竈に関連した俳句の例をまとめました。
竈を含む俳句例
朝明の初音の関や竃守/李下
叡慮にて賑ふ民の庭竃/芭蕉
炭竃や稲妻走る山の腹/森鴎外
山柴にうら白まじる竃哉/重五
啓蟄の土中に民の竃跡/広岡仁
大寒の星大寒の大竃/黒田杏子
初茜母の竃火地に展く/竹中宏
竃馬や顔に飛びつく袋棚/北枝
炭竃や鹿の見てゐる夕煙/巴人
児を膝に海女梳る磯竃/渡辺畦月
炊き出しの外竃築き梨出荷/爽暁
古畳ばさと音して竃馬/佐藤至朗
哀れにてやさし竃馬吾木香/信徳
荒神は瞬きたまひ竈猫/飯田蛇笏
朝寒や柱に映る竈の火/佐藤紅緑
豆殻の音の加はる初竃/小澤慶子
年男我が候ふや竃の火/石井露月
炭竃やむかし光秀領の山/森澄雄
庭竈民や難波の帝より/椎本才麿
炭竃や猿も朽葉もまつも雪/素堂
俳句例:21句目~
御覧ぜむことさら民の庭竃/越人
松竹の中に草戸や庭竃/松瀬青々
炭竃五つ並ぶは温かし/石川桂郎
炭竈へみち逆落し氷る枝/上村占
炭竈やむかし光秀領の山/森澄雄
故郷や臼も竃も注連飾/田中寒楼
炭竈や雪の上行夕煙り/松岡青蘿
万歳や飯の吹きたつ竃の前/太祇
万緑や焔出たがる外竃/後藤房枝
楮蒸す年月古りし外竃/山川喜八
法粥や芍薬隠り竈燃ゆ/木村蕪城
海人を恋ふ人伝説磯竃/稲岡達子
昔より今が懐かし初竃/手塚美佐
傘さして筍茹づる竃守/喜多栄子
大根焚杉の葉はぜる大竃/芋川幸子
叩き染して立冬の竃の火/古舘曹人
寒泳に芋粥煮ゆる石竃/下村ひろし
味噌焚の大竃や燃え上る/川島奇北
寒食に竃の煤も落しけり/吉田笠雨
広重の版画のマッチ初竃/河野頼人
俳句例:41句目~
寒食や竃をめぐるあぶら虫/炭太祇
炭竃や雪のうへ行く夕けぶり/青蘿
火の神を祀るも律儀初竃/石山佇牛
大鍋に野菜がおどる初竃/小松富子
心澄む一休禅師の竃猫/梶山千鶴子
湖国なる母が生家や初竈/宮武寒々
寒餅を搗く時だけの大竃/前田壽子
竃猫代官屋敷守りけり/阿波野青畝
大根焚この日に備ふ外竃/遠藤新樹
御旅立竈の神を見送らん/正岡子規
恐らくは降れば雪なる七竃/石昌子
春窮の竃に焚くは椿の木/下村槐太
燃え競ふ二つの竃紅葉狩/福田蓼汀
初竃葛飾の野は近きかな/村山古郷
竈馬や顔にとびつく袋棚/立花北枝
亀甲竹の肌艶やかに初竃/下川霜州
炭斗の中に竃馬や坊泊り/佐藤梧林
初鶏に孟甞君の竃かな/安藤十歩老
友竃もどん~燃えて染初/有本銘仙
ま青なる火吹竹あり初竃/藤田美乗
俳句例:61句目~
草餅のその幾臼の竈火ぞ/石塚友二
涼しさや竈二つは有りながら/酒堂
火の音の中の竈火山眠る/長谷川櫂
銀河鉄道終着駅の竈馬/高野ムツオ
大声の僧にとび出す竃猫/升本行洋
太腿とさていふべきか竈馬/小島健
極月の竃火みゆる巷かな/飯田蛇笏
廚戸に柿の葉ふれば竈猫/西島麥南
煙突のよく引く音の初竃/溝口野火
素戔嗚の末裔の守る初竈/宮武寒々
水たごに寒菊ゆゆ竈壁/大阪-荘人
霰ふると思ふ空かな初竈/増田龍雨
峡中や炭竃清流余花も今/尾崎迷堂
炭竃に手負ひの猪の倒れけり/凡兆
炭竃のある所まで車行く/豊田一兆
炭竃の上に信楽越えの道/伊藤柏翠
炭竃へのぼる一町昼の露/野澤節子
炭竃や三里先キなる川港/尾崎迷堂
炭竃や滝のひかりも烟るひま/紫暁
火伏札竃なき家に悴めり/上山茂子
俳句例:81句目~
菊月の役炭竃や休ませて/石川桂郎
炭竈に哀れ蚊遣の煙かな/正岡子規
炭竈に陽炎立つや昼下り/正岡子規
炭竈のつめたき頃や山桜/正岡子規
炭竈の僅かな罅に漏る煙/堀内順子
炭竈の奥へ奥へと炎群れ/野村洛美
炭竈の煙にそまの雪の袖/正岡子規
竈猫尻の大きな妻がいる/和田幸司
炭竈や春頼母しく峯の松/飯田蛇笏
搗布焚く海女が竃は石固め/信太和風
初竃燃ゆる地獄の世なりけり/新城世
春寒し不器男生家の大竃/池内けい吾
朝さむく蝿のわたるや竈の松/炭太祇
竈馬来て独りの枕渡り過ぐ/小坂順子
竈猫湯治客にもよくなつき/三浦恵子
木葉ちる風や戸をさす竈の前/炭太祇
初竃燃えて大土間波うてる/竹中草亭
松すぎの遠濤みゆる夕竃/柴田白葉女
竈馬鳴く猫は竈に眠るかな/上島鬼貫
初竃次々に燃え盛りけり/金子せん女