人間に関連した俳句の例をまとめました。
人間を含む俳句例
涅槃像いばんや人間絹枕/安昌
人間も木石の類春の蠅/高澤良一
歳秋の人間の皮埃かな/永田耕衣
栗に栗虫人間に人間虫/矢島渚男
人間の業の鵜篝美しき/川崎展宏
明日もまた人間嫌ひ螢籠/石寒太
青畳人間よりも猫涼し/鈴木鷹夫
薬掘る獣に鳥に人間に/伊東達夫
焚火守るとき人間に表裏/塙告冬
宵闇の人間住める虚貝/各務耐子
人間に鴬啼や山ざくら/蕪村遺稿
人間の渦文様あり更衣/落合冬至
人間の遠薄氷の時間かな/永田耕衣
天災に人間弱く寒きびし/菅原章風
天高く人間といふ落し物/上甲平谷
かの群は人間の筈羽抜鳥/栗林千津
山川の中に泳ぎの人間漬/平畑静塔
木下闇抜け人間の闇の中/平井照敏
末枯や人間の木は頭から/高澤晶子
溝浚ふ人間どちに鳥騒ぎ/中西舗土
俳句例:21句目~
溝浚へ泥に人間臭さあり/國定義明
画廊出て人間赤し藪柑子/伊東達夫
人間は管より成れる日短/川崎展宏
人間の勝手放題花を見る/高澤良一
番号で人間呼ばれ憲法日/工藤克巳
花祭美しき人間喜劇かな/阿部完市
万緑へ人間万歳叫びたし/松村多美
苔すつと咲いて人間雷砲/大石雄鬼
荒涼と人間居りぬ紅葉山/奥坂まや
蜻蛉の極めて人間臭き季/高澤良一
雁仰ぎをり人間は泪の木/香取哲郎
人間に狐ぶつかる春の谷/金子兜太
人間の息のあつまる初詣/本宮哲郎
雪渓に人間といふ者小さし/上村占
雪砂丘われ人間の姿して/津田清子
雲の峰人間小さく働ける/星野立子
人間に足の大きさ冷房車/平井照敏
魂祭人間の死は季節なく/斎藤空華
鳥威人間の知恵鳥の知恵/塩川雄三
鵙の贄人間これに頷きぬ/藤田湘子
俳句例:41句目~
人間を笑ふが如し年の暮/正岡子規
人間の水をぬくめて梅暦/加藤郁乎
人間を逃れ流れる群に入る/清水顕
黒板に人間と書く桜桃忌/井上行夫
仏像の臍人間の臍深呼吸/中村孝史
入れ込みの人間模様泥鰌鍋/山本凉
八重桜人間われら鬱といて/山崎聰
人間の足がかかりぬ兎罠/福田蓼汀
夕顔や人間の影ビルの影/落合冬至
人間に退屈しをり葱坊主/松崎鉄之介
愚かしき人間を見て水中花/澤井洋子
百千鳥人間もまた話し好き/塩川雄三
人間も水洗ひせよ櫻桃忌/本庄登志彦
犬の脚人間の脚クリスマス/神野紗希
人間をもっとも怖る炭焼夫/右城暮石
人間のまゝ沈み浮く鯰かな/攝津幸彦
布袋腹撫でて人間ドックの秋/舘柳歩
人間のやもめを思へ鴛二つ/正岡子規
人間の行く末おもふ年の暮/松瀬青々
人間の匂ひ砂丘に腐れトマト/有働亨
俳句例:61句目~
人間の大きな頭木の実降る/田中裕明
人間の宿泊禁ずと地下余寒/沢木欣一
下萌えぬ人間それに従ひぬ/星野立子
人間を見下ろしてゐる寒鴉/佐藤洋子
人間の屑に吹きけり秋の風/正岡子規
人間と似たる遺伝子冬の蝿/安芸紀子
子を抱けば人間臭し枯野道/阿部完市
人間がときどきかかり兎罠/今瀬剛一
人間の海鼠となりて冬籠る/寺田寅彦
人間が動き出しけり春の風/正岡子規
人間が単純になる湯に夜長/高澤良一
人間の無数の毛穴春を待つ/岡野順子
眼中に人間なくて恋の猫/加藤瑠璃子
人間が猫に加はり日向ぼこ/山田弘子
秋夕焼壮麗人間小さくて/柴田白葉女
秋草は陽を溜め人間雷基地/壁村敏子
人間であること久し月見草/和田悟朗
空傷み易し人間ゆふぐれて/橋本輝久
人間は万物の長ぎっくり腰/高澤良一
花茨お先に人間からどうぞ/杉野一博
俳句例:81句目~
蒲団干され人間臭き船溜り/高橋流石
薄氷を割れず人間嫌いなり/久富風子
涅槃図の裾人間の塵立ちぬ/丸山景子
寒木瓜の赤さ人間嫌ひ栖む/内藤吐天
蛇穴を出て人間を恐れけり/正岡子規
蜘の子やそも人間の始りは/正岡子規
蝉に穴人間に穴たのしかり/矢島渚男
人間は昨日やめたり花辛夷/平井照敏
人間は杉菜と土筆の間かな/柿本多映
螢追ひゐて人間は尾を忘れ/今瀬剛一
野火見つつ人間不信今更に/藤田湘子
限もなや人間の座と仏の座/和田悟朗
冬の水人間臭の棕梠のもと/沢木欣一
雪に尿して人間が遠くなり/和知喜八
冬眠のなき人間の尾てい骨/角川春樹
人間に尾の残りたる万愚節/角川春樹
人間は生きよと銀河流れをり/上野泰
枯蟷螂人間なべて火が恋し/竹村文一
木枯を抜けて人間軽くなり/鈴木築峰
人間に毛深き蝿の生れけり/島谷征良