地獄に関連した俳句の例をまとめました。
地獄を含む俳句例
哥人や地獄で仏ほととぎす/調鶴
葉裏見せ月夜地獄の葛の原/原裕
五月闇青銅厚き地獄門/有馬朗人
地獄谷隣合せの大花野/菅野一狼
蜩や堂に地獄図極楽図/石田麦水
地獄見て憤ろしも大旱/山口誓子
遠祖の赤毛や油蝉地獄/栗林千津
恐山地獄の道の竹煮草/三谷貞雄
地獄会に仮設の厠恐山/古杉長子
地獄へは落ぬ木葉の夕哉/宗鑑/
油虫高熱地獄覗き去る/小林康治
ずつてくる甍の地獄蜀葵/竹中宏
文学に地獄極楽桜桃忌/山田弘子
横町の春泥地獄燈をつらね/青畝
大旱や泥泉地獄ふつふつと/誓子
廻廊に地獄絵並ぶ花祭/佐藤石花
世の中は地獄の上の花見哉/一茶
女郎花男郎花ここ地獄谷/熊谷愛子
閻王の燭に真赤な地獄変/福田蓼汀
鉦叩たゝきて孤独地獄かな/安住敦
俳句例:21句目~
あま酒の地獄もちかし箱根山/蕪村
老鴬や硫気に沈む地獄谷/水原春郎
金銀の襖にあつき地獄哉/正岡子規
海地獄鬼蓮を刈る年の内/大野茅輪
羅の女の堕つる地獄かな/尾崎迷堂
杜出れば炎熱地獄街歪む/吉原文音
地獄絵を媼の拝む彼岸寺/渡辺威人
地獄波凪ぎ誕生寺秋彼岸/吉川鬼洗
地獄絵の赤深谷の茸にも/矢島渚男
過疎部落この美しき雪地獄/藤井亘
枯蓮や地獄の如く泥の中/市川和孝
秋静か地獄の釜の噴気孔/富田潮児
七夕竹清七地獄やゝ翳り/小林康治
大年の東京煮ゆる人地獄/石塚友二
中世の地獄図も初景色なる/皆吉司
山国や蟻の地獄の育ちつつ/辻桃子
冬草の青々として海地獄/亀田俊美
十一や坊主地獄へ人の列/渡辺立男
歳月や地獄も霞む硫黄島/川崎展宏
地獄絵の女は白し秋の風/武藤紀子
俳句例:41句目~
地獄絵に青き山あり蕨餅/野池玉代
旅三日夕凪地獄三日かな/草間時彦
黄落や風の行手に地獄門/宮下翠舟
麦秋の狐独地獄を現じけり/安住敦
水地獄愁雲晩夏の山閉す/福田蓼汀
岩棲む上下を断ち地獄溪/福田蓼汀
頭の中の地獄極楽牡丹雪/藤田湘子
寒詣一灯地獄絵を照らす/石倉啓補
雲水に掃除地獄の椎落葉/冨山青沂
湯地獄の底轟きて真炎天/西村公鳳
地獄絵図右往左往の紙の跡/島青櫻
あきつ湧き宙にとどまる地獄谷/欣一
妻あるも地獄妻亡し年の暮/石原八束
老鴬のこだまを返し地獄谷/伊東宏晃
すすき原無限地獄の無数の手/檜紀代
秋風や信濃も果ての地獄谷/西本一都
宗論は暑し堕地獄/謗法華/筑紫磐井
寒灸のここが地獄の入口か/木田千女
小鳥来る宝石いろの海地獄/朝倉和江
秋の雲地獄の底へ吹き落す/正岡子規
俳句例:61句目~
のぞき見て簗の殺生地獄かな/桜桃子
桂郎の地獄を思ふ寝酒かな/細川加賀
極月のとぼけ顔して地獄耳/福田蓼汀
山霧か硫気か地獄枯るる中/水原春郎
春火桶独り占めする地獄耳/山下範子
ふり向けば地獄の家が甦る/小向知枝
地獄耳どうし耳寄せ日向ぼこ/岬雪夫
向日葵や傷つきやすき地獄耳/仁平勝
み仏の真下蟻呑む地獄かな/石河義介
暑さなど何ぞ原爆地獄絵図/古橋成光
地獄絵図赤く輝き冬に入る/細木蓉子
地獄絵図拝して自戒常楽会/名越夜潮
地獄絵を高く掛けゐし大昼寝/石寒太
海地獄碧きが上の赤とんぼ/山本歩禅
地獄絵を抜け出し故の蝶の黒/桂信子
地獄絵の鬼が溢るる春浅し/榎本愛子
白萩の浄土すなはち恋地獄/手塚美佐
万年筆の中の蓮池地獄かな/豊口陽子
食思無き食事地獄や冬の鳶/相馬遷子
冬ざるる緑青を吹く地獄門/斎藤喜信
俳句例:81句目~
泥地獄時雨を得つつ沸沸と/中村汀女
牡丹焚く人のうしろの地獄めき/原裕
生簀鮎地獄極楽うごめける/松村多美
手術後の六尺地獄梅雨暑し/伊東宏晃
地獄絵の底で暴れる冬の蝿/井上純郎
地獄図に子の集まりて花祭/星多希子
四五軒の地獄の宿や干布団/松藤夏山
猿酒や部屋に地獄図極楽図/甲斐遊糸
雪地獄天上月の澄むを怖る/竹田菁雨
雪けぶる地獄温泉の猿たち/松村蒼石
雨の中漁して鰻の地獄どめ/高澤良一
冷え性の母に極彩地獄絵図/長谷川双
地獄棒待つとは知らず鮭遡る/伊東肇
地獄絵に空白はなし安居寺/松田都青
初竃燃ゆる地獄の世なりけり/新城世
悪鬼ゐて地獄たぎらす大旱/山口誓子
地獄湯の鰐が口開く春の昼/小林修水
酔い痴れて桜地獄で父に逢う/仁平勝
選句地獄のただなかに懐手/鷹羽狩行
春雨や煙のひまの海地獄/五十嵐播水