扉に関連した俳句の例をまとめました。
扉を含む俳句例
春風の重い扉だ/住宅顕信
櫻餅濡れて入り来し扉かな
朝寒や関の扉の開く音/蝶夢
永別や扉の奥の潦/冨田拓也
大門のおもき扉や春の暮/蕪村
蟋蟀に扉一枚開かれる/斎郷梅
扉みな父の胸板十二月/澁谷道
玄関の扉煩き夕薄暑/小出秋光
極月の礼拝堂の白扉/有光令子
詩仙堂雨の扉の蝸牛/田中王城
首塚の石の扉や蝸牛/高見周子
山祠左右の扉に松飾り/石原栄子
山神の扉の半開き忍冬/森田安子
初夢に扉あく音山の音/永島靖子
暦売南無観音の扉かげ/川端茅舎
仮の世の回転扉夏蓬/高野ムツオ
天の扉や初雁一羽失ふ/岡本和子
院々の月の扉やほととぎす/木国
桃兆す天の一枚扉かな/折笠美秋
教会の厚き扉や白芙蓉/村川雅子
俳句例:21句目~
夜へ向く扉一つの黄水仙/松澤昭
夜は閉す扉の外の金黒/香西照雄
夏服の前に硝子の扉あり/不破博
回教の鉄扉の固し十二月/森田峠
秋風に吹かれて開く扉かな/篠原
冷奴寺の扉の少し開き/柿本多映
三椏や英国大使館鉄扉/佐藤鬼房
花の門豊太閤の紋扉/阿波野青畝
両面に雪ふる扉亡母の忌/渋谷道
白露や扉を開く金色堂/石井露月
月明の一扉一尊招提寺/橋本榮治
稲光楽器屋鉄の扉閉づ/岩永草渓
綿虫に体育館の扉あり/山尾玉藻
花吹雪旧予科練の鉄扉/岩田一止
老鶯や白藤垂るる御扉/橋本鶏二
暖房や葭の衝立扉を隠す/山口誓子
仏壇の扉開かせくる雪崩/対馬康子
若武者の辞世扉に白木槿/谷中隆子
冬の霧扉一枚ずつ開ける/新庄佳以
教会の木の扉から夏の蝶/熊谷愛子
俳句例:41句目~
廬舎那仏月待つ開扉闇払ふ/原柯城
蔵の扉の女に重し冬支度/丸山茨月
冬銀河軋む扉を開け放つ/前田秀子
ことごとく春の扉摶つて鳩嵐/原裕
この宿は水鶏もしらぬ扉かな/芭蕉
押す扉引く扉秋深きかな/岸本尚毅
此の宿は水鶏もしらぬ扉かな/芭蕉
菊明り隔つ扉や懺悔室/石田あき子
菊の香の夜の扉に合掌す/高野素十
菊の鉢回転扉に抱き悩む/吉屋信子
分校の扉錆びをり栗の花/飯村弘海
初寅の秘仏の扉開きけり/野沢翠葉
巡禮や緋鯉にひらく大扉/古舘曹人
初蛙渡岸寺さま扉を閉す音/岸田稚
鷺草や天の扉の閉まりし音/橋間石
鶏頭や扉叩いて子供泣く/岸本尚毅
花の塔四方の扉に八天女/近藤一鴻
卒業歌涙の蔵の扉を開けて/楠節子
舷の春海峡に扉をひらく/古舘曹人
は氷に上るや恋の扉開く/青柳/飛
俳句例:61句目~
吉曜の扉を開く今朝の秋/深谷雄大
空中に回転扉曼珠沙華/磯貝碧蹄館
飛花落花開け放ちたる心の扉/畑稔
告解の扉の向かう聖週間/伊藤茂子
秋空はうらおもてなき扉かな/原裕
秋口の庭池の扉や月の雨/飯田蛇笏
堂の扉の枯木模様の又変る/上野泰
獄舎の扉夾竹桃の花犇と/石原舟月
雲に古る扉の花鳥彼岸寺/飯田蛇笏
夕立くる回復室の扉開け/対馬康子
月光の扉は内へ開かれし/高田正子
燭点し瓜番小屋に扉なし/町垣鳴海
春雨やはなればなれの金扉風/許六
月の出や扉を砧にて抑へ/吉田紫乃
銀行の鉄扉の前に草の市/近藤弘子
大扉開き賓頭盧廻しかな/吉沢一葎
天国の扉のしだれ桜かな/平山雄一
暮早き扉はいまだとざされず/楸邨
一方にのみ押す扉暖房館/津田清子
滴りや扉を固く陰の神/肥田埜勝美
俳句例:81句目~
宝蔵の扉開けある彼岸寺/中島信峯
扉一枚螢のいる眠りぎわ/金子皆子
諸江屋の開かぬ朝扉夏燕/高木晴子
春水を渉りて到る扉かな/野村泊月
三月の手前に開く扉かな/有馬英子
海女沈み扉の如く海は閉ぢ/上野泰
浅草寺扉しめたる朧かな/増田龍雨
流鶯や夢の扉は半開き/河原枇杷男
山祗の出入の扉あり雪囲/前田普羅
巴里祭扉軋みて雨にひらく/小池文子
注連飾る山小屋鈴の鳴る扉/道場信子
帰り花秘仏の扉開け放つ/松尾崎明美
暖房や人を舞はしむ回転扉/井沢正江
水荘の扉に楡しげる螢かな/西島麦南
きしむ扉へ油を落す祭どき/舟見良子
水仙の香に遅れ来し扉押す/山田弘子
次の世の扉のいろか萍は/摂津よしこ
御仏も扉をあけて涼みかな/正岡子規
つぎの世の扉の色か萍は/攝津よしこ
御開扉に鵯のとぶ影神還る/亀井糸游