貝に関連した俳句の例をまとめました。
貝を含む俳句例
七いろの貝の釦の春の昼/誓子
酢に酢貝酒に礼あり睦月/言水
裏道の貝がら砂利や霜柱/丸之
山中に貝の化石や松蘿/原天明
煙あげて皸薬貝の中/今村野蒜
烏貝内側青き母の燭/栗林千津
のり汁や同じ渚の貝杓子/丸石
稲光封じきれずに貝釦/角野火楓
朧夜に引や網場のからす貝/乙州
長靴の長くなりゆく烏貝/緒方敬
烏貝拾ふ雑嚢といふ鞄/星野紗一
子安貝二見のうらを産湯哉/其角
六月の空に紛れし貝釦/内田美紗
貝の口結びの帯や釣忍/石原八束
小春日の駆逐水雷貝釦/攝津幸彦
春雨や小磯の小貝ぬゝほど/蕪村
春炎天釦造りの貝蒐め/友岡子郷
水貝や遠き記憶の御真影/桂信子
宵闇の人間住める虚貝/各務耐子
指挟む大馬鹿貝の糞力/高澤良一
俳句例:21句目~
世の隅の闇に舌出す烏貝/北光星
祝膳紅仄かなり北寄貝/村岸明子
老眼にもるる小貝や秋の霜/丈草
京紅に貝の密室春深し/都筑智子
貝汁の武蔵仕立や昼の酒/飴山實
夜光る梅のつぼみや貝の玉/其角
正月に山雀二つ貝の頬/金子皆子
表より貝洗ふ音夏座敷/安井常人
夕ばえや舞台の隅の貝の華/友梅
初凪や真白さ拾ふ虚貝/野川釈子
虚貝愛でて八十八夜寒/斉藤益代
得た貝を吹て田蓑の月み哉/園女
蝸牛海の記憶の貝を負ひ/山口速
夕雲雀聖水盤は巨き貝/小池文子
枯蓮や泥の深さの烏貝/野村喜舟
蜆貝の内側の色梨の空/細見綾子
鳥貝や風音遠き日暮来る/角川春樹
蝸牛の住はてし宿やうつせ貝/蕪村
蛤の上に一把や馬刀の貝/松瀬青々
埋木と共に掘られぬ烏貝/高田蝶衣
俳句例:41句目~
八月や生き証人が貝になる/加藤学
蔦の葉や貝がらひろふ岩の間/臥高
壺焼の貝の角より出る煙/依光陽子
夏服や海の光の貝ぼたん/野村喜舟
落潮の泥這ふ貝や日覆下/野村泊月
萩の辺りまできて光る貝釦/桂信子
夏果ての微光琉球夜光貝/矢島渚男
洗つても洗つても黒烏貝/桑野昌宜
鮮烈な沖の夕焼片身貝/柴田白葉女
鮑貝砺としたり桃の家/阿波野青畝
次に撒く貝搬入す潮干狩/茨木和生
夏雲も渚の貝も白かりし/入船敏弘
海棠に雨降りやうや貝合/野村喜舟
夕市に貝焼匂ふ能登の秋/近藤明美
芳しき貝煙く男雁わたる/堀口星眠
馬刀貝の竪穴住居密集地/高澤良一
花屋去つて瀬戸貝売や午の町/泰洋
花になく燕来たり貝の華/松瀬青々
舞ふ小袖貝紫に春惜しむ/二神節子
天窓に春逝く螺鈿盆の貝/古舘曹人
俳句例:61句目~
海市消え買物籠の中に貝/中嶋秀子
機音も霞の中やうつせ貝/綾部仁喜
水貝や星美しき日本海/福川ふみ子
浪の間や小貝にまじる萩の塵/芭蕉
寄鍋や愚な貝も混りゐて/大石昌代
難波津の貝の白妙聖霊会/中村子瓶
闇汁の闇の白帆や帆立貝/会津八一
朝寒き貝より薄き骨拾ふ/古館曹人
朝市に煮貝の匂ふ雁渡し/石原八束
水潜り烏貝採り呉れし人/井手芳子
さくら貝透きて生命線の上/長田等
終戦日夕餉の椀に貝の砂/今村妙子
山鳴りが烏貝ほど雫せり/栗林千津
長月や夜々の薫物貝の中/野村喜舟
流氷の去りし渚に砕け貝/小林雪雄
節の日や入歯に当てし貝の玉/几董
竜骨に釘や楔やムール貝/早野和子
立春の籠目をぬけて幼な貝/上村占
遠浅に小貝ひらふや夕霞/加舎白雄
空セ貝うち重なりて桃畑/柿本多映
俳句例:81句目~
逃水や砂漠に貝の化石売/石野冬青
空せ貝風がまつはる冬岬/渡辺桂子
帆立貝反戦の口開きけり/松田秀一
帆立貝沖へ帆走る昼寝かな/龍岡晋
常節か青の小貝か磯の月/服部嵐雪
日を容れて飯貝村の大櫻/佐川広治
秋澄むや貝鐘響く峰の雲/正岡子規
秋海や貝より白き巌の濤/尾崎迷堂
年玉や貝に納めし豆人形/島道素石
幻氷や貝の鈴鳴る紙鋏/坂井とみ子
座布団の数が定貝蓮見舟/山下青坡
引潮や睦月の貝の肌光る/小坂順子
貝掘りの尻を数へん豊後灘/飴山實
拾ひたる貝の紅もつ白秋忌/上村占
石膏の固まりつつぞ貝櫓/岡井省二
水貝の器朝より冷やし置く/星野椿
貝拾い石拾いわが骨軋む/吉川真実
水貝や地酒も由比の浜男/桂樟蹊子
海に貝放ちて春の祭かな/廣崎龍哉
石打つて貝を剥せり磯遊/茨木和生