絵(画)に関連した俳句の例をまとめました。
絵(画)を含む俳句例
女絵の扇やたたむ竹簾/栄政
合戦の絵詞となる春嵐/原裕
昔絵の春や弁慶藤娘/正岡子規
歌人の絵所訪へり春の宵/桃家
心ゆく絵紙屏風や冬籠/会津八一
夜長し家号鰻の絵の添ひて/昭彦
雪洞の戯れ絵拙し宵祭/高澤良一
雪山へ眼遊ばす絵付工/羽部洞然
古暦絵を遊さまに屑箱に/上野泰
蟇善光寺街道名所図絵/宮坂静生
綿絵の吉原の景一葉忌/下村梅子
綱曳きや道に鳥羽絵の男皃/言水
上方は近くて遠し絵双六/斎藤翆
絵行器や物よくいへる京童/楚畔
濁酒仙人仙女板戸絵に/有馬朗人
絵も斯や遠山低し鳳巾の糸/支考
絵の島や薫風の新しき/正岡子規
尼寺にかかる鯰絵霾晦/宮坂静生
白やおもひの淵を絵杯/加藤郁乎
溜息を誘ふ鏡絵九紋竜/高澤良一
俳句例:21句目~
石の絵に硬貨弾かれ春嵐/秋尾敏
鵜篝や殺生図絵のかぐはしく/桂子
初盆や厠にも吊る絵提灯/井上智子
鯉の絵の遠近法へ青葉光/伊丹公子
名所絵の明治風景花菖蒲/富安風生
初雪や妓に借りし絵入傘/日野草城
飾皿の絵は雪深き聖夜にて/有働亨
長八の鏝絵稲荷の御開帳/内海保子
鏡絵の大蛇は青く鬼赤く/高澤良一
金堂の鳳凰の絵も秋風裡/岸原清行
郭公や雲坪の絵に雲多し/西本一都
遊船の提灯の絵の秋の草/清崎敏郎
袖円に袴方なる絵雛かな/後藤夜半
行燈に初日の絵品川の海/久米正雄
羽子板や裏絵さびしき夜の梅/荷風
羽子板の裏絵雪中寒牡丹/後藤夜半
孫と行く世界一周絵双六/大貫松子
一遍の聖絵煤け初蝶来/佐々木六戈
三道を進むや軍の絵双六/広田寒山
夜涼や露置く萩の絵帷子/高井几董
俳句例:41句目~
江戸図絵に残る墨田の桜餅/北川草
家遠く北斎の絵の雁渡る/有馬朗人
絵絹灯籠虫の音近し草の花/調菅子
吹絵籠空しらみけり霧の窓/調川子
枯蓮の水面のほこり絵画館/中拓夫
絵幟の幾旒吹川鳴れり/町田しげき
寒林は騙し絵夫を見失ふ/佐藤弘子
絵仏に見ゆる古びを梅噂/斯波園女
噴水の広場を通り絵を運ぶ/久保武
白萩に幽霊の絵を売る男/鈴木鷹夫
水底に隠し絵ひかる蜷の道/藤井和
人獣大きさ違ふ涅槃図絵/能村研三
春泥や絵は豊国に陥りて/尾崎迷堂
絵の島や石も五色の花盛/正岡子規
会議室海の絵も寂び九月尽/村田脩
切凧の絵をうつぶせに麦の上/篠原
絵の中の鬼が念仏青嵐/西村たみ子
墨の絵となりゆく松や原爆忌/原裕
立春や香煙とゞく絵天井/野村喜舟
個展の絵到底難解初つばめ/及川貞
俳句例:61句目~
山の湯の宿のロビーに絵蓬/酒井武
枯蓮の水面のほこり絵面館/中拓夫
壁の絵は鳥か獣か末枯るる/皆吉司
いくつかは貼絵の遠さ浮寝鳥/狩行
秋風や板絵薄れし神楽殿/館岡沙緻
島彼方積荷の凧が絵を累ね/上村占
秋風や南京皿の絵の鯰/稲垣きくの
笏あてし絵扇あてし裸雛/後藤夜半
初午の雪洞の絵の狐さま/清崎敏郎
秋草を鳥羽絵の兎高掲げ/高澤良一
冬に死す青絵の皿に舟と波/上村占
神鳴の灸する絵も扇かな/中村史邦
冬枯や絵の島山の貝屏風/子規句集
大道絵奔馬を白く初観音/上井正司
初暖炉聖晩餐の絵の下に/亀井糸游
春昼の絵の女足組んでをり/上野泰
夏痩せへ甥の絵文の蛸坊主/飴山實
花に啼絵になく鳥や涅槃像/横井也有
内海や貼り絵の如き蜜柑山/高澤良一
怪獣に撃たれ振出し絵双六/今村夏子
俳句例:81句目~
花の堂石童丸の絵解きかな/西本一都
冷房のかつ雪嶺の絵の前に/皆吉爽雨
花愛づる毛唐の大首横濱絵/高澤良一
戦ひの絵なれば暗し走馬灯/小川一灯
戦絵の源氏平氏やきせる草/瀧澤和治
花鳥もうら絵はうすき扇かな/炭太祇
荒れ狂ふ絵伝の海や鑑真忌/吉田速水
うるし絵の合せ鏡や一葉忌/田中美月
担ぎたる絵凧に磯の波あがる/有働亨
蓮如忌や絵伝の日本海青し/三浦葵水
分限者の己が絵像や更衣/河東碧梧桐
薬玉や杉戸に残る絵の胡粉/中川四明
かささぎの橋や絵入の百人一首/許六
賽の目の仮の運命よ絵双六/高浜虚子
賽子が火星に届く絵双六/友永佳津朗
軍絵の廻り燈籠売れにけり/臼田亞浪
送り絵の静御前の遠く立つ/黒瀧虎洲
道成寺絵解のつづく日永かな/河本和
遠足や海の合戦絵にのこり/大島民郎
遠雷や父の電車は絵の中に/柴崎昭雄