俳句例:101句目~
東京は我が敗北の市街地図/斎藤冬海
鉛のごとき東京の屋根巴里祭/高島茂
七月は水の落ち合ふ東京府/筑紫磐井
酢に晒す東京独活の白き肌/市川添子
東京の星低かりし雪達磨/望月たかし
遺されし者に東京空襲忌/山崎ひさを
二三日東京にゐて震災忌/大橋櫻坡子
東京の墓城の隅の一露なる/毛塚静枝
八十八夜東京は灯を荒使い/宇咲冬男
東京に出て日は西す鳰の岸/石田波郷
東京に出でゆく御用納の日/高澤良一
冴返る日の東京に帰りけり/渋沢渋亭
凍天へ東京タワーは蟹の骨/山川安人
東京へい行く懶さ梅雨の靴/石塚友二
東京に出る用ありて夏畢る/高澤良一
東京の星を数へる蛇笏の忌/藤田弥生
詩篇あり東京巣鴨の食堂に/攝津幸彦
東京に吾を待つは何草青む/山田弘子
原爆忌東京ところどころ雨/秋山未踏
名月の下東京の屋根の下/成瀬正とし
俳句例:121句目~
東京の空の碧さよ震災忌/甲斐謙次郎
行き戻る東京も鎌倉も初夏/石塚友二
蜆舟に東京の汽笛届きけり/島田青峰
蓑虫や子は東京に吊るされて/小林円
夕顔を蒔く東京に帰りたし/小川軽舟
外出が殖ゆ東京に鴨が来て/鈴木鷹夫
東京の晩涼に足り宿を出ず/亀井糸游
夜顔や東京の音怒濤なす/小松崎爽青
夢さめてゆく東京に鳥渡る/川崎完治
花曇東京に子をとられたる/上村勝子
大試験東京雪となりにけり/山本一歩
天牛や東京の月病みてをり/鈴木五鈴
東京の暑さ逃れて来し思ひ/安永泰子
妹と東京に逢ふ梅雨明るし/沢木欣一
東京の空の上に空雁が行き/加藤秋邨
東京は雷雨と聞きし柿若葉/永井龍男
東京の首のあたりにゐて寒し/中里結
寒の雨東京に馬見ずなりぬ/西東三鬼
東京の非情身に付け卒業す/藤田湘子
東京は雨の青年ほたるいか/駿河静男
俳句例:141句目~
山独活に東京者の舌づつみ/高澤良一
東京の暮色を好むかいつぶり/橋本修
東京は雨なり沖縄慰霊の日/小林照代
年明くる雲の雪崩の東京へ/加藤楸邨
紅葉且つ散る東京の客二人/西村良子
恩師みな東京で死ぬ揚雲雀/二村典子
手毬唄十は東京なつかしと/水上涼子
打かざす団扇の下の東京市/松藤夏山
東京の花見がてらの通院日/高澤良一
笹鳴を聞く東京のど真ん中/奥てるを
東京の空に花ある集いかな/熊野和子
東京の隙間に生きて初つばめ/林瑞夫
眼より枯れて東京歩きおり/高澤晶子
盂蘭盆や東京にある妻の墓/大岡龍男
燕去りし街東京の匂ひせり/佐野美智
東京の秋雨にぬれ能登の客/田中冬二
炎昼いま東京中の一時打つ/加藤楸邨
東京の車きてをり避暑の宿/前田六霞
東京に着きし二三日花曇/楠目橙黄子
灯の鋲の東京タワー年の暮/鷹羽狩行
俳句例:161句目~
江戸の空東京の空秋刀買ふ/攝津幸彦
毛皮被て東京砂漠歩むかな/山田弘子
欅の木の下の東京あるく鶏/阿部完市
東京を海から眺め薄暑光/和田耕三郎
東京の燈も寐頃なる天の川/臼田亜浪
東京を去る未練なし卒業す/辻口静夫
東京に茜彫りなる冬の富士/能村研三
東京が右往左往す大野分/鈴木ひさを
東京が好きで離れず雲の峰/鈴木榮子
東京を三日離れて山法師/鈴木真砂女
東京は螺旋の光り卯波かな/野崎憲子
東京や菖蒲葺いたる家古し/正岡子規
秋つばめ東京の空裾見えず/石田あき子
秋の灯の橋をわたれば東京市/京極杞陽
秋衣あめの東京はなれけり/鈴木しづ子
耳がまづ東京に慣れ鬼城の忌/満田春日
こもりくの泊瀬の春泥東京まで/志城柏
東京の夕日傾きメロン切る/山崎十死生
葉桜の東京ぬるく濡れている/池田澄子
裟釣るや東京タワー灯るまで/大島民郎
俳句例:181句目~
軽井沢に東京の香や下谷鰻重/田中冬二
はてしらぬ闇東京の虫が鳴く/林原耒井
東京の空歪みをり花くぬぎ/山田みづえ
鬼灯市東京ぐらしにも馴れし/池田秀水
鯊釣るや東京タワー灯るまで/大島民郎
鰯雲出てゐたる日の東京市/池内たけし
またの夜を東京赤く赤くなる/三橋敏雄
マスクして嗅ぐ東京の世紀末/山田径子
乗りたきは東京メトロ春近し/内田美紗
冬星の下にきらめく東京よ/成瀬正とし
冬雲やビルが動いている東京/高林菊次
凧揺れて東京の屋根の波の上/島田青峰
凩や東京の日のありどころ/芥川龍之介
東京の蛙鳴き下手つくしけり/宇田零雨
卒業をして東京に未練なく/中川きよし
夾竹桃東京砂漠灼けはじむ/千代田葛彦
子の寝息妻に東京遠かりき/石橋辰之助
子らの皆東京へ出し種おろし/太田土男
屋上の鈍器/空席/東京地図/上野敬一
山焼きし者東京にいでにけり/萩原麦草