貌に関連した俳句の例をまとめました。
貌を含む俳句例
貌見せや人の中より明烏/一茶
貌が棲む芒の中の捨て鏡/苑子
像の貌に涙の迹や冬旱/貞弘衛
象の貌に涙の迹や冬旱/貞弘衛
囀す全山逆さ吊りの貌/松澤昭
雛棚や花に貌出す嫁が君/一茶
幼くて燕の貌や扁平に/中田剛
若水や並ぶ雀もまめな貌/一茶
恙なく山椒は春の貌/宮坂静生
鎌鼬少年の貌していたり/竹村脩
御仏の貌美しき十二月/角川春樹
緑陰に人馴れ貌の町雀/高澤良一
牛の貌四角に迫り芋嵐/立原修志
歳旦をしたり貌なる俳諧師/蕪村
揚舟に汝も夜涼み猫の貌/下田稔
踊子や貌月になり闇になり/鳳朗
雀の貌濡らす筍流しかな/中田剛
一木に一貌晴れて初大師/上村占
浮御堂主の貌して蟾蜍/矢島一枝
目高泳ぐ貌三角に宿酔/岸風三樓
俳句例:21句目~
形代の貌男とも女とも/藤岡和雄
川狩や棲上の人の見しり貌/蕪村
初芝居苦節何十年の貌/高澤良一
乞食の嬰児貌薔薇色や初詣/正雄
山の貌ながめつくして年忘/黛執
炎天の石仏にわが貌さがす/原裕
晩秋や両掌に挟む犬の貌/瀧春一
晩秋や両掌に挾む犬の貌/滝春一
蜂の貌して妻帰る日暮時/石寒太
大寒の男貌なる飛鳥仏/本橋康子
春日ざし歓喜の貌の仏舞/正玄馨
子の貌に秋かぜ白し天瓜粉/召波
美男見る簾の奥は鱗貌/筑紫磐井
稲妻や童のごとき母の貌/黒田秀子
中年のわが貌曝す冬灯/柴田白葉女
餅つきや焚火のうつる嫁の貌/召波
飾臼牛の貌出て舌うごく/加藤楸邨
貌見えてきて行違ふ秋の暮/草田男
風狂の貌並びけり牡丹鍋/老川敏彦
梟の貌二回転かも知れず/小林恕水
俳句例:41句目~
秋暑き運河に落とす犬の貌/石寒太
万緑の貌から飛んで蜂来る/秋山夢
久方の蔵王の貌や厩出し/兒玉南草
遠青嶺円空仏に鳥の貌/鈴木恵美子
泣き貌を埋むる枕遠蛙/文挟夫佐恵
通行人臆せぬ貌の梅雨雀/高澤良一
久方の蔵王の貌や廐出し/兒玉南草
神の貌して青島のまめ狸/中野紀夫
新涼の驚き貌に来りけり/高濱虚子
法体のあどけなき貌白襲/茨木和生
畦塗りつゝ夕鶯を聞く貌か/飴山實
狐火や狐の貌の皆違ふ/佐々木六戈
柵に人立てば貌よせ袋角/天野十雨
文鎮の梟の貌夜も更けた/高澤良一
深海それぞれ愁思深き貌/村松紅花
教室に入る春愁の貌消して/樋笠文
牛の貌泉を暗くしたりけり/大串章
梟の貌立て直す真暗がり/高澤良一
貌うつす十一月の水の張り/桂信子
春もやや烈日灯台守の貌/友岡子郷
俳句例:61句目~
敵七人貌揃へたり事務始/田中俊尾
上州の貌の畝間に雪残る/村越化石
元日になりすましけり人の貌/銀獅
松島の鯊の貌見て旅了る/山口青邨
豊年やぞろり寝くらふ六十貌/一茶
襟巻の狐の貌は別に在り/高浜虚子
凍る夜の袋マスクの馬の貌/有働亨
出羽に入る蝗の貌の三角に/神蔵器
蟻地獄死ぬ時の貌考える/寺井谷子
陶狸新酒の味見終へた貌/橋本雅枝
厄年の貌となりゆく寒詣/増成栗人
炎天下貌失ひて戻りけり/中村苑子
春深し百の写真に百の貌/中馬道子
蟷螂の貌に近づく猫の顔/鈴木鷹夫
蟋蟀の正面の貌おそろしき/中田剛
善丁村猟忘れたる犬の貌/田中環二
闘鶏や夕日負いたる人の貌/松本慧
螢放生貌よかりしは不幸/筑紫磐井
流氷群風浪の貌止めたる/田代朝子
蝿虎即暁斎のかみつき貌/高澤良一
俳句例:81句目~
岩座に神の貌あり滴りぬ/坊城俊樹
うそ寒や横むく貌の人体図/辻文治
蝶の貌らん~として厳島/萩原麦草
蝶の貌おぼえ難しよ具足櫃/糸大八
夏木立羅漢に父と兄の貌/矢幅正男
貌見ゆるまで鳶近き青嵐/西村公鳳
父の貌知らず掃苔四十年/森田薊村
夕ぐれを仏貌して秋遍路/大庭星樹
川底にあり遠足の眼鏡の貌/今井聖
蜂の貌して妻が帰る日暮時/石寒太
蛸壺の蟹が貌出す黒船祭/芦澤芦水
大声の春の満月うぶ毛貌/和知喜八
棒立ちし寸取虫の思案貌/杉山青風
蝶の貌らん~として巌島/萩原麦草
大炊の月出でたき貌や藤の花/園女
沙を煮る小家や桃のむかし貌/蕪村
朔日の風蟷螂の貌を吹く/高澤良一
清明の軒に貌出す雀どち/川崎展宏
くさき雪待ち貌の舫ひ舟/佐藤青季
花埃り閻王の貌喜怒一如/西本一都