鉄に関連した俳句の例をまとめました。
鉄を含む俳句例
鉄鉢の中へも霰/山頭火
寒梅や火の迸る鐵より/蕪村
鉄鉢の中へも霰/種田山頭火
唐櫛や風の跡見る柳陰/鉄九
排泄の鉄塊光る秋の浜/須藤徹
割炭や柚が名残の鉄火箸/若風
炎天下磨滅鉄蓋濃紫/香西照雄
時鳥寺の表の鉄行燈/正岡子規
炎熱や鉄の楔を岩に打つ/林徹
凩や鐵となる吾妻橋/正岡子規
如月や指の先なる鉄火巻/林徹
鉄床や波うち際に飛ぶ蛍/疎計
鉄眼の昔日の闇鉦叩/辻田克巳
鉄臭き釜石の町鮭颪/植松幸子
笹鳴や昼は鉄打つ軍畑/石寒太
秋ふかき目覚め鉄階使ふ音/眸
鉄火箸霜気深まる松の奥/龍太
木枯や刈田の畔の鉄気水/惟然
瞬間に彎曲の鉄寒曝し/山口誓子
短夜の枕にひびく鉄鎖/佐藤鬼房
俳句例:21句目~
寒風や鉄火ちかみの膝頭/齋藤玄
裏白や鉄階段の子の住居/辻男行
秋の山中に石鐵山高し/正岡子規
鉄床の音は撓まぬ寒夜かな/暁台
清水や桜の上の鉄燈籠/正岡子規
雪解雫して鉄階は管楽器/岡崎光
鉄を打つ谺短かし斑雪山/阪本晋
大寒の螺旋階段鉄の音/石川文子
鉄の兵器や動く蝌蚪の水/齋藤玄
鉄つくる固き指もて筆始/沢一三
花吹雪旧予科練の鉄扉/岩田一止
回教の鉄扉の固し十二月/森田峠
猟人の鉄鉋うつや雪の中/炭太祇
鐵兜玄光迸る氷雨かな/幸田露伴
豪華に鉄文字にて意識/阿部完市
鉄階にのぼりて旧き春の暮/原裕
彫像は鉄鍛つ男鳥渡る/三苫知夫
三高の錆びし鉄門鰯雲/老川敏彦
三椏や英国大使館鉄扉/佐藤鬼房
生国は鉄の匂いの青葉闇/伊藤翠
俳句例:41句目~
鉄炮の山ふところや葛の花/成美
桜満つ造幣局は鉄の門/塩川雄三
片蔭の中へ鉄鉢さし入るる/黛執
鉄灼け木も灼け滑台一基/小澤實
花曇鉄の灰皿固き椅子/香西照雄
名月や露の流るる鉄兜/幸田露伴
稲光楽器屋鉄の扉閉づ/岩永草渓
睡蓮を遮る鉄の鎖かな/京極杞陽
頬杖の鉄扇いたし時鳥/正岡子規
老人に鉄火のにほひ秋の星/上村占
秋祭り山車の松前鉄之助/高澤良一
金亀虫松の鉄幹立ち並び/山口誓子
逃るため登る鉄階秋の雲/対馬康子
山門の鉄網に入る霰かな/藤野古白
迸る鍛冶の鉄火や夜の梅/三輪未央
熟睡の尻を責めてる鉄の棒/須藤徹
熱鉄を摶てる裸や月を前/松村蒼石
銀行の鉄扉の前に草の市/近藤弘子
川波や鉄打つ町の冬旱/星野麦丘人
軍港の黄昏水仙と鉄匂う/伊丹公子
俳句例:61句目~
年新し狂院鉄の門ひらき/西東三鬼
建設の秋水鉄の火を映す/斉藤夏風
御像の鉄より黒し秋時雨/沢木欣一
恍惚と鉄つながれる颱風圏/穴井太
爽涼の鉄色や立つ夜明富士/森澄雄
黄昏の黄の連翹に鉄の柵/和田悟朗
鶯に鉄砧一つ冷えしまま/友岡子郷
秋冷や包丁研げば鉄匂ふ/青木重行
撓鐵の焔海風を灼きて冬/内藤吐天
鮟鱇の胆溢れゐる鉄の皿/二宮一知
馬駆くる鉄の壁掛冬深き/田村了咲
鞴祭鉄の山に塩を撒く/藤井艸眉子
新しき厚司が撓み鉄担ぐ/小島昌勝
雪解風熊の罠組む鉄の音/四條五郎
一本の鉄の悠久水の鐘/八木三日女
蟋蟀に闇くる鉄蓋より重く/桂信子
明易し火と鉄と水一列に/柚木紀子
雪くるか海見て鉄を熔く男/飴山實
秋夜北京兜太林林鉄之介/黒田杏子
初湯出し鉄工あかし鉄の間に/波郷
俳句例:81句目~
昼旱鉄軌綯ひ交ふ陸橋下/石塚友二
枯草に鉄杭積まる造成地/松本照子
穂草波鉄より赤き馬繋ぐ/石田波郷
鉄燭の壁に影おく蛇笏の忌/桂信子
月照らす対岸木場と鉄置場/長田等
円空堂鉄錠外す音露けし/高澤良一
鉄色の蕗の枯葉と蕗の薹/永井龍男
春立ちて三日嵐に鉄を鋳る/草田男
若衆が上げる鉄下駄雪柳/川崎展宏
椿まで来る鉄階の乱反射/冨田正吉
椿よき鉄の門扉や寒の雨/野村喜舟
冬の海鉄塊狂ひなく沈む/飯田龍太
木蓮花鉄燈籠の黒さかな/正岡子規
橋詰に日傘の姉妹鉄を接ぐ/徳弘純
鏘然と鐵杖なりぬ岩冰り/横山白虹
秋暑しふふみし水の鐵臭し/上村占
門出でし鉄鉢にまづ小米雪/井上雪
歳時記の表紙藍鉄夜の秋/高澤良一
鉄抛る炎昼の耳底痺れ/榎本冬一郎
土用波起重機鉄の鎖垂れ/二又淳子