腕/かいなに関連した俳句の例をまとめました。
腕/かいなを含む俳句例
更衣百歳の腕通したる/大串章
勤行に腕の胼やうす衣/炭太祇
腕組める女は暗し竹落葉/原裕
傾城に腕見せけり角力取/松花
楠や大枯藤を腕掛に/河野静雲
二の腕の倖せ肥り更衣/谷泰子
振袖の白き腕や弓始め/吉田喜美
秋日傘風と腕くむ女あり/森慎一
鷹渡る半島巨き腕なす/高澤良一
鳥渡る腕のつけねの太欅/渋谷道
鯨捕り黒き腕に夏羽織/前田普羅
隻腕の風船売よ望郷よ/大庭紫逢
羅に着痩の腕通しけり/百瀬美津
片陰の窓に出てゐる腕かな/槐太
手枕の腕三角に秋の風/近藤一鴻
金掬ひ昔餓鬼大将の腕/岡崎玲子
櫻濃き三角巾の中の腕/綾部仁喜
十一面観音の腕長き雪/石原八束
昼の虫牧夫無聊の腕を組む/沢聰
帆走の日焼の腕献血す/吉田節子
俳句例:21句目~
蟷螂の小肱とらん今日の月/酒堂
更衣二八娘の腕眩し/加藤佐栄子
やせ腕や三千石の弓始/正岡子規
水兵の腕の刺青小六月/楠本莞爾
海雲売る娘の腕の金時計/堤魄黎
春風や仁王の腕の馬の沓/正岡子規
胸に組む懐旧の腕囀れり/桂樟蹊子
原爆忌腕鈴なりの電車過ぐ/隈治人
白茅刈る兄の太腕盆支度/堀口星眠
火鉢に恁つた白い腕の憂/喜谷六花
肌寒や絹の長袖腕に添ふ/村井明代
夏炉焚く島の女の腕太く/田村恵子
二の腕まである手甲蓴採/平川秋帆
夕涼君鯉を切る腕まくり/正岡子規
天瓜粉子らに痩せ腕太肉/水原春郎
太陽へ海女の太腕鮑さげ/西東三鬼
如意輪の秋思に放恣なる腕/稲岡長
細腕に花の重さを釣鐘草/杉山青風
桜桃もぐ腕の下や最上川/三宅句生
明易き腕ふと潮匂ある/中塚一碧樓
俳句例:41句目~
かの腕地に還りては立葵/和田悟朗
河童忌の白き腕に葡萄糖/攝津幸彦
仲秋や銀の腕輪が腕締めて/辻桃子
山吹や腕さし込で折にけり/炭太祇
新涼や人の歩みの腕振つて/小島健
働かぬ腕の重さや松納/白岩てい子
脇息に薫風細き腕を吹く/正岡子規
腕たてふせ百回の罰月見草/竹中宏
腕ふと潮のにほひ天の川/渡辺紀子
腕太き神がうしろに春の淵/渋谷道
さしのべて白き腕や杜若/野村泊月
腕捲りして畳屋の春火鉢/安田守男
腕細き働き盛り花ざかり/高澤晶子
腕組んで眠る女や敗戦忌/渡辺夏紀
腰太く腕太く春の水をのむ/桂信子
花野ゆく両の腕を翼とし/西平信義
蜘蛛の糸腕にながれ夕参/飯島晴子
簪にかはづの小腕おさへたり/曉台
螢火を追ひつゝ腕失へり/攝津幸彦
衣更へて腕の裏側やはらかし/林翔
俳句例:61句目~
誰に似し群像の腕秋入日/対馬康子
炭焼の労に腕貸す棒秤/百合山羽公
銀漢に外寝の腕高く伸べ/福井圭児
競漕や腕の太さのほぼ揃ひ/河本和
鎚腕に齢はとらじ鍛冶初/藤木紫風
露月忌や腕に残る痘の痕/皆川白陀
青嵐骨骼標本腕を垂る/下坂富美子
青首の大根ソクラテスの腕/石寒太
頼もしき母の二の腕更衣/香西照雄
魂も乳房も秋は腕の中/宇多喜代子
春の昼病者窓より腕を垂れ/徳弘純
春陰や腕を欠きし怒髪天/小松初枝
胸熱く市民おおかた腕を組み/三谷昭
肩幅をおぼえし腕よ夏の月/谷口桂子
泳ぎし腕水平に伸べ光走り/香西照雄
泥に腕突きさし倒れ蓮根掘/牧野春駒
老婆掘る蓮より細き腕して/羽部洞然
老い覚ゆ金柑もぎし腕より/岡野小甫
牡丹見る縮緬皺の腕組んで/湊楊一郎
梅雨寒の腕撫でて肘につき当る/林翔
俳句例:81句目~
細腕の女の禰宜の除夜太鼓/樫村陽子
亡き父の時計を腕に大試験/福家市子
牛売りの牛撫でて待つ腕に雪/飴山實
きほへども身は蟷螂の痩腕/正岡子規
きり~す鳴くや雨夜の腕枕/井上井月
紅葉折て腕たしかむる男哉/正岡子規
糊効きし袖より腕あらひ鯛/鈴木鷹夫
壁の服みな腕垂れて啄木忌/齋藤朗笛
牛くさき腕のこの脈敬老日/三嶋隆英
桜の木抱きて腕冷ゆるかな/柿本多映
たくましき僧の腕や汗手貫/高濱年尾
深く妻の腕をのめり炭俵/能村登四郎
夕桜無数の墓石腕のごとし/大井雅人
春灯や征途を明日に腕角力/椎橋清翠
昼寝して腕むっちり如来肌/高澤良一
ひよんどり笛の男の腕の節/井村経郷
爐灰かく白き腕みせ生身魂/如月真菜
ひろげたる腕は一尋初御空/手塚美佐
初夏や腕に時計のない日曜/菖蒲あや
突然に腕掴まるる雲の峰/和田耕三郎