俳句例:201句目～
鷭の子のもう親離れして漁る/松本圭二
鹿の子に必ず親の目のありぬ/村木記代
おとろへし親におどろく野分かな/原裕
かたまりて菌の親の子沢山/馬見塚吾空
こけしには親兄弟もなかりけり/中勘助
つつぬけの天の高さや思親閣/小島花枝
ぬすまれて親の恩知る寒さ哉/正岡子規
ねだる子や秋淋しがる親の顏/正岡子規
ひとの子の親のさびしさ鳥雲に/安住敦
ふた親のくに秋嶺の藍ひらく/成田千空
ふところの親の位牌や秋出水/三宅応人
ほその緒や親の手跡の土用干/正岡子規
やぶ入の寐るやひとりの親の側/炭太祇
わか葉して親と子疎き雀かな/高井几董
わびしさは親なき人の二日灸/正岡子規
をろがめる大御親神伊勢の春/高澤良一
乳親の嫁ぐとも聞く春の雨/中塚一碧樓
亀の子が一目散に親のあと/長谷川公二
人の親の甘酒売を呼びにけり/正岡子規
仔牛まだ親を離れず花胡桃/古賀まり子
俳句例:221句目～
佐渡航路寄する卯浪の彩親疎/高澤良一
六法を踏む揺れのあり船芝居/戸上親俊
冬ぬくし人骨にある親知らず/能勢京子
冬の湖聖徒は親を捨てにけり/角谷昌子
出代の傘返し来す親の馬子/石島雉子郎
剪定の小枝親木の根に積まれ/川崎慶子
厩出しの親牛が跳ね仔牛跳ね/千葉年子
呼ぶは子よ何をくはへて親雀/正岡子規
咥へとぶ親を見てゐる雀の子/角川春樹
夏以後の暑を志士とその親の墓/竹中宏
大駈りしては鹿の子親に添ふ/皆吉爽雨
太箸や親に貰ひしめでたき名/太田壽子
子が舞えば親が囃して花神楽/平松荻雨
子は親を育てる蘆の角である/園ゆかり
子も親もみな日焼して玉送り/山口義夫
寒に入る親芋子芋はしけやし/藤田湘子
寒声や親かたどのゝまくらもと/炭太祇
寒夕焼親に先立つかも知れず/結城昌治
巣つくるや憎き鴉も親ごゝろ/加舎白雄
巣の中や身を細うして親燕/少年-峰嵐
俳句例:241句目～
年の暮ひら～生える親知らず/中川宋淵
弓弦葉や親より越せぬ子の齢/清治法子
我れが身に秋風寒し親ふたり/上島鬼貫
我親に似てをかしさよ古頭巾/正岡子規
抱き親は生絹のかぶり水烟る/茨木和生
捩花親の因果は過去のこと/磯崎ゆきこ
春の鴉親に死なれて啼きしかな/安住敦
春嵐親にそむきしことあらず/堀口星眠
晝霞親死んで渡舟筋替へし/中塚一碧樓
晩涼や親に似て子もだまりん坊/龍岡晋
木瓜の実や仏頂面は親ゆづり/麻生順子
末つ子の親となる日や桜桃/和田千恵子
松の雪親に齢のありしこと/ふけとしこ
梅日和ラツコの毛皮親ゆづり/野村喜舟
梅雨の窓其子の親も覗きけり/尾崎紅葉
梶の葉や親のなき身の願ひ事/井上井月
沖へ放つ帰ることなき親鰻/百合山羽公
潜く親見てゐし鳰の仔の潜く/松井文子
煮凝や親の代よりふしあはせ/森川暁水
爪切ってすでに親なき夜の霜/高橋ふじ
俳句例:261句目～
猫の子や親を距離て眠り居る/村上鬼城
猫の親屑茶の上を歩るきけり/前田普羅
猿引を親猿と思ふ夜もあらむ/正岡子規
猿曳を親猿と思ふ夜もあらん/子規句集
獅子の児の親を仰げば霞かな/幸田露伴
玉椿親仁さけすばかゝらじを/服部嵐雪
男親こでまりほどの飯握る/鈴木八駛郎
畦もどる親馬仔馬ほととぎす/木村蕪城
破れあり親子障子の親の方/佐々木六戈
祖父よ父よ梅雨響かしめ男親/石塚友二
竹の子に親竹は影降らすかな/鈴木鷹夫
竹の子の出て竹の親ふり仰ぐ/辻田克巳
精進すなといはれし親の彼岸かな/来山
胼かなし親なき後のこと思ふ/高濱年尾
花人やめしひの親の手を引ける/飴山實
苔さくや親にわかれて二十年/村上鬼城
若竹の艶見す親竹並みてみせ/香西照雄
苧環や子に始まりし親離れ/矢口由起枝
菊数多届き親なき子となりぬ/櫂未知子
菊枕子のない親に寝てもらう/間宮洋子
俳句例:281句目～
菖蒲湯や男の子つれたる女親/正岡子規
菱喰の親が左を見れば子も/天河真佐子
萩年々今年子の親にしあれど/福田蓼汀
蓮の葉の小さきを親の涙かな/尾崎紅葉
虎産み落とせし親もこんな貌/高澤良一
蜜豆や親に逆らひ娘が喰ふる/今泉貞鳳
親が鳴き子猿が鳴いて秋の風/正岡子規
親たちばかり暖冬の杉ばかり/齋藤美規
親と子のごとき硯を洗ひけり/八染藍子
親と子の心の対話さくらんぼ/酒井銀鳥
親と子の親獅子子獅子初芝居/戸板康二
親にあふて一日秋を忘れけり/正岡子規
親に添ふ仔馬大地を楽しめり/尾崎和子
親のない子は大人しき火鉢哉/寺田寅彦
親のなき婢の身の上や走馬燈/鈴木花蓑
親の縁薄かりし梅雨の髪洗ふ/佐野美智
親は子に古著買ふなる祭来ぬ/森川暁水
親ひとり子ひとりに夜の鏡餅/飯田龍太
親むやとまりとまりの根深汁/角田竹冷
親もちし人は目出度し墓祭り/井上井月
