俳句例:201句目~
金州にいくさせし人よ畠打つ/正岡子規
案山子立て戦の続く国のこと/上原喜進
鉄骨やいくさの後の夏の天/榎本冬一郎
防風を探して海のいくさ聞ゆ/萩原麦草
紡ぐことありき戦の秋の夜に/萩原麦草
陽炎の奥に水澄むいくさの野/玉城一香
戦袍裕かなり秋雲は野を泳ぐ/久米正雄
八月やいくさばなしに木太るな/松澤昭
駒繋ぐいくさのあとの柳かな/正岡子規
いくさとは赤錆霞む坐礁船/千代田葛彦
魂棚やいくさを語る後家二人/正岡子規
冬を待ついくさの後の舎營哉/正岡子規
冬花火誰かいくさのまなざしす/齋藤玄
初詣いくさなき世のいくさ神/小林呼渓
初鏡いくさの傷のまた縮み/増田三果樹
終止符を打たれぬ戦年明くる/赤尾恵以
囮籠いくさの中にゆれどうし/萩原麦草
城門やいくさもなくて草の花/正岡子規
若芝に座し待つ敗者復活戦/荒井千佐代
草蚊追ふうまごに語る戦の日/土田桃花
俳句例:221句目~
暖房に居て戦話聴く勿体なし/日野草城
寒雲の夕焼けはしいくさ勝つ/渡邊水巴
枯原をわがふみ戦いまだ歇まず/片山桃史
死人の白い足裏ふたつ今後の戦い/上月章
まくなぎよく浮く日戦に破れしよ/杉良介
いくさ深し春いろにでゝ小豆粥/渡邊水巴
あれもこれも戦よりまし落葉焚/前野雅生
うち水やすこし戦のにおいして/菊川悦子
おでん汁たつぷりと戦年を更ふ/久米正雄
いくさ深しすめらみくには薺粥/渡邊水巴
いくさ息む一葦かなたの雲の峰/石塚友二
いくさ傷らいの傷秘め菖蒲湯に/村越化石
卒業の答辞ベトナム戦にも触れ/福田蓼汀
夏菊や戦さに痩せし身をいとふ/渡邊水巴
寒潮の岩踏めば戦さ近くなりし/渡邊水巴
戦するないづこも春の橋壊すな/清水径子
戦どこかに深夜水のむ嬰児立つ/赤尾兜子
戦なき国かたまつて通草熟れ/菊地千恵子
戦に死なず病に死なず裸かな/肥田埜勝美
鵲のみが知る戦跡の枯野かな/大場白水郎
俳句例:241句目~
いくさから便とゞきし巨燵かな/正岡子規
戦塵によごれた蝶がここにもいる/三谷昭
戦止むか野火あと黒き雨の土手/相馬遷子
戦止む月下の郁子のよこむきに/柚木紀子
戦野ならねど冬松傾ぎ農夫傾ぎ/香西照雄
銀合歓に戦跡かくし月を上ぐ/中戸川朝人
いくさ知る人いくばくぞ蝉の殻/岡田透子
いくさ経し野路に露おく白桔梗/河野南畦
いくさ絵に細く描かれし春の川/榎本好宏
いくさ負けて人なき城の胡蝶哉/正岡子規
かつて夫のいくさの跡や仏桑花/石川文子
すかんぽやいくさに遠き箱根やま/及川貞
世の中のいくさに逃げて桃の花/正岡子規
乱れ矢のあとや夕立ついくさ船/正岡子規
体臭なきいくさの遺品冷ゆる汗/玉城一香
八朔や遠き記憶のいくさの日/成瀬櫻桃子
六月すみずみ拭いていくさ消す/小橋啓生
六波羅に蟇鳴く遠のいくさかな/筑紫磐井
松過ぎの心へづかと戦歿碑/鍵和田ゆう子
毛虫焼くいくさの暇の夕凪に/殿村莵絲子
俳句例:261句目~
悪食の蟹の赤さよいくさの日/宇多喜代子
沢瀉やいくさに死にしみなわかし/森澄雄
河童忌や武漢に迫るいくさぶね/滝井孝作
皿割りて戦さの秋夜しらけたり/萩原麦草
いくさやんで人無き村や冬木立/正岡子規
海星散開いくさ世経し夏の海/山田みづえ
淋しさやいくさの留守の竹婦人/正岡子規
捩花またぎていくさ無かりけり/行方克己
姉川のいくさも古りぬ鳥帰る/大峯あきら
無花果の中はいくさの火種かな/瀧/春樹
故郷の菊はいくさに踏まれけん/正岡子規
いくさに得し恋息ながし星祭る/中村明子
国境はいくさかりがね渡るなり/田村了咲
いくさかな我もいでたつ花に剣/正岡子規
秋風も戦もひょいと起こるもの/高澤良一
秋風やいくさのはての手風琴/磯貝碧蹄館
実盛のいくさおもへり洗ひ髪/猪俣千代子
いくさなき世こそ花吹雪花吹雪/菖蒲あや
夏草やいくさやみたる竈の火/栗林一石路
春聯やいくさは遠く山に去り/長谷川素逝
俳句例:281句目~
遠き日の戦陣よりの黄砂降る/佐々木帯山
柳散るや人の知らざる戦跡に/大場白水郎
山河古りていくさの跡の月凄し/正岡子規
秋風も戦もひょいと起こるもの/高澤良一
山茶花やいくさに敗れたる国の/日野草城
いくさありて関所厳しき残暑哉/会津八一
いくさの夜繭玉しかと数へらる/萩原麦草
松とれし一つ地球にいくさあり/都筑智子
野火熾ん鬨興すいくさ亡き後も/河野南畦
松伐りしいくさを嗤ひ日傘おく/原コウ子
川開き遠きいくさよ耳鳴りよ/宮川としを
栗の花母の晩年にいくさなし/成瀬桜桃子
桜咲く空のつづきにいくさかな/荒川優子
雁発つやいくさ神には列正し/鳥居美智子
戦終へて命目覚めし記念日なる/相馬遷子
梨咲くやいくさのあとの崩れ家/正岡子規
巡礼のごと人かすむいくさあと/玉城一香
夕顔の闇あをあをといくさなし/黒田杏子
黄砂降る華北のいくさ夢にみる/筒木真一
みいくさや雛の眉もあがりたれ/五十嵐播水