蝿に関連した俳句の例をまとめました。
蝿を含む俳句例
蝿も移つてきてゐる/山頭火
分校の職員室の蝿叩/大隈草生
新鮮な卵の上の蝿叩/小路紫峡
雪信が蠅うち拂ふ硯かな/蕪村
僧堂の滅法長き蝿叩/森永杉洞
一匹の蠅一本の蝿叩/高浜虚子
天辻の山腹使ひや蝿叩/辻桃子
蝿叩とり彼一打我一打/高濱虚子
三尺の鯛や蝿飛ぶ台所/正岡子規
必殺を目論む妻の蝿叩/高澤良一
用ゐねば己れ長物蝿叩/高浜虚子
青蝿や大原近き牛の糞/赤木格堂
大仏殿蠅一匹の虚空かな/龍岡晋
蝿とんで野仏の顔動きしか/静塔
蠅ほどの物と思へど大師講/句空
蠅取のネジの音卓の上/喜谷六花
大仏殿蝿一匹の虚空かな/龍岡晋
充ち来たる蝿の頭脳や仮枕/耕衣
勝牛の肩肉震ひ蠅払ふ/奈良文夫
蝿のんで色変りけり蟇/高浜虚子
俳句例:21句目~
蝿打をのがるゝ蝿の命かな/澗李
十月や冷たき蝿の顔へ来る/古巌
金蝿も銀蝿も来よ鬱頭/飯島晴子
蝿生る共働きの遅夕餉/新島艶女
酒蔵に蝿の声きく暑かな/炭太祇
軍服の袖に蝿来て国境/藺草慶子
牧牛の幼き耳に蝿生れ/山口白甫
月蝕や蠅帳に母存命す/栗林千津
晴耕雨読ときどきの蝿叩/松本久
旧街道草津の宿の蝿叩/橋本榮治
蝿むれて昼は音なき磯家かな/一瓢
武士に蝿を追する御馬哉/小林一茶
蝿ひとつ夜深き薔薇に逡巡す/草城
蠅はじき怒る心よ手束弓/服部嵐雪
仏道に如意俳諧に蠅叩/成瀬正とし
信濃路や蝿にすはるる痩法師/許六
殺生の具として握る蝿叩/小林康治
蠅叩く術練達にまだ遠し/高澤良一
傘干せば集る蝿や菊枯るゝ/梅の門
僧正は護摩壇上や蠅の閑/野村喜舟
俳句例:41句目~
蠅や女まくらのころも箱根山/西望
うき人の旅にも習へ木曾の蝿/芭蕉
蝿はぢき怒る心よ手束弓/服部嵐雪
円高低いづれも重し蝿叩/河野南畦
鶏と寝間間じうす宿の蠅/富田木歩
鵜づかひの昼寝の床や蠅の声/史邦
硝子の新緑光今朝来た蠅/北原白秋
笠の蝿我より先へかけ入りぬ/一茶
爐塞ぐや疊に生る蝿一つ/岩木躑躅
蝿がゐて線香匂ふ部屋に通る/槐太
十里飛び来て山頂に蝿とまる/誓子
馬の蠅吹く谷風や心太/大谷碧雲居
蜘の巣や露冷かに蠅の羽/会津八一
馬の尾やをのが身につく蠅払/丸石
口論の真ん中にあり蝿叩/藤田湘子
古郷は蝿すら人をさしにけり/一茶
蠅とぶや烈風なぎし峠草/飯田蛇笏
塩に蠅延々生きる港まち/成田千空
顔につく飯粒蝿にあたへけり/嵐雪
蠅いとふ身を故郷に晝寢かな/蕪村
俳句例:61句目~
額の浪抜き手をうつや蠅の声/味鶴
夏木にも瓜蠅とべり峠畑/飯田蛇笏
蠅生れ戦車軍艦復た還る/石塚友二
音ひしと盤面をうつ蠅叩/飯田蛇笏
蝿除や恋はK点越えて来る/鷲田環
牛蠅と百姓修道院に入る/津田清子
睡足りて姑く蝿と相対す/尾崎紅葉
牛馬の尻並べけり蝿の中/正岡子規
大砂漠一匹の蝿音もなし/永井敬子
障子まで来る蝿もあり翁の日/暁台
天下茶屋蝿取紙の新しく/岸本尚毅
蝿と遊ぶ石の唐獅子磯祭/西東三鬼
獅子寐るや其唇に蠅の糞/幸田露伴
金蠅やあら銀蠅や老夫婦/鳴戸奈菜
金蝿やあら銀蝿や老夫婦/鳴戸奈菜
瓜蠅に露照る朝の蔬菜園/西島麥南
瓜蠅旱天の暾を愉しめる/西島麦南
屑繭に蠅たむろしぬ花葵/飯田蛇笏
海の宿深夜蝿出て生き生きと/昭彦
山の蠅一直線に飯に来る/藤岡筑邨
俳句例:81句目~
蝿生まる投込寺の闇の奥/並木緑之
蝿払ふ払子ふり~僧漫語/河野静雲
神聖な牛の額の蝿ほくろ/鷹羽狩行
訪客に又とぶ影や夜の蠅/飯田蛇笏
西安へ北京の蝿と空の旅/稲畑汀子
老眼鏡かけて研修蝿あるく/杉本寛
干鮎や颪はてたる蠅一つ/飯田蛇笏
蝿打つていさゝか穢す団扇哉/几菫
生創に蝿を集めて馬帰る/西東三鬼
生創に蠅を集めて馬帰る/西東三鬼
蝿と来て蝿と戻りし売女/山口三津
蝿帳に古漬その他母の昼/草間時彦
悠々と厨飛翔の蠅ひとつ/相馬遷子
蠅生る磯長の國の磯歩き/高澤良一
草むらや蝿取蜘の身づくろひ/史邦
ペンに倦む心遊ばす蠅叩/吉屋信子
苦しさや笹葉掛け行く牛の蠅/九節
蝿失せぬ燈台までの赫き崖/杉本寛
蠅打の音の曇りの畳かな/野村喜舟
我心蝿一匹に狂はんとす/正岡子規