尺を使用した俳句

俳句例:101句目~

一合の酒にめでたる雪五尺/橋本榮治

蘆の穂や五尺程なるなにはがた/一茶

一尺の和釘横たへ春立つ日/藤田湘子

蚊を打てば巌百尺の響あり/古舘曹人

行春は七尺あまり白木綿/中尾寿美子

一尺の空のなだるる山吹草/石井雅之

一尺の舟浮かしけり春の水/正岡子規

赤き馬百尺の崖撃たれ墜ち/細谷源二

赤石の秀の雪白は尺余のみ/栗生純夫

万尺を下り来りて地に腰す/山口誓子

野祠やかげろふ上る二三尺/飯田蛇笏

金玉方尺の冷気くれなゐに/内藤吐天

二三尺波をはなれて秋の蝶/石井露月

二三尺雪積む野邊の地藏哉/正岡子規

鉢たふき汝を曲尺に梅の花/浜田酒堂

雪と一字方尺の書や栄西忌/寺山蒼海

二尺余の鯉閑かなり惜命忌/平岩弘子

雪代の尺を越したる岩かな/茨木和生

靜かさに雪積りけり三四尺/正岡子規

風鈴の咫尺に都会動くなり/山本歩禅

俳句例:121句目~

飛び梅の池や不動の尺の鯉/足立愛三

鯨尺おからで磨き針祭る/秋山美知子

鯨尺の亡き母の名や針供養/黒川芳穂

全身を伸べて尺獲空さがす/青山妙子

鶴の声菊七尺のながめかな/服部嵐雪

凍空は刃渡り五尺五寸かな/寺崎玄兎

鷄頭は二尺に足らぬ野分哉/正岡子規

切れ味や五尺に餘る芋の莖/正岡子規

初午や朱のなつかしき鯨尺/鷹羽狩行

初日影五尺の庵に入れ申す/藤野古白

鷹かへる夫婦尺土を耕して/細谷源二

千里来て鴨方尺にかかずらう/朝田生

地上一尺に空蝉幽かなり/百合山羽公

夏近し父の着尺の縞こまか/永田耕衣

天に月地に尺的の今宵かな/尾崎紅葉

子規堂に四尺の秋の簾かな/五十崎朗

尺余る鮒の手応へ竹瓮揚ぐ/吉田芹川

山風に一尺伸びしあやめ草/萩原麦草

帚木は五尺になりぬ雲の峰/大野洒竹

干し菜汁鴨居隠しに鯨尺/宮澤せい子

俳句例:141句目~

春の雪尺なすに出て外後架/石川桂郎

春霖や鴨居に眠る二尺指し/伊達洋子

是がまあつひの栖か雪五尺/小林一茶

曲尺を当てては惑ふ雁渡し/皆川白陀

月の前電線二三尺見ゆる/石橋辰之助

朝霧や咫尺山見えず蜑小船/正岡子規

桃の若枝の四五尺が今咲く/喜谷六花

水際まで尺の積雪浮寝鳥/古賀まり子

尺獲ののぼりつめても天深し/末兼義芳

かこハれた五尺の庭の落葉哉/正岡子規

雪影の方尺の座のいざり機/小檜山繁子

きさらぎの橋十五尺なすな恋/秦/夕美

新聞に五尺とふれし藤の咲く/尾崎紅葉

涅槃図を咫尺に拝す仔細かな/大橋敦子

雪五尺案内の僧の足袋はかず/左海延子

雀の子一尺とんでひとつとや/長谷川双

降りかくす眼路寸尺に雪新し/野澤節子

鉢に植ゑし二尺の松の落葉哉/正岡子規

はき出せぬ五尺の庭の落葉哉/正岡子規

針穴を二尺離せる秋思かな/橋屋美重子

俳句例:161句目~

針供養二尺の袖の頃のこと/阿部杜美子

ほととぎす啼くや五尺の菖草/松尾芭蕉

み熊野の二尺に余る松の芯/尾崎亥之生

牡蠣を割る方一尺の無言の座/水原春郎

那智の滝一尺見ゆる雛の家/吉本伊智朗

蝙幅や鴟夷に盛りたる尺捨つ/尾崎迷堂

一万尺下りきて盆の町通る/上田五千石

一尺の厚みに出来し藁蒲団/及川あまき

一尺の子があぐらかくゐろりかな/一茶

一尺の木に花さかる木槿かな/正岡子規

豆腐屋は豆腐をつくる雪五尺/黒田杏子

万尺の雪渓を踏み八十路なる/石野冬青

母の名の残る尺差し針供養/金原登志子

二三尺てぐすが見ゆる鯊の潮/前田普羅

二尺余の紙を転がし障子貼る/宮内春江

二尺余の鯉来て桜ゆらぎけり/川村紫陽

尺獲のその先知らず戻りけり/小川江実

五尺の子蚊帳の月光抱え寝し/平畑静塔

衣がへ人も五尺のからだかな/蕪村遺稿

亡き妻を夢に見る夜や雪五尺/正岡子規

俳句例:181句目~

行秋を一尺の銀杏落葉かな/島村元句集

倒れ木に尺あてて居り野分晴/西山泊雲

熱の眼の咫尺にうるむ仏手柑/石川桂郎

芭蕉己に此秋をのびる事五尺/正岡子規

剪定の脚立尺余の雪に挿す/内出ときを

行く春や尺に満ちたる蕗の薹/正岡子規

藍二尺織りて筬止む余花の雨/橘美寿穂

尺当ててみよ五箇山の残り雪/伊藤敬子

桐一葉咫尺すおとの真暗がり/飯田蛇笏

昼寝覚万尺の嶺にわがゐたる/相馬遷子

蝉ナクヤ五尺ニ足ラヌ庭ノ松/正岡子規

落葉喰ひ沼に五尺の鮒棲むと/岡田日郎

尺差で布積もりゐて一葉忌/長谷ミツル

虚子の声咫尺にありて風薫る/桑田青虎

柿の木に梯子そのまま雪二尺/宇佐美目

差金も尺も使はず萱葺くと/八木林之介

山里や尺に満ちたる鮎のたけ/正岡子規

草の穂の一尺ほどな鼠の尾/佐々木六戈

梅雨の漏り鉄尺錆を新にす/米沢吾亦紅

尺鮒に藻の花まじる朝の漁/岡野風痕子