俳句例:101句目~
侍る星共にうるみて十三夜/及川貞
山峡へ帰る人あり十三夜/佐藤鬼房
麹町十三丁目まで祭かな/野村喜舟
山越しに濤音聞ゆ十三夜/西山泊雲
谷々に灯す荘や十三夜/楠目橙黄子
月よりも雲に光芒十三夜/井沢正江
誰か来て後に立てる十三夜/原孜志
斧鎌の看板屋根に十三夜/須江容峰
経団連十三階の黄の造花/松本文子
栗飯も末の山住み十三夜/松村蒼石
妙義嶺に近き湯町の十三夜/上村占
港の灯華麗に裏山十三夜/福田蓼汀
お形見の紬の包み十三夜/黒田杏子
紅扇十三にして舞をなす/正岡子規
嫋々と竹は睦べり十三夜/村沢夏風
旅の男に材木匂う十三夜/石井哲夫
十三夜けものにの眼あり/綾部仁喜
藻畳の己にうねり十三夜/斎藤梅子
十三夜なり少年の長き箸/遠山陽子
蓑虫の糸の長さや十三夜/谷野予志
俳句例:121句目~
石蓴干す昔も今も十三戸/射場清子
荒壁に黴の華殖ゆ十三夜/近藤一鴻
種柿の残る一つの十三夜/小澤碧童
芒さす花瓶の細身十三夜/羽部洞然
宮島のよき裏町や十三夜/塩田育代
正座する女でゐたし十三夜/鈴木梢
海山の遠くを見よや十三夜/斎藤玄
十三夜一管を置く違ひ棚/仲西エイ
十三夜三日を残す京の月/高木晴子
船宿の脚は早瀬に十三夜/古舘曹人
梅東風や宿場東西十三町/矢田邦子
十三夜二夜訪はねば母恋し/沖元薫
舌に乗す黒飴冷た十三夜/伊藤京子
波音の如き風音十三夜/石川喜美女
胸さきに硯の海の十三夜/持田石映
翁より媼の影濃き十三夜/秋山素子
次の間に女客あり十三夜/星野立子
篝火のこゝまでぬらし十三夜/風生
篁のわづかな戦ぎ十三夜/伊東宏晃
篁のそよがぬ翳も十三夜/長山順子
俳句例:141句目~
日本の都に住んで十三夜/正岡子規
水音に離れ杭立つ十三夜/宮田正和
抽んでて海道の松十三夜/川村紫陽
旧道はくねる本筋十三夜/平畑静塔
この年の雨に終りし十三夜/桂信子
竹林に入り風細か十三夜/川村紫陽
山内に靄の下りたる十三夜/遠藤梧逸
岩は皆渦潮しろし十三夜/水原秋櫻子
岩風呂の岩恐ろしや十三夜/富田潮児
峡暮れて川音ばかり十三夜/稲畑汀子
廃屋の影大きさよ十三夜/馬場移公子
引汐の芥置き去り十三夜/鈴木真砂女
引越の日の十三夜無月なり/巌谷小波
影深きもの光るなり十三夜/相馬遷子
我が庵へ畑道もあり十三夜/大谷句佛
才ありて貧しき一生十三夜/福田蓼汀
拝めその玉の傘ほす十三夜/尾崎紅葉
お六櫛すこし斜めに十三夜/高島朝子
掃苔ののちの草の芽十三夜/松村蒼石
数言へて言つてゐる子や十三夜/秋を
俳句例:161句目~
春播きの種を土産に十三夜/田中冬二
更けてより雨滴間遠や十三夜/及川貞
朝妻はすたれし湊十三夜/大峯あきら
柱より誰か消えたり十三夜/齋藤愼爾
校庭の十三夜月踏みもどる/木村蕪城
棺の蓋閉ぢたり母の十三夜/成田千空
母に似し水茎よ姉の十三夜/中島月笠
母の手の白さばかりの十三夜/鈴木映
母よりも伯母美しき十三夜/塚本邦雄
母刀自は褥の上に十三夜/大橋櫻坡子
水切りの石沈みけり十三夜/川崎展宏
泊る気でひとり来ませり十三夜/蕪村
法名の慈照の二文字十三夜/大橋敦子
流木の波とあそべる十三夜/木内怜子
浜砂の濡れが冷え呼ぶ十三夜/原文子
深々と森の沈めり十三夜/池上不二子
漣だつは雑の祝祭十三夜/千代田葛彦
煮染など座に冷えてあり十三夜/篠原
熱き酒あり古城あり十三夜/山田弘子
猫のゐし塀の高さや十三夜/仙田洋子
俳句例:181句目~
田舎から柿くれにけり十三夜/炭太祇
畠のものみな丈低し十三夜/小島花枝
病室に子恋つのらす十三夜/福永耕二
病床に十三夜とは味気なし/高濱年尾
空也忌の十三夜月端山より/飯田龍太
空耳とおもふ鈴の音十三夜/千田徳子
ぬけうらにある稽古所や十三夜/龍雨
窓させば聞えぬ虫や十三夜/富田潮児
窓開けて山の匂ひや十三夜/山田弘子
筆硯は亡き父のもの十三夜/大橋敦子
終航の汽笛尾を曳く十三夜/江口良子
網あげて小蝦きらめく十三夜/原柯城
縁先に酒とどきたる十三夜/池田義雄
繰りあぐる滿月會や十三夜/正岡子規
美しく住まはれ給ふ十三夜/佐藤朴水
耳門より僧が抜け出す十三夜/柊愁生
職人の親子が帰る十三夜/佐久間久子
まつさらの畳運べる十三夜/山本洋子
胡桃樹下一草もなし十三夜/宮坂静生
胸中に蒼き水あり十三夜/吉田ひろし