戦いに関連した俳句の例をまとめました。
戦いを含む俳句例
銀漢や齢の中に戦の日/岡本眸
戦なき国ありがたし大旦/井手直
今もなほ戦の歌を年忘れ/森田峠
椙炎える戦傷の足岩山に/徳弘純
樽舟の源平戦や川開き/中島通子
藁囲う戦の外の冬牡丹/森田智子
雨蛙芭蕉に乗りて戦ぎけり/其角
西日中大戦の夢焔なす/石原八束
戦経し大島紬石蕗の花/川崎展宏
戦歿の友のみ若し霜柱/三橋敏雄
葎のみ茂り戦跡崖残す/北野民夫
なほ沖へ潮切る双手戦なし/原裕
神々の戦稲妻二打三打/柴田奈美
戦に敗れ豚草のみおごる/上村占
海峡は昔いくさば桜鯛/富川芳緒
仏桑花戦の傷み深き島/重田青都
戦船の如き鱸を庖丁す/川崎展宏
紫荊嘘で固めた戦して/高澤良一
古戦跡雲冷え姉川妹川/北野民夫
紅蓮上野の山の負け戦/高澤良一
俳句例:21句目~
戦傷の記念教会風薫る/関森勝夫
霾や今も諳んず戦陣訓/濱口秀村
虫眼鏡澄み切る皇軍にて/攝津幸彦
篝火は戦のにほひ夜の桜/橋本榮治
野毛山の桜昭和の戦見し/高澤良一
戦経て生きる達人敬老日/佐藤正一
鉄橋に戦まぎれず鮠光る/大井雅人
一本の鶏頭燃えて戦終る/加藤楸邨
一露のみ戦慄戦趾観光者/香西照雄
寒鴉戦飽きて唖々と鳴く/村上鬼城
戦なき空が大好き鳥渡る/大倉淑子
いくさ一つ元号二つ古雛/吉本和子
日射病戦跡巡りまだ半ば/広田祝世
蛾と蜂の一戦二戦夕永き/堀口星眠
先づ出方窺ふ戦も蟷螂も/高澤良一
戦華のあと金木犀銀木犀/永末恵子
春寒や還らぬ人に戦止む/若宮八恵
戦さ経し僧と語れり朝涼に/杉本寛
木斛の実重く信玄戦陣訓/高澤良一
昼の虫父母の世の戦蹟に/京極杞陽
俳句例:41句目~
草市のもの流れゆく戦川/加藤常子
戦跡の海は引潮油照り/井桁汀風子
黙深く戦の島の熱砂踏む/土田桃花
雪虫や夫生涯のいくさ傷/石川淑子
晝の蟲父母の世の戦蹟に/京極杞陽
きりぎりす戦の浜の標石/渡辺笑子
戦遠し妻見し凶の流星も/香西照雄
女人にも戦の哀史天の川/石井道子
水戦玻璃の破片の如く飛び/上野泰
先づ出方窺ふ戦も蟷螂も/高澤良一
秋風やいくさの夢も二十年/正岡子規
ファミコンに戦い挑む三銃士/野原薫
戦いの唄しか知らぬ手毬唄/雨宮町子
穂芒の乱れ火牛のいくさ跡/吉澤卯一
船虫やいくさの如き身拵へ/今泉貞鳳
芋嵐いくさ知らぬ子脛長く/林乃婦子
草笛や流れ急なるいくさ跡/脇坂啓子
疲れ且つ戦い仏桑花を愛す/金子兜太
蟷螂も戦もキッと身構へて/高澤良一
戦盲の吹けばかなしき祭笛/吉屋信子
俳句例:61句目~
戦知らぬ水兵ばかり原爆忌/川口巌渓
魂棚やいくさを語る人二人/正岡子規
戦経て傷みし身なり啄木忌/村山古郷
戦絵の源氏平氏やきせる草/瀧澤和治
鮭の骸戦の跡のごとくあり/長谷川櫂
戦跡に日傘の我を点じけり/広田祝世
ことごとく悲壮戦跡仏桑華/河野静雲
戦跡の壕に揺れ合ひ仏桑花/岸本俊彦
戦跡の鉄砲百合は海へ向く/高橋悦男
戦跡を吹き来て砂糖黍嵐/山口超心鬼
みぞれきて戦の国の雛若し/渡邊水巴
戦陣の記憶は遠く霞みけり/仲田山泉
搦手をふせぐ戦や残る花/大場白水郎
書を曝す中に紅惨戦絵図/橋本多佳子
鳥雲に性懲りもなく戦すか/高澤良一
月寒し戦装の兵等との別れ/石塚友二
今年また夫戦跡へ帰省めく/黒坂綾子
仮面はがれ月に盲となる戦/大屋達治
朝顔や戦の時世も移りゆく/滝井孝作
漬菜踏む小さき母と戦経て/宮坂静生
俳句例:81句目~
友の夫遠き戦野に海ひかる/藤木清子
いくさなき人生がきて夏祭/橋本夢道
咳ひびく戦傷ならぬ傷を持ち/三谷昭
初蝉や見えねど深き戦傷痕/藤田湘子
白燈台統ぶ夏洋に戦絶えよ/香西照雄
蟷螂も戦もキッと身構へて/高澤良一
太平記戦サ永引く昼寝かな/野村喜舟
夾竹桃炎えて戦の日は遠し/中山みよ
読初は夫の戦塵支へし書/脇本千鶴子
走馬灯止る戦さを経たる闇/小林康治
身のうちの戦古びず秋入日/赤尾恵以
邯鄲や戦遠のきつつ近く/小檜山繁子
酒戦今を酣に誰か花を見ん/尾崎紅葉
往くのみの戦のありし時鳥/伊藤通明
後の月今宵風なき戦野かな/相馬遷子
青空や戦で死んだ鬼あざみ/駿河静男
麦湯呑み午から体力消耗戦/高澤良一
下萌や金の幣立ていくさ神/脇坂啓子
今宵しも山川酒の色いくさ/加藤郁乎
千曲川秋声しろきいくさ跡/角田双柿