時間に関連した俳句の例をまとめました。
時間を含む俳句例
綿虫や安静時間緩やかに/波郷
点滴の忘想時間花曇/星野石雀
一生の残り時間の夜干梅/岡本眸
凩の時間を炒め厨人/田川飛旅子
春昼の時間重たき崩れ畦/岡本眸
夕刊の届く時間よ花卯木/星野椿
美しき滞空時間花吹雪く/澤野弘
美しき春潮の航一時間/高野素十
同じ道同じ時間を穴惑/松山足羽
鳴る滝に余りし旅の一時間/原裕
療園に時間は澱む揚羽蝶/有働亨
蜻蛉生れ沼の時間が滞る/丹生千賀
搾乳の実演時間小鳥くる/佐藤千都
菊咲いて女に水と時間澄む/桂信子
この谷戸の日照時間烏瓜/高澤良一
沖を過ぐ時間の青し卒業す/寺井治
一時間先の約束鳰浮いて/橋本榮治
花杏旅の時間は先へひらけ/森澄雄
第二楽章夜濯の時間かな/折井紀衣
竜胆に流るる雲と白い時間/有働亨
俳句例:21句目~
死ぬまでの自由時間を夏の河/林桂
元日の闇に時間の充満す/中村正幸
初夢の滞空時間永きかな/能村研三
空間を時間素通り夜の秋/加藤静夫
脳の中時間が重し黄金虫/阿部完市
蓮池に青い時間が冬眠する/穴井太
聖樹点滅考へる時間欲し/津田清子
贅沢な一人の時間灯下親し/塙告冬
太陽が凍る時間の鷺の脚/河合凱夫
夏時間鐵の増産日々確か/筑紫磐井
糸長き蓑虫安静時間過ぐ/石田波郷
人間の遠薄氷の時間かな/永田耕衣
短日の茜に時間かけてをり/蔦三郎
螢来て時間を廻す水車/小泉八重子
參内の時間に近き雜煮哉/正岡子規
今年あと六時間なる飾売/門屋文月
水と時間と雪渓の底流れ/津田清子
冬山に時間ありけり点眼す/岡本眸
持ち時間ありと思へり初茜/森悠子
浮氷見てゐる自由時間かな/岡本眸
俳句例:41句目~
夏鴉地に蜿蜒と時間あり/和田悟朗
わが知らぬわが持時間芝青む/林翔
桜鰔旅の時間の余りけり/飯島晴子
病人に一人の時間水中花/稲畑汀子
猫柳緑金に炎え児の時間/佐藤鬼房
狐罠見て石仏の遠い時間/石崎素秋
水馬見て退屈をせぬ時間/松尾白汀
屠蘇酌みてまだ晩年の持時間/柊愁生
山雀や男時間の湯につかる/飯村弘海
算数の時間をよぎる鼬かな/武井清子
純白の時間とまらず花辛夷/藤岡筑邨
網戸より夕風心地よき時間/稲畑汀子
花に酔う退職までの数時間/対馬康子
ここまでは子供の時間盆踊/高澤良一
このごろの日照時間帰り花/後藤夜半
花氷時間とけつつありにけり/塙告冬
しばらくは白い時間の玉霰/清水径子
持て余す時間連翹真っ盛り/高澤良一
残されし二人の時間冬桜/佐々木節子
延年舞時間の凍る音すなり/矢島渚男
俳句例:61句目~
薄氷の少し流れし時間かな/正田稲洋
蚊遣香己の時間始まりぬ/藤井寿江子
蟻の列足元にある待ち時間/米山節子
行く春の時間を戻す写真展/鈴木楽庵
退屈な時間蓑虫垂れてをり/柴田奈美
ひかり飛ぶ時間のひまの更衣/岡本眸
透明な少女の時間花ミモザ/白澤良子
雨の谿飛ぶ蝶残り時間無し/津田清子
雪の舞時間に房のあるごとく/齋藤玄
石垣に撫子旅の妙な時間/加倉井秋を
死に至る時間蕪を煮る時間/永島靖子
み仏の時間をずらす羽抜鶏/栗林千津
短日の指を零るる時間かな/長山あや
青芝の日照時間尽きるまで/後藤夜半
風花の大勢小勢待つ時間/橋本多佳子
機械場の休み時間の葵かな/野村喜舟
鰯雲画布に時間の溜まりゆく/大串章
白桃や耕衣と共にせし時間/永島靖子
山の辺の柿山にゐし一時間/茨木和生
熱燗や二時間前は阿弥陀堂/鈴木鷹夫
俳句例:81句目~
化粧する私の時間水中花/矢野佐恵子
点滴の時間の端にわが子雀/林とよ子
一日の眠き時間よ亀の鳴く/稲畑汀子
一時間ほど一人旅枯河原/高桑婦美子
一泳ぎせり鍼灸の待ち時間/茨木和生
持ち時間使い果せり水中花/福原栄子
三椏に日照時間伸びて来し/高澤良一
不惑とうに過ぎ竜胆の時間/石田順久
炎天を駆けて降園時間なり/対馬康子
今すべて静止の時間春の昼/池田君江
伸び縮む時間たのしや冬桜/矢島渚男
体内に時間とどまる飾り臼/永原三郎
何急ぐ心もなきに夏時間/殿村莵絲子
滝の時間女身の時間霧を生み/森黄耿
持時間盗まれやすし鳥雲に/手塚美佐
海峡のはげしき時間桃の花/親谷道子
公園は雀の時間あたたかし/内田雪泉
兵士眠る街中に鳥棲む時間/阿部完市
流氷の白き時間が軋むなり/倉田素香
冬薔薇ふたりに別々の時間/為成暮緒