俳句例:201句目～
旗にもう真ん中はなく雪迎え/大坪重治
旗をふる工事人夫に春の雪/西原不三子
旗を持つガイドと回る七福神/高橋妙子
旗掲げ旗屋きつぱり冬がきし/寺田京子
旗立てていかなご舟は又沖へ/高濱年尾
旗立てゝいかなご舟は又沖へ/高浜年尾
旗雲のあそべば湿る葡萄園/秋元不死男
旗鳴つて雛市立てり畦のくま/石川桂郎
日の旗や銀座は秋の山かつら/正岡子規
日の蝗漁旗の裾の濡れて垂る/友岡子郷
春北風や海峡抜ける旭日旗/山本慶一郎
春聯や北京にふるき旗人たち/原田青児
春風や伸びゆくビルの安全旗/藤本朋子
昼深く嗚咽に似たる旗のぼる/守谷茂泰
晝見れば小旗立てたり花火舟/正岡子規
村の川葬りの旗が流れゆく/吉田さかえ
旗立てて街なす艀初凪げり/五十嵐播水
死が一つ枯川沿ひに旗立てて/栗林千津
波の旗せつかちにもう三十一/阿部完市
浚渫船あかき旗たて葦枯るゝ/岸風三楼
俳句例:221句目～
灼け紅旗へんぽん関羽生誕祭/高澤良一
烈風の辛夷の白を旗じるし/殿村菟絲子
熊穴を出づ山火注意の旗なびき/坂尻惺
熊罠にかゝりし旗の上りけり/井谷百杉
病廊とおなじさむさの春闘旗/吉田紫乃
皇国や左手のごとく旗すすき/攝津幸彦
砂山赤い旗たてて海へ見せる/尾崎放哉
福相がなぜか旗もつ労働祭/是枝よう子
秋の海航くのみなるに旗汚る/津田清子
秋風や黄旗かゝげし隔離船/大場白水郎
移民船冬空へ旗ちぎれ飛び/五十嵐播水
空へ旗立てて春風を鳴らす/栗林一石路
筏曳く舳に初荷の旗立てて/穂坂日出子
組合旗畳みてあれば羽蟻来る/瀬角龍平
茶屋の旗食むや春日の孕み鹿/森田裕子
菊折て日の丸る旗の竿にせん/正岡子規
菊日和空に小旗のあるやうな/柿本多映
虚子の碑に布巾のごとき白旗/横山房子
蝌蚪育つ鳥除けが青空の旗/千代田葛彦
裏小路かばやきの旗ななめなる/井上雪
俳句例:241句目～
貝風化死者の旗なす干拓田/河野多希女
賣り出しの旗や小春の廣小路/正岡子規
赤い旗振る炎天の貨車押せり/萩原麦草
赤き旗東風にはためく分譲地/中村正敬
赤き旗立てて何売る御神渡り/玉木春夫
郵便旗たてゝ馬橇の来りけり/長谷草石
野馬追の旗差物が風を切る/大出蕭々子
野馬追の神旗を奪ふ砂ぼこり/棚山波朗
釣堀がこんなところに雨の旗/石川桂郎
関門の花にあげゆく船名旗/五十嵐播水
雪となり雨となり旗半ばなり/正岡子規
雪渓の赤旗ちぎれて旗なさず/茨木和生
雪雲のもたらす風に出帆旗/五十嵐播水
青野行くあれが風林火山の旗/金子青銅
鰤を割く船旗が窓にぎつしりと/上村占
鹿の子に小旗のやうな耳二つ/石川文子
黒き旗に雪ふりかゝり人稀也/正岡子規
ふと～と氷一字の旗よろし/松本たかし
是是非非もなき氷旗かかげある/小澤實
木にかける氷の旗や荷ひ茶屋/正岡子規
俳句例:261句目～
氷り屋の旗をつき出す茂り哉/松瀬青々
大漁旗海に浸してどんど終ゆ/片山浮葉
新涼の風つれて着く大漁旗/木村ヨシ子
雷雲やシャツを括りし大漁旗/関口祥子
なみだぐましけれ市の萬國旗/塚本邦雄
ふりし旗ふりし祖国に脱毛す/攝津幸彦
ぼろ市の旗よろこばす空つ風/日野口晃
むしろ旗より炎天のデモ縮む/古舘曹人
振れば鳴る紙の旗かな運動会/野村喜舟
わが胸に旗鳴るごとし冬青空/野澤節子
運動会の旗あちこちす春の山/正岡子規
運動会消えたる国の旗つらね/戸恒東人
スキーヤー滑空旗のやうな顔/高澤良一
ナイターの大旗が揺れ漢揺れ/菅原星夫
嶺にかゝる豊旗雲や神の旅/山田九茂茅
上げてある船に祭の注連と旗/森田公司
乱世へ旗かけ松の新松子/鍵和田ゆう子
倒れたる案山子の旗の上に天/西東三鬼
入営旗今舷梯をおしのぼる/五十嵐播水
入営旗立てたる舟に人出入/五十嵐播水
俳句例:281句目～
冷房の窓にはるかな緑十字旗/横山白虹
凍港の人ゐて赤き旗を振れり/岸風三楼
旗日の旗や秋のみずうみ一枚/大橋裸木
日曜につゞく旗日や鯊の秋/五十嵐播水
貸ボート旗赤ければ空青く/竹下しづの女
霜の城はためきやまぬ記憶の旗/大井雅人
墓地の上測候所白き旗かかぐ/川島彷徨子
はためきて鱈場の標旗雪待てる/加藤春彦
土産店葉鶏頭にも旗を立て/長谷川かな女
旗行列鴨ことごとく水にならぶ/渡邊水巴
石炭船来めし屋の葵旗のごとし/高井北杜
南風やするする上がる長官旗/大久保橙青
風のげんげ鶏舎にかの日の筵旗/友岡子郷
強風の肉体旗もて巻かれたる/小川双々子
北風強し製菓会社の旗緊まり/田川飛旅子
ひと死ねり旗にぎやかな春の街/片山桃史
弔旗行く雪掘つてある墓場まで/矢島渚男
弔旗垂れ橙の照りつぶらなる/金尾梅の門
風絶えて何に向える死者の旗/八木三日女
弔旗三日折目通りにたたむ冷/平井さち子
