齢に関連した俳句の例をまとめました。
齢を含む俳句例
藍甕の齢の長し染始/山岸修
銀漢や齢の中に戦の日/岡本眸
割烹着鶴の齢の都鳥/川崎展宏
八十の齢よろめく滝の前/風生
梳る音の齢の雨螢/中戸川朝人
春鴎昨日の齢すでに越ゆ/原裕
而して齢も深し根深汁/森澄雄
摺足に齢を見せず薪能/東尾子
牛蛙億もて数ふ山の齢/阪本謙二
敬老日己が齢に驚けり/村上隆子
のどかさよ鶴の齢を六七羽/越人
子等の齢数へつゝ年改る/上野泰
わが齢桜の齢雨しづか/阪本謙二
是ぞ此齢ひを入るる茱萸袋/佳木
初霞山に加へし齢かな/朝倉和江
遠蛙独りで生くる齢なる/草田男
今年竹晩齢の涯蒼茫と/中島斌雄
天牛に女の齢さげすまる/岡本眸
天の川亡き娘は齢加へずに/照子
冬帽の黒さが似合ふ齢来ぬ/篠原
俳句例:21句目~
見届けにゆく青梅と父の齢/原裕
夢淡き齢となれり菊枕/鷹野清子
夏落葉男の齢首すぢに/西村和子
夏服や齢重ねし宮仕/軽部烏頭子
六斎の鉦打ち男齢澄む/西川保子
齢氷き陰陽石や天の川/三橋敏雄
鉦叩母の齢の先を打つ/矢部白芳
齢とて早寝早起き蝸牛/森田風人
幾春の文の齢や鶴が岡/上島鬼貫
齢富む一間に寝ねて餅筵/森澄雄
雛納め齢少々氷少々/波多野爽波
帯低め齢しみじみ初袷/小林品子
初鏡齢は確と数へまじ/梅田美智
齢やや餡も好みに桜餅/荒井正隆
齢にも艶といふもの寒椿/比奈夫
一夜寝て一夜齢とる冬の山/蓼汀
一日に一齢加へ白牡丹/鷹羽狩行
齢なりに私も頑固筍飯/高澤良一
鶏頭を火と見る齢過ぎしかな/林翔
亡き父の齢の数の蛍火か/橋本榮治
俳句例:41句目~
福豆に齢の残りは数へざる/安住敦
水仙や齢重ねてゆくも幸/志摩知子
祈ること多き齢や初不動/神原栄二
馬齢とて齢の中や一夜草/西村半石
人形に齢加はる弥生かな/金丸/保
わが庭のごとく枯野をゆく齢/林翔
伊吹嶺の秋風齢忘れたる/青木緑葉
短編を好む齢や鵙のこゑ/鈴木貞雄
僧正の齢知れざる桜かな/野村喜舟
僧正や忘るゝ齢菊の品ン/野村喜舟
頽齢や蝉の世界の法師蝉/石塚友二
内股に走る齢や黄楊の花/籏/こと
新玉の指三本に齢足り/上田日差子
面影は齢かさねず額の花/風間弘江
冬苺母亡きのちの齢かな/石田波郷
水仙や誌齢半世紀の師弟/斉藤夏風
露涼し答へし齢驚かれ/赤松ケイ子
梅好む齢となりて佇めり/高澤良一
冷麦や狷介にして齢重ね/景山筍吉
更衣紺を好みし齢過ぐ/馬場移公子
俳句例:61句目~
雨伝ふ幹の齢や花ざくろ/横山房子
こんなもの桜の齢吾が齢/高澤良一
ごきぶりに涙と思ふ齢かな/秋澤猛
眼の奥の疲るる齢松の芯/館岡沙緻
雨の夜の齢静かに白絣/町田しげき
水の如百齢おはす冬障子/竹内秋暮
序破急の急の齢や懐手/北見さとる
初暦胸中に齢重くなれり/花田哲行
初枕齢得て辻が花召して/依田明倫
鎚腕に齢はとらじ鍛冶初/藤木紫風
初渚ふみて齢を愛しけり/富安風生
弁慶草立往生の齢なり/秋山巳之流
削氷やふと恐ろしき父の齢/上村占
北冥ニ有リ盲ヒ死齢越ユ/佐藤鬼房
双六の彦根あたりの齢かな/渡辺純
火の山の齢木苺木の皿に/中島斌雄
ねむたくて齢加はる目借時/森澄雄
星飛んで齢俄に加速する/小出秋光
木の葉髪齢を枷に又楯に/塚本久子
白菜に塩ふる齢重ねけり/千原満恵
俳句例:81句目~
針供養女の齢くるぶしに/石川桂郎
同齢の幹を叩いて墓掃除/矢島渚男
白桃を齢頽れて啜りけり/草間時彦
同齢の男等若きパリー祭/西村和子
形代を流して残る齢かな/綾部仁喜
春愁や齢を外に夢老いず/吉屋信子
もう急がぬ齢の中の冬籠/村越化石
吾も妻も父母亡き齢真夜の雁/林翔
山彦は呼べぬ齢や栗の花/赤塚五行
衣被ゆたかに齢重ね合ひ/下鉢清子
喜壽悲し母の齢の春昔/松根東洋城
埋火の低さや齢半ばとし/沢木欣一
埋火の珠玉を愛す齢なる/福田蓼汀
蛇臭き天よと思う齢かな/永田耕衣
壮麗といふ齢なり冬ざくら/石寒太
藤すだれ齢忘れし声ばかり/荒武蕾
田作や昭和と同じ齢重ね/宮武章之
薺粥母とむかひし齢かな/小林康治
恋要らぬ齢怖し菊人形/文挟夫佐恵
わが齢わが寿ぎて小松引/富安風生