俳句例:201句目~
狸飼ふ茶屋より道は山がゝり/高濱年尾
秋風の松を仰ぎて茶屋を入る/野村泊月
東大寺裏に茶屋あり葛ざくら/武知尚子
田一枚使ひ花見のにはか茶屋/山口美智
厳冬の茶屋に響くししおどし/片平奈美
螢火を茶屋の女が出て追ひぬ/松藤夏山
滝見茶屋大鉄瓶のたぎりをり/星野立子
蜩の茶屋靜かなる木の間かな/正岡子規
滝茶屋をくぐる滝水また滝に/福田蓼汀
松風に甘酒さます出茶屋かな/正岡子規
塔頭の茶屋めいて居て葭障子/河野静雲
紅葉あり夕日の酒屋月の茶屋/正岡子規
壬生村や念仏頃の茶屋作り/岡本癖三酔
壺焼の茶屋にも寄らで窟かな/籾山柑子
松風に甘酒わかす出茶屋かな/正岡子規
夕方は滝がやさしと茶屋女/後藤比奈夫
藤茶屋や岩に錐して湧ける水/尾崎迷堂
夕立や恰も茶屋にまちまうけ/小杉余子
夕露に灰のつめたき野茶屋哉/正岡子規
松風を得意で売るや納涼茶屋/正岡子規
俳句例:221句目~
蓮見茶屋箪笥の鐶に手紙さし/星野立子
葭簀茶屋海風に朝の火を起す/内藤吐天
七夕やよみ哥聞きに梶が茶屋/黒柳召波
滝茶屋の鏡に岩の映りをる/波多野爽波
滝茶屋の手摺の下の伊賀の町/橋本鶏二
天下茶屋太宰の火鉢炭のまま/富永晃翠
女房が蓮を見てゐし蓮見茶屋/京極杞陽
田螺売る野茶屋に藤の花早き/正岡子規
萱草や茶屋のつき山苔もなし/正岡子規
草萌に石積むのみの茶屋の趾/稲畑汀子
寺茶屋の床几炬燵に片手入れ/西本一都
茶屋餅屋暫し砂糖ある花の山/井原西鶴
秋晴や富士を教ふる茶屋女/鈴鹿野風呂
渡船茶屋水浸く柱に手長蝦/小原菁々子
柊を挿し中辺路の茶屋守れる/大橋敦子
茶屋坊主身は芭蕉葉や雨の夜半/調賦子
茶屋アリテ夫婦餅売ル春の山/正岡子規
茶屋を見て走りついたる心太/正岡子規
筒鳥や行者憩へる山の茶屋/長谷川草洲
登山隊発ちて見送る茶屋の者/松藤夏山
俳句例:241句目~
筒鳥や昼なほ昏き茶屋の土間/野澤節子
峠茶屋なくて門茶の功徳かな/中山蕗峰
茶屋を出る土堤の灯や鳴く蛙/会津八一
茶屋へ寄る若連中や秋まつり/会津八一
茶屋の軒大雪渓をかゝげたり/野村泊月
左沢百目木の茶屋の麻のれん/高岡智照
白朮火を廻しつ通る祇園茶屋/松本澄江
庭先に榾干す茶屋の霧ごめに/河野頼人
梅の渓見下ろす茶屋の手摺哉/西山泊雲
心太の茶屋ありここら古戦場/会津八一
茶屋の旗食むや春日の孕み鹿/森田裕子
打水の杓たてかけて茶屋渡世/木村蕪城
白梅や北野の茶屋にすまひ取/與謝蕪村
榧の茶屋とて榧の実の廂打つ/大橋宵火
あけすけに酔客見ゆる紅葉茶屋/飯田蛇笏
門前茶屋母好みけるけんちん汁/田中英子
朝顔や野茶屋の垣根まばらなり/正岡子規
餅ほめて這入るは茶屋のつつじかな/許六
鮎茶屋の仏壇見ゆるところかな/大石悦子
鮎鮓や多摩の晩夏もひまな茶屋/飯田蛇笏
俳句例:261句目~
鰺食つて雨のあがれり島の茶屋/小林勇二
かまど猫座せり峠の茶屋の土間/茂里正治
鵙つらぬく文之助茶屋もろともに/斎藤玄
けもの径抜け出て茶屋の白障子/福原紫朗
月ケ瀬や次の茶屋へも梅の径/鈴鹿野風呂
しぐるるや堀江の茶屋に客ひとり/龍之介
火燵して四五人居りぬ花の茶屋/野村泊月
しんかんと空の蒼さよ葭簀茶屋/山口誓子
すぐ裏に清水湧きゐる花の茶屋/田中冬二
鹿にやる菓子の殘りや紅葉茶屋/正岡子規
ぜんまいの筵にちぢむ峠茶屋/深井かず子
それぞれの席に手焙梅見茶屋/市川勢津子
ちりかゝる桜の茶屋のともし哉/正岡子規
ちるや桜爰らに茶屋があつた物/井原西鶴
つゝじ折るつゝじが茶屋の女哉/正岡子規
のどかさや出茶屋の煙土手の人/正岡子規
よな汚れせる人に混み登山茶屋/宇川紫鳥
をみならのお茶屋遊びの花菜漬/佐藤淑子
一人増え二人が去つて花の茶屋/坊城中子
一行の茶屋にあふれし夕立かな/松藤夏山
俳句例:281句目~
三味線を掛けたる春の野茶屋哉/正岡子規
修二会見物茶屋の親爺が先導す/高澤良一
俵水園の紅葉の中のとろろ茶屋/近藤/正
冬の夜の灯二つ見えて茶屋二軒/佐藤生巣
利根へ続く運河の茶屋の帆掛鮓/久米正雄
助け茶屋仕舞ひ仕度の隙間風/加藤知世子
南岸の茶屋北岸の寺やむら紅葉/正岡子規
塗盆に茶屋の女房の郁子をのせ/高浜虚子
子規の茶屋に棗の如き柿を食ふ/久米正雄
山の茶屋百合挿して我荷預りし/中島月笠
山茶屋や沢山買ひし籠の茄子/岡本癖三酔
山雀や茶屋の主の手に来ては/南野和歌子
岡の茶屋に駄菓子くふ日や昼霞/正岡子規
帳場まで瀬音つゝぬけ鮎の茶屋/今城余白
掛茶屋に鳰なぶりして憩ひけり/清原枴童
掛茶屋のほこりに座るあつさ哉/正岡子規
掛茶屋の葭簀の隙の梅雨の海/松根東洋城
文之助茶屋の笹子を聞いてゐる/関戸靖子
日の当る床几をえらび梅見茶屋/山田光子
早打の霧にかけ込む野茶屋かな/会津八一