尼に関連した俳句の例をまとめました。
尼を含む俳句例
尼様の男持なる秋扇/下村梅子
置霜やけふ立尼の古葛籠/園女
凩や十六七の尼の顏/正岡子規
尼若し薄紫の燕子花/正岡子規
摘草や印籠提げし尼の君/几董
尼達の古き涙やねはん像/大魯
梨の花うるはし尼が念仏迄/言水
蕣や心にひゞく尼の鉦/正岡子規
竹林の奥に尼さま冬籠/鈴村寿満
其まゝに巴の尼や寒椿/正岡子規
泊居てきぬた打也尼の友/炭太祇
威し銃八方にして尼の寺/岸田稚
竹秋の尼二た三言舞ふごとし/裕
羅漢寺尼ゼは有髪鉦叩/星野立子
同年の尼くづほれて袖の露/李由
鶯や尼と老いゆく寺男/勝又一透
鍔広の麦藁帽の修道尼/高濱年尾
萍の寂光尼に小机あり/桂樟蹊子
初蛙尼には尼の働く掌/古舘曹人
春蘭や尼に眉間の皺はなし/静塔
俳句例:21句目~
柚一木山椒一木尼一人/高野素十
再建の尼へ色付く菫なり/和田悟朗
鶯や女の微笑は尼に熄む/古舘曹人
おく霜やけふ立つ尼の古葛籠/園女
おどけたる尼の操や蛞蝓/飯田蛇笏
露の世や尼上人の傘の役/西本一都
鷺草や尼に守られ源三位/斉藤夏風
鹿鳴くや尼は晝も月の下/古舘曹人
初灯し尼手作りの絵蝋燭/相津光子
雪頭巾被りし中の尼上人/山口民子
紅梅も門も小ぶりに尼の寺/檜紀代
紅梅は尼白梅は老文士/殿村菟絲子
名もかへで巴の尼や寒椿/正岡子規
黄蜀葵真昼の燭に尼の寺/大野林火
夏安居や尼には尼の掟書/近藤竹窓
端近に使ひ尼趺坐冬安居/山口民子
夕立や衣ほすてふ尼の寺/正岡子規
つたなしや虫ふく中に尼一人/言水
弟子尼の鬼灯植えて置にけり/一茶
警策の尼に重たし臘八会/穂北燦々
俳句例:41句目~
裾山や萩咲く中の尼一人/正岡子規
尼一人加はり給ふ御身拭/岩崎俊子
尼来るを百も承知の水引草/齋藤玄
ひともとの観音草や尼が庭/球/谷
女中方尼前は花の先達か/服部嵐雪
行水の老尼はなげく二日月/原石鼎
尼もゐて卓の苹果に夏灯/飯田蛇笏
祝典や一本独鈷の尼の帯/三橋鷹女
寒行尼大本願に戻り来し/西本一都
寿貞尼へ切々一句実万両/田中水桜
廊わたる尼袖あはせ若楓/飯田蛇笏
蜩や尼こゝに住む二十年/正岡子規
小豆干す縁側広き尼の寺/後藤節子
少将の尼の咄や志賀の雪/松尾芭蕉
虎鶫夏行疲れの尼も寝て/山田孝子
薪能尼一列に通りけり/山田ひろむ
尼宮に花見弁当届きたる/山口民子
一切を障子のうちに尼の寺/上田操
尼が掃く穂先の濡れて渓紅葉/原裕
万両や尼の庫裡とて軒低き/原柯城
俳句例:61句目~
手伝て七夕祭る尼ぜかな/藤田耕雪
尼宮のお煤籠や猫も居り/山口民子
尼ごぜは看経大山蓮華咲く/飴山實
尼の守る鑑貞地蔵子供盆/西本一都
桔梗や遊女の果の尼容チ/野村喜舟
松葉牡丹の七色八色尼が寺/松本旭
蓮持て人中行きぬ尼一人/正岡子規
智照尼は昔知る人薄紅葉/高浜虚子
落し文瀬戸内寂聴尼は不在/長田等
仏前に朝の陀羅尼や夏衣/松瀬青々
尼留守の冬瓜座る框かな/服部翠生
春眠や女人にかへる尼の顔/素風郎
黄の色の汗修道尼日本人/右城暮石
菊膾老の尼ゼがこま~と/野村喜舟
早梅や尼の素顔の障子より/森澄雄
尼達は此の名をしらじ忍ぶ草/才麿
新尼の頭巾おかしや家の内/炭太祇
尼急ぐ釣瓶落しの五条坂/師岡洋子
尼の衣の黒白すがし竹の秋/瀧春一
頭から慈姑を食べし尼の寺/穴井太
俳句例:81句目~
鶏頭や襷はづして縁に尼/橋本鶏二
花冷の尼様の被布濃紫/武原はん女
面映えて智照尼点ず秋灯/小原菁々子
露の廊有髪の尼とすれ違ふ/松本澄江
お会式の飾り桜に夜なべ尼/後藤夜半
お彼岸や末寺の尼ぜ本山へ/星野立子
尼の身の草鞋の踵寒念仏/百合山羽公
雛会式老尼足指反らせ出づ/関戸靖子
障子貼る大原女あり尼の寺/高濱虚子
阿佛尼が諍ふ庄も野分かな/筑紫磐井
阿仏尼の墓の乾きて竹の花/藤江朋子
軒涼み尼の師弟の牀几かな/安田孔甫
走り梅雨遠野の道の尼の墓/有馬朗人
賓頭盧の荒縄合掌曳きに尼/西本一都
貝の華尼が扇をかざし見る/新井徳子
ふり向きし尼の日傘も竹の影/岸田稚
行春の石ともならで尼一人/正岡子規
行合ひし尼の会釈や萩の道/菊地由恵
行共にして若き尼汗見せず/右城暮石
尼も乗る松前船の南風かな/飯田蛇笏