花冷えに関連した俳句の例をまとめました。
花冷えを含む俳句例
用心の雨傘花冷つゞくなり/貞
花冷や神官走る坂下門/妹尾健
花冷や風の匂ひの西行庵/春樹
花冷の夕べ日当る襖かな/稚魚
花冷や禁食示す病一室/石川桂郎
花冷や浅蜊歯軋る真闇/石塚友二
花冷の火鉢にさして妻が鏝/青邨
花冷や履歴書に捺す磨滅印/耕二
花冷や剥落しるき襖の絵/秋櫻子
花冷の高野一千人の僧/上野好子
花冷の顔ばかりなり雲の中/波郷
一病を余命に加え花の冷/近藤一鴻
筋太き人形の髪花冷えに/香西照雄
花冷や翅なきごとく蜂あゆむ/林翔
花冷や異動の残務慌し/内久根眞也
墨堤の花冷え募る太極拳/高澤良一
花冷の庖丁獣脂もて曇る/木下夕爾
花冷の包丁獣脂もて曇る/木下夕爾
花冷や末を契りの酒の中/清水基吉
貧無惨花冷の膝固めても/小林康治
俳句例:21句目~
花冷や箪笥の底の男帯/鈴木真砂女
花冷や狂女の面の裏は銀/対馬康子
花冷の男の耳の硬からず/辻美奈子
恋もなし花冷の膚擁けば/小林康治
花冷を遊ぶ忙しき実かな/永井龍男
花冷の切なる能の足はこび/石嶌岳
花冷の甲板踏んで女の子/田中裕明
花冷や掬ひて小蝦水のいろ/小澤實
花冷に水を送りし白木履/羽部洞然
花冷や手焼煎餅売れる寺/西本一都
花冷や巌のうへの篝くづ/橋本鶏二
花冷えの朝や岩塩すりつぶす/三鬼
染糸の縮み密なり花の冷/橘美寿穂
花冷や磨き清めし城の床/澤田緑生
花冷や子の教材に貸す刃物/金子潮
花冷や吾に象牙の聴診器/水原春郎
花冷や古りても貸さぬ裁鋏/満佐子
花冷のけふより都踊かな/高濱年尾
花冷や柱に塩の腐蝕跡/八牧美喜子
花冷えの箱に音する吉野葛/桂信子
俳句例:41句目~
花冷や刻めるごとき猫の顔/及川貞
花冷えの素顔に近し仏の燈/井上雪
花冷や二人分とる自由席/落合水尾
花冷えの髪整へておはせしを/展宏
花冷えや京の旅籠の蕪汁/田中冬二
味噌蔵の男柱も花の冷/岡部名保子
花冷や行厨すみて酒到る/亀井糸游
花冷の闇にあらはれ篝守/高野素十
花冷の裏も表も白紙かな/大澤保子
花冷の小蟹愛しむ漢の掌/渡辺恭子
花冷の石窟庵に辿りつく/高濱年尾
花冷えや糸は歯で切る小縫物/民夫
花冷の一夜を伊賀の旅衣/岩崎照子
花冷えや近江の雨の京なまり/照子
満月を上げて八分の花の冷え/澄雄
花冷や詩人罵らるゝごとし/小林康治
花冷や絨毯の緋や恋ひわたる/齋藤玄
花冷や経誦して溜む肚力/鷲谷七菜子
花冷や竹人形につのかくし/西村博子
花冷や眼薬をさす夕ごころ/横光利一
俳句例:61句目~
花冷や白々と居る障子内/池上浩山人
花冷や産後の猫がアトリエに/日原傳
花冷や柱しづかな親の家/正木ゆう子
花冷えの喫茶に旧き蓄音機/杉山青風
花冷の晩餐白き皿ばかり/神尾久美子
花冷や朝市に買ふ旬のもの/伊東宏晃
花冷えの城の石崖手で叩く/西東三鬼
花冷えの墨東の道違へたり/佐川広治
花冷えの壷が吸い込む母の息/桂信子
花冷に欅はけぶる月夜かな/渡邊水巴
花冷や月を的なる星一つ/赤松ケイ子
花冷えや那智の硯を磨く音/原子公平
山茶花の冷たき弁の月明り/佐藤漾人
花冷や指入れて割く魚の腹/鈴木まゆ
山影をかぶりて川面花の冷/西山泊雲
花冷に瓢亭藁の円座出す/橋本美代子
花冷や懐紙に紅を移しけり/柴田奈美
花冷や心もとなく坐りけり/高木晴子
花冷えの旅鞄足袋加へけり/近藤一鴻
コピーされ重なる私花冷す/熊谷愛子
俳句例:81句目~
花冷の一身立てて教師たり/濱田俊輔
花冷や嶺越えて来し熊野鯖/草間時彦
一燈にみな花冷えの影法師/大野林火
高遠の宿の花冷え枕かな/能村登四郎
花冷の床几の背中合せかな/細川加賀
四百四病護符花冷えの石仏/近藤一鴻
花冷の水奔り込む香水車/つじ加代子
身延山花冷からかね灯籠に/高澤良一
踊りつ義秀花冷の京を去る/永井龍男
花冷えの猫ゐて印度大使館/細谷喨々
花冷えの畑に夫と芋を植う/高木冨美
花冷えや障子にをどる指狐/河野南畦
花冷の母の手をとり磴下る/丸山茨月
山中に師と花冷の湯壺かな/近藤一鴻
花冷えの石積みあげて鳥供養/下田稔
花散つて花冷のこる奥出雲/稲田秋央
掌の鬼のひとつに花冷えす/田中信克
花冷や俄かに泊る母の家/山田みづえ
花冷の根本中堂かぶさり来/萩原麦草
花冷の池面に写る顔ゆがむ/白鳥順子