耕しに関連した俳句の例をまとめました。
耕しを含む俳句例
西行のうた懐に耕せり/原裕
耕して天に到れる黍畑/石寒太
耕すやむかし右京の土の艶/炭太
耕人に牛慕ひ寄る夕埃/久米正雄
耕して高き欅を野に残す/大串章
耕してゴム手袋の型戻る/山崎篤
城壁の中を耕す茄子の花/日原傳
塔遠み耕す人と白蝶と/和田悟朗
耕すや鳥さへ啼かぬ山蔭に/蕪村
自ら人ある島や耕しぬ/志田素琴
崇ある塚とてふれず耕せり/蓼汀
耕して己の影を曝しけり/蔵千英
山畑の耕し浅き桜かな/小川軽舟
春耕や子に従順の老ふたり/呉龍
角伸びて春耕の牛帰るかな/耕衣
耕人に大空のあり鳶の輪/森川潔
耕すや七年農具とり合せ/加藤耕子
春耕の鍬の柄長し吉野人/細川加賀
我心牛の心と耕しぬ/安斎桜カイ子
耕牛の傾きながら憩ひをり/上野泰
俳句例:21句目~
散る桜眼中になく耕せり/川村紫陽
朝の耕し南へ下がる方十間/上林裕
百穴の人の子孫が耕しぬ/野村喜舟
鍬先に走る雷気を猶耕す/久米正雄
段畑のその天辺を耕せり/小西千年
耕せば土黒々と息をせる/倉田健一
立春や耕人になく廬の犢/飯田蛇笏
耕せば耕すほどに村廃れ/小林呼渓
赤人の富士を仰ぎて耕せり/大串章
耕せる土の六年深う深う/加藤耕子
春寒や耕人うたふ海の唄/飯田蛇笏
ゝと白く無帽の漢耕せる/京極杞陽
耕していちにち遠き父祖の墓/黛執
耕人の大きな秋の嚏かな/綾部仁喜
弱国に耕牛の尿溜り沁む/永田耕衣
耕すや天より汗を賜りて/細谷源二
耕してその夜の星座平なり/有働亨
耕耘機遠きは空を耕すや/辻田克巳
千年の昔のごとく耕せり/富安風生
半身に口山の影耕せる/中戸川朝人
俳句例:41句目~
耕人に雲雀が声の光撒く/関森勝夫
啄木の歌少し知り耕せり/太田土男
崖上の耕馬に海の裸の日/友岡子郷
耕人も来て上棟の餅拾ふ/篠田悦子
耕して一日風の中にゐる/香下寿外
地のかぎり耕人耕馬放たれし/遷子
天山を父とし荒土耕せる/大内君子
耕して崖に出る村野水仙/宮田正和
女手に埃をあげて耕せり/高濱年尾
茶の花に耕す人や雲低し/島田青峰
のけぞりに耕馬の向をかゆる人/元
耕人に傾き咲けり山ざくら/大串章
耕しの昔の鍬を以てせり/高野素十
鶯や耕しかけて十坪ほど/大野林火
耕人に信夫の鐘の鳴りにけり/青畝
鳥海山仰ぎ仰ぎて耕せり/佐藤サチ
山国の小石捨て~耕せり/沢木欣一
山畑を耕す木ぐつ修道女/佐藤一村
耕牛の角が沈みし麦の花/萩原麦草
山鼻の天辺に人耕せる/門坂波の穂
俳句例:61句目~
耕牛を先立て妻を従へて/板東玲史
耕馬烟りくさくて父を驚かす/子郷
いちじくの葉蔭に遠く耕せる/桂信子
耕牛の動き大地の動きけり/奥田麦穂
霧の田を女耕し八ケ岳の裾/西村公鳳
耕牛に木曽三川の照り昃り/清水亮次
耕牛に朝よりそだつ海の皺/横山白虹
耕牛に多摩の磧べ桐さけり/飯田蛇笏
遠目には耕しの鍬遅きかな/福永鳴風
耕すや大きな機械もて一人/浅利恵子
その上は雲の通ひ路耕せり/水口郁子
耕牛となり変りをり橇の牛/石塚友二
ひもすがら耕す漢の都あと/荒井正隆
やはらかく心耕せいわし雲/中嶋秀子
耕人の目に鳥海の雪かすむ/石井露月
耕人の左の足にすがれる子/京極杞陽
人も馬も斜めに立ちて耕せり/日原傳
傍らに須恵器の破片耕せり/西野敦子
蛇穴をいでて耕す日に新た/飯田蛇笏
囀りに馴れて耕す安さかな/島田青峰
俳句例:81句目~
城あるを山人誇る耕しつつ/大野林火
天上のやうに耕しはじめたる/松澤昭
天近し祈りのごとく耕せば/黒鳥一司
霙吸ふ笹根切つては耕せり/中島斌男
耕人に冬の霞のかかりけり/椎橋清翠
家墓の際まで耕し黒くせり/関森勝夫
雪嶺を見て耕して長命す/田川飛旅子
山口の小石捨て捨て耕せり/沢木欣一
山蔭に耕す音を立てにけり/野村喜舟
岬人は旧暦ぐらし耕せる/文挟夫佐恵
峡畑に寸の農婦となり耕す/西東三鬼
崖に見る沖浪ばかり耕せり/中島斌男
月山の雪振り向かず耕せり/吉田鴻司
牧人に耕人何をいさかへる/玉越琅々
耕して天にのぼるか対州馬/巌谷小波
春耕す農夫頑固に土守る/明才地禮子
天に雲土に耕人かがやけり/脇本星浪
点々と耕人の紺うすがすみ/川崎展宏
東にかくも透徹の月耕す音/金子兜太
星殖ゆる麦刈りし跡耕せば/茨木和生