俳句例:101句目~
馬兵に終戦の日は暑かりし/巌谷小波
馬立てし練兵場の雪間かな/小栗風葉
兵馬俑軍団動き出す良夜/文挟夫佐恵
冬枯るる目は南軍の兵の母/対馬康子
冬薔薇異国に散りし兵の墓/和田貞子
髯のある雑兵どもや冬の陣/子規句集
鳥雲になべて西向く兵馬俑/石野冬青
鳥雲に兵舎は門を残すのみ/岩崎照子
凩やいとまたまはる近衛兵/正岡子規
初冬の門広し兵の執る箒/楠目橙黄子
国境は涼し兵舎の置ランプ/田村了咲
墓群立つ兵も尼前も雲の峯/古舘曹人
コスモスや旧兵舎より女学生/井上雪
ゴム青く兵は庭の柿を夢む/藤後左右
夏草や寮歌をもちて兵送る/岸風三楼
夕焼は羅刹の兵を天におく/石原八束
大兵の野山に満つる霞かな/正岡子規
女生徒の花傷兵の辺に赤き/細谷源二
如月の白日兵を征かしむる/萩原麦草
リングの血群衆の中の兵喚く/三谷昭
俳句例:121句目~
妻つれて兵曹長や花ぐもり/高野素十
一兵にそゝぐまなざし雪の鵙/齋藤玄
寒灯下手術にゆきし兵の床/横山白虹
一兵の遺影は二十歳十三夜/鈴木信行
寒風や隊伍みじかき帰還兵/渡邊水巴
三千の兵たてこもる若葉哉/正岡子規
少年兵いちじく一本偽りぬ/兼近久子
紅葉し月下に踊る姉と兵/志波響太郎
二月うらゝ傷兵鴎より白し/渡邊水巴
帽とるや眉目涼しき飛行兵/皆川白陀
帽とれば頭青き兵と汗の馬/京極杞陽
戦傷兵うつる卓鈴夏逝けり/宮武寒々
信濃柿赫し敗兵の日を思ふ/巌谷小波
俺に似た少年兵が熱砂ゆく/五島高資
傷兵と子に噴泉の水は涸れ/岸風三楼
戦傷兵外套の腕垂らしたり/加藤楸邨
戦傷兵征けり薄暑の映画街/宮武寒々
傷兵にヒマラヤ杉の天さむざむ/白虹
挙兵あり遁走ありぬ時鳥/大峯あきら
捕虫網一兵雲を踏み外す/磯貝碧蹄館
俳句例:141句目~
援兵の沙汰も聞えず雲の峯/寺田寅彦
新兵の欠礼街に獅子舞へり/萩原麦草
傷兵の妻らし子負ひ秋の雨/高濱年尾
日に向かふ喇叭水仙兵の墓/大野津弥
日曜の巷の兵に日脚伸ぶ/岡崎莉花女
春塵にまみれて兵馬俑五千/鈴木詮子
傷兵の食膳にふれ温室の花/横山白虹
月寒し戦装の兵等との別れ/石塚友二
朝寒の市電兵馬と別れたり/石田波郷
朝焼へ朝焼へ兵の貨車退る/中島斌雄
入営や古兵笑ひつ雪掻けり/中島月笠
木枯や葡萄の丘の兵たりき/中村圭作
兵たりし夫の一世や鳥雲に/本郷和子
兵たりし父外套を残しけり/榎本好宏
末黒野の起伏に兵の影走る/蛇嶋知誠
松籟や三角兵舎に我が暗し/久保純夫
松葉杖傷兵銃のごとく擬す/横山白虹
柿の花一兵たりし父の遺書/今田清乃
桜貝あまたの兵の帰らざる/岸原清行
榛咲くや平民と刻む兵の墓/水原春郎
俳句例:161句目~
沓穿きて大兵ぞろひ修二会僧/森田峠
白き衣の兵ら若水担ひ来し/萩原麦草
兵の墓までの道なる踊子草/宮田富昭
兵の墓将軍の墓つつじ咲く/大久保明
兵の墓新道拒む茅花冷え/中戸川朝人
盲導犬湖畔の秋を兵に添ふ/宮武寒々
短夜を酔ひて初老の兵の唄/佐藤正治
秋の夜に江帥兵を談じけり/黒柳召波
秋の蝿方向音痴の逃亡兵/小山英四郎
空澄めり兵舎の桜あおむまで/三谷昭
兵の子の凧蒼天へ糸張れり/細谷源二
緑蔭にまどろむ兵の皆仏/鈴鹿野風呂
兵の矢先に似たり唐がらし/松岡青蘿
兵の遺書簡潔に松色変へず/工藤義夫
兵の遺言簡潔に松色変へず/工藤義夫
練兵のあとかたもなく麦畑/中川宋淵
繭玉や傷兵慰問の人派手に/岸風三楼
老人のうしろに霧の少年兵/則行範子
臓腑まで兵の声満つ紅葉塚/小出治重
花吹雪兵歴俳歴無位無勲/伊丹三樹彦
俳句例:181句目~
兵五千夏野を通る旦かな/野田別天楼
草の花練兵場は荒れにけり/正岡子規
兵俑よ少し休めと月のこゑ/和田知子
華客おほ方兵等壮んに心天/石塚友二
兵出征機械断層の辺に汗す/細谷源二
兵列を見送る浴衣斜めにし/高橋馬相
虻が来て老兵が来て墓笑ふ/熊谷愛子
蝿も飛ばで屯田兵舎の厨跡/北野民夫
兵歴の抜けぬ敬礼泰山木/増田とみゑ
蟻の兵まじりて蟻の輜重兵/京極杞陽
豆を撒く声兵に似て兵の父/萩原麦草
踏めば鳴く屯田兵の雪の道/鈴木一明
軍港の兵の愁ひに深雪晴れ/飯田蛇笏
農兵の演習の地に籾殻飛ぶ/小林道子
兵燹の煙をかぶる牡丹かな/野村泊月
兵燹の礎石露けし国分寺/深見けん二
兵用ふへき新涼の茶漬かな/尾崎紅葉
兵の日の汗の革帯また臭し/榎本冬一郎
月涼し兵火山門に迫りしと/大峯あきら
唐黍や兵を伏せたる気合あり/夏目漱石