俳句例:201句目～
崩れゆくああ東京の雪だるま/八木忠栄
帰り来て耳に東京の春の塵/猿橋統流子
捨つるべき扇を愛でて東京へ/中川宋淵
日は赤く東京へゆき犬ふぐり/和知喜八
月汚れ東京の灯にまぎれ棲む/仙田洋子
朧夜を東京へゆくと別れたる/田中冬二
東京がじつとしてゐる初景色/黛まどか
東京が暑さが用が吾を待つ/成瀬正とし
東京といふ名に残る暑さかな/藤野古白
東京と生死を誓ふ盛夏かな/鈴木しづ子
東京にくつさめ一つ到着す/山田みづえ
東京に亀鳴くといふ日向かな/田中裕明
東京に井戸ある不思議秋彼岸/能村研三
東京に人のへったり秋のくれ/正岡子規
東京に住み古り椎を匂はする/和田順子
東京に住む日のありや木守柿/石川桂郎
東京に千の満月/マンホール/高澤晶子
東京に富士見ゆる日や菊を焚く/森澄雄
東京に山見ゆる日の障子貼る/東野礼子
東京に帰る浮輪を手放さず/深川正一郎
俳句例:221句目～
東京に棲みつき都忘れかな/永島理江子
東京に瓦斯火は赤し秋刀焼く/石川桂郎
東京に疲る空風に髪吹かれ/橋本美代子
東京に病む人問はず大暑来ぬ/相馬遷子
東京に覚め淡雪に取り乱す/宇多喜代子
東京のいつもこのころ春の雪/長谷川櫂
東京のせまき空より忘れ雪/土橋たかを
東京の上の冬雲襤褸のごと/松本たかし
東京の美しき米屋がともだち/阿部完市
東京の膝に女とねこじゃらし/坪内稔典
東京の花に寄り道してをりぬ/橋本佐智
東京の暮しに帰る子に吹雪く/徳永寒灯
肘触れて立食うどん東京朱夏/有光米子
東京の隙間風とも馴染みたる/山田弘子
東京の雪ををかしく観て篭る/山形龍生
東京の音の中へと避暑帰り/成瀬正とし
東京の風に馴染んで野水仙/国分ひで子
東京の木枯にたち方位なし/福田甲子雄
東京へ帰る浮輪を手放さず/深川正一郎
東京へ東京へ車窓雪嶺しづむ/桜井博道
俳句例:241句目～
東京へ歩いてゐるやいぬふぐり/岸田稚
東京の春宵に旅立ちて来し/成瀬正とし
東京やガラスの箱に冬すみれ/茅根知子
東京の拙き雪を見舞はるる/正木ゆう子
東京をふるさととして菊膾/鈴木真砂女
東京の客がある唐黍をもぐ/栗林一石路
東京を濡らしてゐたる牡丹雪/鈴木五鈴
東京を蛇の目に走るさくらどき/澁谷道
東京を蟲鳴きかこむ夜空低く/内田百間
東京の町ジグザグの屋根小春/島田青峰
東京國立博物館の野蒜食ぶ/佐々木六戈
東京歩く藷掘りし腰定まらず/大熊輝一
東京西日金なき妻子家におく/古沢太穂
東京言葉きたなし好きはかき氷/及川貞
枸杞の実を噛み東京を憎みをり/原田喬
柿くふや東京の子の疎開ツ子/石川桂郎
東京の病院に一夜明易し/阿部みどり女
泣き飽きし女東京に雪降れり/対馬康子
海苔粗朶の上に低しや東京市/松藤夏山
煙草すて娼婦しづかに海に入る/東京三
俳句例:261句目～
燕帰る東京生れの子を連れて/清水春生
瑞穂の国学東京の初日かな/土橋石楠花
用足して丸善に寄る東京首夏/高澤良一
東京の空とも見えず渡り鳥/鈴鹿野風呂
真夜の雪東京の音なくなりぬ/石原舟月
春待ちて我等東京の屋根の下/成瀬正とし
埋立てて東京の地やつばくらめ/斉藤夏風
おとうとよ東京は走るよに歩け/松本勇二
蜃気楼見たし東京の滅び見たし/蝦名石蔵
しんとして東京の昼桐咲けり/今井杏太郎
藪うぐひすようこそ東京廣きかな/及川貞
東京にくらしたてをり震災忌/鈴木真砂女
つるべ落し東京タワーは絵蝋燭/段原羊子
葛ざくら東京に帰り来しと思ふ/小坂順子
玉蜀黍かじり東京に未練なし/青野れい子
東京にちゝはゝいます大暑かな/相馬遷子
ぽつぺんに東京の空うつりけり/細川加賀
東京にでなくていゝ日鷦鷯/久保田万太郎
東京のどこかに忘れサングラス/嶋田一歩
東京やからからと鳴る受験絵馬/福井隆子
俳句例:281句目～
東京のきれいなことば子供の日/西本一都
東京が好き句が好きで花淋し/池内友次郎
東京を去る朝榧の実が匂ふ/阿部みどり女
東京から出て行きたい月夜です/橋本夢道
目刺し焼くここ東京のド真中/鈴木真砂女
木枯や東京の日のありどころ/芥川龍之介
東京のすき間に桜咲きにけり/岩淵喜代子
東京の中の葛西の春田かな/久保田万太郎
東京を知らぬ子ばかり麦の秋/鈴木真砂女
東京の雪うぐひすを啼かしむる/黒田杏子
東京のさくらを全部師に捧ぐ/和田耕三郎
春塵や東京はわが死にどころ/鈴木真砂女
東京タワー光よ久しぶり泣いた/五島高資
東京タワー総身秋の灯となれり/多摩/茜
東京の梅の名残りを知らで去る/萩原麦草
東京のゆきとどきたる小春かな/海津篤子
東京にあかき落葉とわが四十路/宮津昭彦
筆りんだう摘んで東京遥かなり/栗原米作
東京へ行きも帰へりも嵯峨は雪/西山泊雲
東京満員ねむりし北国のを下げ/寺田京子
