ことば/言葉に関連した俳句の例をまとめました。
ことば/言葉を含む俳句例
元日や関東衆の国ことば/許六
平生も言葉寡く秋扇/後藤夜半
椿見て一日雨の加賀言葉/澄雄
十年も言葉一つよ暮の秋/禅桃
峰わたる春雷一つ水戸言葉/原裕
唇の言葉の下の冬の山/山西雅子
孤高とふ言葉愛せし冬畢る/林翔
苗木市熊本言葉荒々し/高野素十
浮名とは明治の言葉都鳥/矢津羨
北風に言葉奪はる立ち話/中村功
鶲呼ぶ媼に言葉憂かりけり/原裕
立秋の心が知つてゐる言葉/汀子
帰省子の言葉少なし柏餅/岡和子
船人の近江言葉よ鮒膾/高濱虚子
蜩の水にをさめし言葉かな/原裕
結納の言葉を選ぶ実南天/神緑郎
島と宿の女の言葉にも/川崎展宏
名月や筆の言葉の引廻はし/園女
水祝呉服所衆は京言葉/中川四明
囀も在所ことばか渡岸寺/飴山實
俳句例:21句目~
八方にことばが重し夏野原/照敏
言葉ふと刃となりし花石榴/きよみ
言葉とは心の少し蝶の中/橋本鶏二
あたたかやの言葉水に浮き/小島健
言葉つまる心の隙に汗ありて/林翔
六月の言葉残りて秋の旅/浜田酒堂
再会の言葉探して駅うらら/湯川雅
言葉たくみに炎天を遁れ来し/原裕
客僧の言葉少き夜寒かな/寺田寅彦
春来とも友達言葉の友失ふ/及川貞
藍の里ありて漢の朝言葉/阿部完市
白木槿言葉短く別れけり/石井露月
薫風の大樹の言葉渚まで/松沢鍬江
冬の霧言葉の枝葉さやぎくる/原裕
柊や人を評すに言葉搖れ/高澤良一
実南天華やぐ友の京言葉/田中千加
能面に言葉就きゆく秋の暮/原和子
牡丹や言葉少き客あるじ/西山泊雲
畏友てふ言葉思ひし獺祭忌/日原傳
緑蔭の言葉の円さ風来る/飯田龍太
俳句例:41句目~
米売と交す言葉や昼の雪/藤田湘子
冬近き朝市に聴く国言葉/清嶋静恵
寒鴉田畑といふ言葉かな/綾部仁喜
花のことば水のことばと冴返る/裕
箔つける羽子板売の言葉かな/信徳
メジ口にも言葉仇のある葎/澁谷道
猫柳や花巻ことば温かし/佐藤映二
折端に霞はんなり京言葉/加藤耕子
満開の花のことばは風が言ふ/林翔
海へ向く人のことばの涼しさよ/旭
母に応へて草笛の草ことば/長田等
山枯れて言葉のごとく水動く/龍太
母へ濁す言葉の端よ別れ霜/桂信子
宛転と都ことばを生御魂/茨木和生
母癒えて言葉少なや冬桜/岡田日郎
せせらぎの言葉あつめて猫柳/黛執
山人のみやび言葉や秋の雷/原和子
麦刈が短き言葉洩らしたり/有働亨
北風に言葉うばはれ麦踏めり/楸邨
新春の御慶はふるき言葉かな/宗因
俳句例:61句目~
秋深き言葉を探し礼を作す/轡田進
万燈や言葉の端の姦しく/古舘曹人
山に雪鶴岡ことば美しや/秋沢/猛
百本の薔薇に匹敵する言葉/生野雅
懐に未開のことば蛍の夜/和田悟朗
鳥銜へ去りぬ花野のわが言葉/静塔
夫と居て言葉なき夜の轡虫/浜芳女
夫婦とて言葉を選ぶ衣被/古川塔子
木呪ひ言葉を荒く始めけり/朝妻力
初暦富嶽無言のことばあり/松本光
妻あらば今言葉欲し氷水/北島大果
風花や亡き師の言葉片々と/桂信子
星仰ぎ星の言葉と遊ぶ蝦蟇/源鬼彦
顔見世の隣の席の京言葉/小田尚輝
夜の鉄に言葉鋭き男達/小倉清二郎
人散って言葉残れり萍に/清水冬視
青桜ひと花ごころ焼言葉/加藤郁乎
春の雪駅に別れの京言葉/中坪達哉
雀には雀の言葉冬うらら/岩井タカ
東歌に上毛言葉榛は実に/田中英子
俳句例:81句目~
山言葉ときに早めて蕨売/斉藤夏風
道楽は誉め言葉ぞよ桜狩/小川恭生
低声に親しき言葉猫柳/柴田白葉女
買言葉放つ月下の葱の花/寺井谷子
生国に探す言葉や新豆腐/柿本多映
常磐木の落葉ことばを尽しけり/原裕
水澄むと人は言葉を慎めり/青木重行
手毬唄西のことばに溺れけり/伊沢恵
春永といふやことばのかざり繩/立圃
初夢の母に言葉の戻りをり/緑川啓子
悲しみに言葉はいらぬ牛蛙/上原勝子
情ありて言葉寡なや月の友/渡辺水巴
春蘭やことばやさしき山男/飯田弘子
感動は言葉ではない汗の色/野崎耕司
春霰ことば忘れて来し父に/茨木和生
月の宴男の船場ことばかな/茨木和生
村中のことば集める春彼岸/橋本鉄也
浜ことば親しみ易く鯊日和/島谷知華
別宅という言葉あり蝉しぐれ/穴井太
沈丁に雨は音なし加賀言葉/細見綾子