬籠代り～に泣く子やな/楠目橙黄子
糸車泣くよに廻る夜寒かな/岡本松浜
春の夜を手足を使ひ赤子泣く/森澄雄
桑括る泣くも笑ふもこの村で/樋口紫
俳句例:61句目～
赤子泣く家の大きな鏡餅/鷲谷七菜子
凩やかつて袂は泣くために/今瀬剛一
筑波泣く顏や昨日の笑ひ顔/正岡子規
初鶏や丘に登りて人が泣く/桑原三郎
笑ふかに泣くかに雛の美しく/上野泰
雪女山泣くときは山を抱く/久保伸数
しのび泣く声のこもりし菊枕/檜紀代
集れば泣く子が一人麦の秋/右城暮石
稲光泣くため乳房離しけり/杉山蘇翠
泣く母も笑ふ其子も秋の風/正岡子規
名月を取てくれろと泣く子かな/一茶
汐干潟海月がさして泣く女/正岡子規
秋深き隣りに旅の赤児泣く/佐藤鬼房
秋晴れに笑み秋霖に泣く心/高木晴子
秋の風箸おきて妻何を泣くや/安住敦
梟や竹の木偶泣く裏に啼く/吉田紫乃
棒立ちで泣く男いる稲の花/塩野谷仁
秋に泣くふるき病や二日灸/松瀬青々
海に驟雨少年男泣きに泣く/本多草明
祝ぎ歌のごと赤子泣く初列車/所山花
俳句例:81句目～
子が泣くや満月過ぎの白磧/宮坂静生
真夜中に鋭く泣く子葦の角/山西雅子
橇馬の耳の動きに吹雪泣く/石川桂郎
白桃や泣く子の熱き後頭部/深谷栄子
赤子泣く乗合船の暑さかな/会津八一
寒夜史に泣くや燈火豆の如/羅蘇山人
小娘が足の血に泣く菫かな/正岡子規
山国の雪が泣くなり姫はじめ/岸田稚
ふるさとや臍の緒に泣く年の暮/芭蕉
男らの泣く大鹿の村歌舞伎/島貫和子
男の中の少年が泣く猫柳/増田まさみ
泣くならぬ泪流るる秋の暮/石塚友二
蝶落ぶや油切れしと泣く車/野村喜舟
春雪や極楽にまた泣く母か/今瀬剛一
生きて泣く籏こと給ふ年忘/石川桂郎
怒る渦泣く渦鳴門五月雨渦/橋本夢道
思ふさま泣くも女か螢籠/鈴木真砂女
月赭く劫火の妻が泣く二月/猿山木魂
蜩やガラスの中に泣く赤子/柿本多映
瓜の馬くれろくれろと泣く子哉/一茶
