針に関連した俳句の例をまとめました。
針を含む俳句例
青葉して針箱の中貝釦/純子
秤いま0をさす針鮪市/森田峠
七色の待針並べ縫初/岡田弘子
残世に打つ待針や朧月/秦夕美
針含み飾窓内年守る/宮武寒々
海彦の針をのんどに桜鯛/藤井亘
縫ぞめや堺の鋏京の針/高浜虚子
秋風や相誘ふて錆びる針/原月舟
悴みて千人針の糸くくる/井上雪
逢坂の町や針研ぐ夜半の秋/几董
怠れど針は器用や縫始/富安風生
待針の頭かなしき一葉忌/仁平勝
襦袢縫ふ待針赤く春隣/菖蒲あや
白絹に待針を打つ菊日和/佐藤緑
千人針職工の妻街角に/細谷源二
伊勢手毬針返すよう夏燕/鱸久子
鳥帰る赤い針山窓際に/佐藤和夫
針箱に色糸満たし縫始/大橋鼠洞
伝針の杭木を巡る蛍かな/多代女
松茸や笠にたつたる松の針/浪化
俳句例:21句目~
馬追や母が居眠る針箱に/籾山柑子
早春や光の針を飛ばす海/小川公子
洋上の羅針北指し鯨追ふ/杜あとむ
針荒き雑巾寄進寺涼し/赤松けい子
針美し糸美しと春著縫ふ/穴井まき
針に糸夜梅馥郁匂ひだす/中山純子
かけ針や舟引きとめん天の川/綾戸
氷の針奔り寒天緊りけり/羽部洞然
初針の浮き沈みゆく布の上/上野泰
針箱や日輪秘めし花の種/有馬朗人
糸遊やみすやの針の長短/中川四明
秋灯や要かなめの小町針/橋本白木
針箱の中の山河や夏の暮/鈴木伸一
千人針加ふ一絲も極寒裡/岸風三樓
菜種梅雨針が一本胸の中/石田風女
焼芝の針の如くに蓬かな/松藤夏山
すすき原傷縫ふ針を嚢中に/渋谷道
秋の風秤の針を動かしぬ/内田美紗
海贏打や安針町に釘店に/野村喜舟
裁台に針娘等よりの鏡餅/溝越春甫
俳句例:41句目~
蝶に針天上ふいに足元に/栗林千津
蜜蜂の喜ぶ余り針一本/中村草田男
大寒の弓張月の針ほどに/伊藤涼子
針穴に集まるこころ秋灯/中垣成子
針深く呑みし虎の横つ面/高澤良一
針槐濁がうがうと梓川/桜井かつ子
石に針生姜も入らず清水かな/秋色
昼寝覚針刺に針光りをり/館岡沙緻
薫風や鼈甲いろの伸子針/島村久枝
薄氷の針を見出でし宿酔/三橋敏雄
針山に針木の暗に母立てる/上村占
子蟷螂針より細き斧上げて/神九六
実椿や立つるによわき蜂の針/野坡
点滴の針あと蒼し秋黴雨/成田郁子
小横物糸針よせよ涼みの軒/調幸子
浦里に汐風強し針千本/木谷のぶ子
川波の光の針や末黒葦/岡本まち子
針立や肩に槌打つから衣/松尾芭蕉
白衿に針はこぶ夜の鰤起し/井上雪
苗箱に針千本の早苗かな/宮田正和
俳句例:61句目~
苗代や水を離るゝ針の尖/正岡子規
人の言針のごとくに菌山/田中裕明
白き糸針に通して夜の秋/工藤義夫
花と針の心問ひたき茨かな/千代尼
色かへで空をさしけり松の針/嘯山
伝針にかはほり暫し羽休め/多代女
曠野かな朝より蜂の針光る/徳弘純
職人の二人しぐるゝ畳針/川崎展宏
海胆の針紫にして美しき/野村喜舟
針千本呑んだ男に片時雨/田辺泰光
縫物に針のこぼるる鶉かな/千代尼
縫初めの針箱母の玉手箱/鷹羽狩行
針傷の咎め厭ふや夜半の春/泉天郎
河骨や金の待針湖に刺し/坂本祥子
旅先に針糸愛でる蕎麦の花/小平湖
冬茜針の山から針を抜き/柚木紀子
釣針も鍼も供へて針千本/稲元稲月
月花の愚に針立てん寒の入り/芭蕉
針もてば悩みなき母冬隣/本郷和子
針葉のひかり鋭くソーダ水/藤木清子
俳句例:81句目~
針置くや夕日残れる木槿垣/千手和子
きさらぎの針に絹糸母のこゑ/上村占
針箱を引き寄せて母秋の雨/山本洋子
針箱の針銹び秋暑つゞきけり/及川貞
春袷針目細かき縫ひはじめ/田中幸雪
針箱にはぐれ釦のある暮春/内田美紗
たらちねの母よ千人針赤し/片山桃史
ちりめんへ散らす待針春隣/大津茂子
ばせを葉の破れつづらん松の針/万里
畳屋の針さす音も秋めきぬ/重弘昭三
針立てし青いが栗に野分雲/亀井糸游
まるめろや針触れあはぬ針鼠/矢島恵
春風に針の折れたる女かな/正岡子規
針山を涼しく風の通りけり/松山足羽
針山の如くに芒刈られあり/高木晴子
針山に針いきいきと春の雷/橋本榮治
針山に針あそばせて女正月/山中千香
ホチキスの針一列や神無月/清水ミヨ
一葉忌やうやく通す針の糸/山川慶子
針山に羽なき針や鳥渡る/磯貝碧蹄館