描くに関連した俳句の例をまとめました。
描くを含む俳句例
鳥雲の某日水を描き暮らす/間石
笠置路に俤描く桃青忌/高浜虚子
海の日の空から描く岬かな/林桂
宝船砕くる波は描かれず/林直入
春昼や劉生描く童女像/永井龍男
桜餅心に描く夕渡舟/島村元句集
桜など描きて冬の寺襖/橋石和栲
弧を描く丘の形に花莚/高澤良一
枯萩の曲線描き尽しつつ/上野泰
初空に心の筆で夢と描き/西村恵
左眉描くのは苦手金玉/大石悦子
枯菊の唐草模様土に描き/上野泰
4Bで描く白菜の断面図/浦川聡子
海に向き眉描く女聖五月/原田青児
海野宿描く少女に秋の風/山崎真澄
病牀に秋海棠を描きけり/正岡子規
人寄せの大地に描く暖き/高浜虚子
動脈は赤で描かれ山笑ふ/柴田奈美
白扇に一筆描きの波走る/東峰芳子
仙の拙き月のなぐり描き/高澤良一
俳句例:21句目~
弧を描く水平線の放つ春/岡村清美
立山の雪渓湖へ弧を描く/猪俣壽水
連翹の一枝円を描きたり/高浜虚子
絵筆もて描きし如く青芒/高浜虚子
心太雨の蘇州を描きし皿/田中冬二
菊描く金ンの花びら長短/後藤夜半
貝寄風の描きし浜の砂の紋/堤靭彦
冬ざれや真言八祖描く塔/寺島初巳
赤い鳥青い鳥描き染卵/大橋麻沙子
赤馬を描きし湯飲み福沸/西本才子
冬の畦脱衣の闇を描き遺し/上村占
送行の心に描く山河あり/三星山彦
鈴虫の声が描きしわが山河/原知子
長崎を夜天に描く麦の秋/石原八束
雪山に林相白を以て描き/福田蓼汀
少女描く高く節なし冬木立/地蔵尊
慟哭の涙は描かず涅槃像/三村純也
一日を心に描く衾かな/池内友次郎
一流紋描く螢や水遣れば/香西照雄
一筆で描ききる滝冬紅葉/橋本榮治
俳句例:41句目~
露草をみづから描きし単帯/森田峠
青空を配し斜面の桃描く/高澤良一
国貞の描ける女河豚の宿/田中冬二
峡の景色紙に描かれ吊忍/柏瀬ヒサ
鳥雲に直武描きし人體圖/高澤良一
麓人の描く冬瓜や良寛忌/草間時彦
新涼の甕に描かれし泳ぐ/川本臥風
海原として一塊の鮑描く/有馬朗人
柿二つ描き遺して戦没す/馬場駿吉
栗の上鉛筆描きの八ヶ岳/高澤良一
描き了へし水仙の壺床わきに/上村占
雪嶺描く底に羆を眠らせて/秋本敦子
紅型に紅の舟描く浅き春/岡部六弥太
靉靆と雲を描きたる屏風かな/森田峠
須磨の宿の襖に描く千鳥哉/正岡子規
冬銀河砂曼荼羅を地に描く/山崎祐子
雪女郎美女を描くといふ掟/庄子紅子
筆に紅つけて雛の口を描く/瀬戸十字
飛行機雲大円を描き煤払ひ/川崎展宏
雪の街夢二が描きて暖かし/富沢宣子
俳句例:61句目~
鰯雲描きかけの貨車動き出す/原孜志
雛描き貧画学生何を食ふ/殿村菟絲子
鳰ひとりぼつちの水輪描き/西村和子
初笑ひ玩具の犬に描きし髯/沢木欣一
黒南風や鞭つ如く描く顔/相生垣瓜人
闘鶏図双巒を藍に描きけり/野村喜舟
鏑木清方風も描きて納涼図/高澤良一
描くべく椿挿されて一壺あり/上村占
油絵を描きし如く夏終る/前田野生子
利休忌や乱を描きし屏風ある/角光雄
剪定の宙に未来を描きつつ/橋田憲明
打水の終りは円を描きけり/吉岡和子
勝獨樂の大いなる輪を一描き/上村占
金屏や寒風描きあるごとく/長谷川櫂
クレヨンの緑を選び花火描く/矢島恵
春隣古地図は川を太く描き/友岡子郷
曼珠沙華闇に描かば地獄変/福田蓼汀
楽焼や茶の花らしき鉢に描く/瀧春一
ほのぼのと眉描く妻や朝桜/長谷川櫂
南風の岩にカンバス据ゑて描く/篠原
俳句例:81句目~
まいまいの描く弧毎日倖か/高澤良一
貧相に描かれし蛇涅槃絵図/茨木和生
空描くクレパス太き新学期/広田輝子
みえるために白線を描き蟇/和知喜八
種袋太陽を描き如露を描き/後藤夜半
秋雨や鷺を描きて狩野代々/尾崎迷堂
秋終る少女が描く円の中/林田紀音夫
囀りの空を大きく描きけり/太田土男
秋めくと猫に眉毛を描く女/飯田綾子
墨を以て大萬緑を描きたる/中杉隆世
秋の蚊や夢二の描く美人像/押本京子
御降りの雪の描きし大文字/竹吉章太
夏帯に彼の鵜篝を描きたり/後藤夜半
蜃気楼遊女は細き眉を描き/福永鳴風
蛍の闇に盗られし眉を描く/尚野頼子
虚事をうつくしく描き陶枕/大石悦子
薄描きに岐阜提燈の月ちさし/上村占
薄墨で描かれし夏の蕨かな/佐竹たか
夏暁の子供よ土に馬を描き/西東三鬼
志功描く釈迦十弟子図玉椿/杣田敬子