故郷に関連した俳句の例をまとめました。
故郷を含む俳句例
故郷も隣長屋か虫の声/其角
名月や故郷遠き影法師/漱石
故郷や秋稍寒く梨の味/抱琴
故郷も今は仮寝や渡り鳥/去来
初夢に故郷を見て涙かな/一茶
草枕故郷の人の盆曾かな/暁臺
花盛故郷や今衣がへ/正岡子規
故郷や蕪引く頃墓参/子規句集
故郷の訛に戻り初電話/松本幸代
花茨故郷の路に似たるかな/蕪村
迎火や墓は故郷家は旅/正岡子規
故郷を百度捨てし鳳仙花/杉田桂
一枝の椿を見むと故郷に/原石鼎
馬の子の故郷離るる秋の雨/一茶
とかくして又故郷の年籠り/一茶
亡母遠し故郷遠し鰯雲/清水朱美
三人の故郷の遠き蒲団かな/余子
傾城の故郷や思ふ柏餅/正岡子規
雪嶺を据ゑ一故旧なき故郷/林翔
明易き故郷泊り水匂ふ/田中英子
俳句例:21句目~
故郷の菊十月も咲きにけり/船山
麦秋を俯向き通る故郷かな/耕衣
函館も故郷の一つ鰯雲/西本一都
初便り復員学徒故郷にあり/青邨
初声に明け故郷の藁庇/桑原晴子
泡盛や故郷違ふ男らに/青木満子
故郷の母と姉との初便/高浜虚子
故郷のなき晩年や寒昴/塩田晴江
故郷や臼も竃も注連飾/田中寒楼
故郷や菊の籬の草の山/尾崎迷堂
北窓を開き故郷を恋う話/浦川哲子
鰤雑煮父母の故郷に縁なしや/茘枝
故郷やよるもさはるも茨の花/一茶
故郷の虫の浄土に枕並べ/成宮紫水
五年みぬ故郷のさまや桃の花/維駒
螢飛ぶ故郷の夜道鞄提げ/福田蓼汀
旅に寝て故郷の春を惜みけり/春武
頭にふるる炎天の風故郷なり/原裕
青梅の雫したたる故郷塚/近藤文子
故郷を七度あとに秋の風/会津八一
俳句例:41句目~
葭切に空瓶流れつく故郷/藤田湘子
葭切に故郷またも杭を打つ/滝佳杖
故郷も父母もなき手毬唄/菖蒲あや
落花生畑の月も故郷なる/行方克巳
故郷や酒はあしくとそばの花/蕪村
名月や故郷に似し山の嶺/池田トク
早春や遠故郷のすみれ色/村越化石
故郷の海の色濃き鱸かな/黒瀬輝子
故郷を訪ひて遊子や夏罰/山田弘子
野鼠の走るを遠目枯故郷/伊藤京子
故郷の神に願ひて厄落し/稲垣由江
花街の雨の冬草故郷かな/長谷川双
故郷の風の匂へる古団扇/青柳薫也
下町は父母の故郷一葉忌/伊東宏晃
夏帽や故郷を望む舟の中/赤木格堂
花いばら故郷の路に似たる哉/蕪村
斥候の故郷望む岡見かな/正岡子規
大川を渡れば故郷稲の花/沼尻ふく
脚病めば故郷遠し啄木忌/遠藤梧逸
終点が故郷晩秋磯の香も/古舘曹人
俳句例:61句目~
孟宗を七夕竹として故郷/福永耕二
寒肥や骨は故郷に埋めんと/関梅春
秋風や故郷さして歸る人/正岡子規
病得て今は故郷に虫の秋/鶴田栄秋
猫柳故郷にありし空の色/山田紀子
故郷近く夏橙を船に売る/正岡子規
照影も殊に故郷の花の蔭/中村汀女
渡鳥誰か故郷を愛せざる/山口青邨
故郷の艀舟嬉しき夏帽子/会津八一
恙なき故郷の山河初景色/岡野洞之
懐手故郷の町も久しぶり/福田蓼汀
春暁の故郷の厠生木の香/宮坂静生
水洟の水色膝に落つ故郷/永田耕衣
桜貝耳に忘れてゆく故郷/二村典子
故郷や母がいまさば蓬餅/正岡子規
故郷去る十三日の月の宵/下村梅子
故郷や知らぬ男の畠打つ/正岡子規
故郷や祭も過ぎて柿の味/正岡子規
故郷に来て過客なり柏餅/東智恵子
故郷に猿の出没かまい時/原田孵子
俳句例:81句目~
故郷に肺を養ふ冬こもり/正岡子規
茎立や故郷すでに他郷にて/樋笠文
手漉紙光る故郷の春にゐて/杉本寛
血縁の絶えし故郷の桐の花/長田等
蠅いとふ身を故郷に晝寢かな/蕪村
前橋は母の故郷霜夜明け/星野立子
故郷や菊芳しく父母在す/寺田寅彦
故郷の山未だ覚めず霞草/川野一雨
故郷の山深くして蝉時雨/山本仟一
故郷の巨燵を思ふ峠かな/正岡子規
故郷の春夕焼に染む屋並/清原和子
故郷の月の明るき寒稽古/福田蓼汀
鳥雲に水の近江を故郷とし/桜坡子
東京はわが故郷よ獅子ばやし/龍男
茸にほへばつつましき故郷あり/龍太
故郷を去つて蓴を喰ふかな/会津八一
四万六千日の陸橋故郷なし/八木荘一
鰊焼くけむり故郷の匂ひ来る/谷和子
国境に立てば故郷恋ふ冬茜/加藤一水
故郷の淋しき秋を忘るゝな/正岡子規