俳句例:201句目～
間違へて笑ふ頭巾や客二人/正岡子規
蜜豆やころころ笑ふ総婦長/川崎展宏
山笑ふ音羽の水に願ひごと/田島久子
泣く母も笑ふ其子も秋の風/正岡子規
山笑ふ胎動ときにへその裏/仙田洋子
山笑ふ笑ひ転げて果ては海/岡本久一
炎天に笑ふか泣くか汝大仏/鈴木鷹夫
三畳の仏間より見え山笑ふ/長谷川双
烏瓜かんらかんらと笑ふかな/中田剛
山笑ふ歳月人を隔てけり/鈴木真砂女
熱燗や耳遠ければ笑ふのみ/槫沼清子
一票乞ふ凸凹道路鵙笑ふ/石田あき子
山笑ふ日や放れ家の小酒盛/井上井月
父笑ふうしろ西日の雪景色/飯田龍太
世は泣いて迦葉は笑ふ涅槃かな/信徳
山笑ふ放して釣らす鱒釣場/小林勇二
牡丹雪払ひて笑ふ少女かな/仙田洋子
狸なく夜を夢に笑ふか恵心堂/中勘助
獅子舞の口の奥より酔ひて笑ふ/楸邨
山笑ふ大声の僧ひとり棲み/茨木和生
俳句例:221句目～
人日の地べたに九官鳥笑ふ/熊谷愛子
人日や鴉が笑ふやうに鳴き/式地須磨
高縄やこちが笑へば笑ふ山/正岡子規
仁王門汗し過ぎれば膝笑ふ/高澤良一
仏達を笑ふてくらす彼岸哉/正岡子規
他愛なく男の笑ふ葛湯かな/岩田由美
かづら橋渡れぬ一人山笑ふ/稲畑汀子
笑う山の肩からはずす躾糸/武田和郎
冬の旅楸邨門下よく笑ふ/猪俣千代子
かかへ込む大物小物山笑ふ/嶋崎はる
手入良き仏足石や山笑う/脇本良太郎
山笑う少女ひらりと逆上り/橋本雅子
お土産は地酒一本山笑ふ/齊藤フク子
山寺に笑ふやうなり鐘の声/正岡子規
古トンビ孫等が笑ふ良寛忌/遠藤梧逸
三界の音にほだされ山笑ふ/中井恭子
いやに笑う少年未明の火薬臭/岡田耕治
賤が家に置くも笑ふや福壽草/正岡子規
羽抜鶏追はれて墓も笑ふべし/桂樟蹊子
山笑ふ土偶のやうに妊婦われ/仙田洋子
俳句例:241句目～
山笑ふ日の古障子明けておく/野島島人
山笑ふ日本列島ふくらまし/今西真佐男
迎火や媼は笑ふやうに食べ/佐々木六戈
絲取女笑ふを聞かず大暑来る/相馬遷子
山笑ふ藁麦が羽織を着てゐたる/龍岡晋
ふくみ笑う蜜柑東北墓地多し/寺田京子
山笑ふ阿弥陀如来にどぜう髭/木塚眞人
山笑ふ雲が遊びに来てをりぬ/小坂順子
帰郷する杜氏を見送り山笑ふ/伊東宏晃
恐ろしき灘をへだてて山笑ふ/正岡子規
故郷やどちらを見ても山笑ふ/正岡子規
日ざかり泣いても笑ふても一人/山頭火
鳥、、花になれる児山笑う/早乙女未知
紫陽花の俗なるを笑ふ夏の菊/会津八一
松かさでお手玉すれば山笑ふ/西本一都
何笑うて波間に消へし鯨の目/高澤良一
検診の一つ褒められ山笑ふ/府中谷幸枝
納涼の上方芝居に泣き笑ふ/大塚とめ子
糸取は天職と言ひ目で笑ふ/浜本美重子
節分の鬼が笑へば子も笑ふ/柴田華世子
俳句例:261句目～
青げらは汝が夏帽を笑ふらし/福永耕二
生き死は人の世のこと山笑ふ/半田陽生
皓き歯見せ雪焼の顔よく笑ふ/大原雪山
神天降り大いに山の笑ふなり/角川春樹
春の鳥ころころ笑う坂を持ち/金城けい
春風に吹き出し笑う花もがな/松尾芭蕉
穂が抜ける矢立の筆の山笑ふ/野村喜舟
笑ふ山から郵便夫来る足音す/今瀬剛一
笑ふ山に入りて親しき鼓動音/奈良文夫
笑ふ山を遶りて咽ぶ河瀬かな/島田青峰
沈黙を通せず笑う石榴の実/金沢よし子
笑ふ山中に妙技のむつかしき/正岡子規
筆順を虚空に書くや山笑ふ/遠野ひかり
継体天皇杖に立ちまし山笑ふ/松山足羽
縄飛びを跳んで二つの山笑ふ/佐川広治
男から死ねと茅花の野に笑う/寺井谷子
翁ゐてからから笑ふ柚子木山/野澤節子
芒枯れくつくつ笑ふ山河あり/齋藤愼爾
菊さけば南蛮笑ふけしきかな/飯田蛇笏
育ててみれば笑う歯が二つぶ/藤崎麦村
俳句例:281句目～
裏白やからから笑ふ山の姥/伊丹さち子
花馬酔木雲ゆつくりと笑う馬/岩間愛子
足の裏拭けば笑ふ子山笑ふ/村山砂田男
初笑たしなめつゝも祖母笑ふ/星野立子
顔中で笑う少女やカンナ咲く/関真由子
龍の骨より生まれては笑う我/夏石番矢
足軽ろきときは四方の山笑ふ/高木晴子
笑初わけもわからず皆笑ふ/井上兎径子
馬がゐてきらきら笑ふ夏の川/平井照敏
薄氷笑ふに堪へて物は在り/河原枇杷男
飛行雲ゆっくり解け山笑ふ/鈴木寿美子
麦こがし人に遅れず笑ふなり/桑原三郎
駅舎より大き機関車山笑ふ/廣田みさ江
その奥におかめが笑ふ大熊手/長谷川櫂
高浜虚子立つ背景の山笑ふ/成瀬正とし
麦踏むや笑ふ別れに挟まれて/香西照雄
のけぞりて笑ふ羅漢や黴の花/河本修子
ひとめぐりしても十戸や山笑う/細根栞
不二の山笑はねばこそ二千年/正岡子規
人去りて虎渓の山の笑ひけり/正岡子規
