原子爆弾を使用した俳句

俳句例:201句目~

向日葵が花頭捧ぐる原爆忌/榎本冬一郎

電工のいちにち高し原爆忌/秋元不死男

山毛欅の樹を水音のぼる原爆忌/竹林仁

原爆忌死者に生者に今年また/辻七星女

香たいて月日ゆらめく原爆忌/内田冬至

原爆忌へ一歩つまづく炎天下/小林康治

馬面のやたらに釣れて原爆忌/原田青児

髪の根をわけて川風原爆忌/赤松ケイ子

驕る香水原爆展足早に過ぎ/八木原祐計

黙祷のまなうら黄なり原爆忌/平田冬か

想ひ起すことが供養の原爆忌/石山佇牛

黙祷の背ナみな老いし原爆忌/宮坂秋湖

手がありて鉄棒つかむ原爆忌/奥坂まや

新聞の切り抜き整理原爆忌/山下/渓水

ふんだんに水出る蛇口原爆忌/小川裕子

拭いてすぐ曇る眼鏡や原爆忌/伊藤仙女

持ち古りし被爆者手帳原爆忌/竹下陶子

擬宝珠の蕾ひしめき原爆忌/石田あき子

キャラメルの赤き帯封原爆忌/吉村/明

日に透ける鶏冠血の色原爆忌/大橋敦子

俳句例:221句目~

半世紀悔い尽きるなし原爆忌/草柳和夫

朝雲のたかき静けさ原爆忌/下村ひろし

原爆忌むき出しに干す布団綿/木田千女

森を抜け森に入りたる原爆忌/大石雄鬼

検査衣に着替え原爆忌の鐘を/大野岬歩

この橋を電車は迅し原爆忌/赤松ケイ子

かなかなや天日にさらす原爆簿/西村英子

かなかなや父の名もある原爆碑/西浦一滴

ひかるものなべて露抱き原爆址/朝倉和江

二つ目の原爆の日も過ぎにけり/三橋敏雄

今も胸に友の原爆死汗むすぶ/山田みづえ

原爆のドームにかかる今日の月/永井敬子

原爆の図を見る子らの夏帽子/磯貝碧蹄館

原爆の日あぁ水餃子さめやすし/池田澄子

原爆ドーム椎の若葉に噎せかへる/関清子

原爆図より罅走り出づ西日の壁/内藤吐天

原爆図中口あくわれも口あく寒/加藤楸邨

原爆圖より罅走り出づ西日の壁/内藤吐天

原爆屍かつと口開け灼けつく地/中島斌雄

原爆慰霊碑巨大な白骨めいて冬/藤岡筑邨

俳句例:241句目~

原爆忌医師がえがきし地獄の図/井上杉香

原爆忌割れば卵の黄味ふたつ/松本三千夫

吾らに忌日子らに原爆教育日/下村ひろし

土用芽や原爆知らぬ子の背丈/下村ひろし

地平より原爆に照らされたき日/渡辺白泉

天瓜粉つけし子原爆図を仰ぐ/磯貝碧蹄館

寒行や原爆ドームより消えゆく/田村奎三

死因それは原爆病と云はれたり/玉城一香

献花いま百合の季節や原爆碑/後藤比奈夫

原爆忌乾き切ったる舗道かな/鳥居/太郎

額に入れ原爆ドーム拝む日ぞ/後藤比奈夫

原爆忌滝を見つめてゐたりけり/松尾隆信

にんげんの乳房はふたつ原爆忌/中嶋鬼谷

なまぬるきポストの口や原爆忌/内田美紗

岸蹴つてボート押し出す原爆忌/黛まどか

川に無数の幽霊の手や原爆忌/田川飛旅子

平和への鐘心へ撞きて原爆忌/城間トミ子

年々に詠みてなほ詠む原爆忌/下村ひろし

だしぬけに叫ぶケツトル原爆忌/高田熊星

忘れまじ鶴を折り足す原爆忌/成崎千代子

俳句例:261句目~

原爆忌片ひげのないきりぎりす/高橋節夫

折り鶴に息吹き入れて原爆忌/吉田ひろし

そそり立つ雲見ればこそ原爆忌/今泉貞鳳

焼却炉に物投げ入れて原爆忌/鈴木真砂女

原爆忌ぬかづきてみな無帽なる/宮下翠舟

芋の葉にかくれしことも原爆忌/千布道子

原爆忌老女も靴を履くあはれ/殿村菟絲子

原爆忌酌みて別れし酒は「幻」/相良秀抱

原爆忌その語り部も老いにけり/松本雅子

語り継ぐため生かされて原爆忌/梅沢春子

歴史にはもしもが利かず原爆忌/後藤洋子

死は今も現し身に添ふ原爆忌/下村ひろし

ぼろぼろの記憶をつなぐ原爆忌/朝倉和江

躓いて手をつく坂や原爆忌/山野邊としを

ころころと蝉が死にをり原爆忌/引地冬樹

踊り髪結ひて原爆遺児なりき/下村ひろし

原爆忌の黙祷田草掴みて立ち/八木原祐計

鰯雲原爆の刻指して動かぬ時計/内藤吐天

ビル影は地に貼りつきて原爆忌/大東晶子

降らずみの雲の行方や原爆忌/村井美意子

俳句例:281句目~

含嗽して雲を目にとむ原爆忌/町田しげき

雨欲しき日となりにけり原爆忌/角川春樹

水飲みて鳩と目の合う原爆忌/鈴木三光子

吾が影に入るる子の影原爆忌/町野けい子

津和野路の鯉のゆさゆさ原爆忌/藤原壽子

ぴかどんを辞書に遺せし原爆忌/神田長春

飾りもの身よりはづして原爆忌/武子久恵

原爆忌いまも思ひはとどかざる/内野光子

折鶴にいのち吹き込む原爆忌/平岡しづこ

果実吸う原爆忌の妻蟹のように/前川弘明

暑くともなほ暑くとも原爆忌/山田みづえ

ドーム仰げば夢には非ず原爆忌/日笠靖子

全能母に縋れど天燃え原爆忌/中村草田男

原爆忌抱卵の眼の険しかり/甲斐よしあき

原爆忌ドームを世界遺産とす/鈴木とし子

あの雲はいつか見た雲原爆忌/塩谷めぐみ

原爆忌おおむらさきを連れださむ/柿木多映

原爆忌祖国の唄を聞く夜かな/ガルシア繁子

原爆忌にんげんは手を垂れて来る/前川弘明

原爆忌の夕空「血池の上澄み」ぞ/香西照雄