墨に関連した俳句の例をまとめました。
墨を含む俳句例
白梅や墨芳しき鴻艫館/蕪村
曙や眉墨匂ふ白重ね/正岡子規
水墨の槎に孤客冬深む/小澤實
薄墨は花に霞の夕哉/正岡子規
入墨も余生の薄さ露青光/林翔
淡墨の桜紅葉の雨雫/茨木和生
短夜や碧に光る墨のしみ/照敏
枯蘆の墨絵に似たる雀哉/荊花
墨一色彩百色の夏の山/滝青佳
峯入の墨鮮やかな檜笠/朝妻力
薄墨の雨雲低し青薄/巌谷小波
墨堤に雀弾める福詣/依田安子
中庭に筍壁に墨竹図/大島民郎
筆の海墨に声有り千鳥石/口慰
墨竹の風しかと見ゆ初雀/十王
葱匂ふ厨へ墨の水とりに/羽公
花曇墨を守りて桐の箱/長谷川櫂
花を見る人の袂に墨つけん/移竹
墨堤にある今昔梅若忌/松本浮木
散る花を墨に摺り込め旅硯/青蘿
俳句例:21句目~
秋灯の流しに蛸の墨袋/横山房子
寒天の田にうす墨の山凍る/原裕
鴫立て日は薄墨に暮にけり/尚白
紙一反墨を一挺春愁ひ/伊藤敬子
淡墨の桜の育ち后塚/田畑美穂女
瞑れば紅梅墨を滴らす/角川春樹
瞑れば紅梅墨を滴らす/角川春樹
大桜散るとき墨の香を流す/原裕
寒食や薄墨流す西の空/会津八一
立冬や墨壺めきて谷の闇/檜紀代
墨堤に雨の明るし桜餅/下山宏子
墨堤の三月十日茜燃ゆ/松木/実
年々や硯を洗ふ墨の滓/佐藤紅緑
頬墨のすゝけてをりぬ寒雀/静雲
冬紅葉墨一色の群猿図/田中水桜
出代女眉墨長に粧へる/松藤夏山
初硯命毛に墨滲みゆき/河府雪於
金剛の力蹠に墨を練る/大橋敦子
元日の墨摺つて呼ぶ父の声/春樹
初硯筆に朱墨を染ませけり/龍男
俳句例:41句目~
初霜や墨美しき古今集/大嶽青児
曙の墨絵の雲や糸ざくら/泉鏡花
買初のメモ靴墨と神曲と/飛旅子
西方へ灯る薄墨桜かな/角川春樹
山桜力のままの墨の跡/長谷川櫂
墨堤の風の福神詣かな/皆川盤水
薄墨の花より淡く風花す/稲岡長
新築の窓に墨つく寒哉/正岡子規
名月や墨摺くだす古瓦/加舎白雄
光陰のやがて淡墨桜かな/岸田稚
墨書短信神在の出雲より/小澤實
熱帯まこと墨痕淋漓たり/西本一都
墨をする童も連れて夏断かな/一茶
焼藷屋雀も頬に墨付けて/香西照雄
寿ぎの墨の光を載せ賀状/高澤良一
漸に墨を交へし青葉かな/高浜虚子
書初の筆重きまで墨吸はす/清水游
旧正月墨一色の魔除ヶ札/藤枝大成
淡墨桜見しあと根尾の村祭/杉本寛
みづら結ひ何々朝臣墨雛/下村梅子
俳句例:61句目~
淡墨桜山の天日五衰なし/近藤一鴻
新年の墨水語り其村吶る/正岡子規
淡墨桜に光陰の軽からず/伊藤敬子
墨付し行燈を泣くきり~す/越人/
墨匂ふ漢の山々眠りけり/室生犀星
鰆舟薄墨に陸暮れゆけり/根岸善雄
鯊の宿薄墨色に鷺わたる/高橋馬相
飯蛸の墨にまみれて力なし/竹添林
流れゆく墨の行方や光悦忌/石寒太
一驟雨駆け抜ける山墨す/高澤良一
風花や墨書のまだ乾かぬに/不死男
墨堤に年の豆打つ艀人/御子柴光子
墨堤に花人となる足慢ろ/高澤良一
墨堤に返す波間の都鳥/鳥飼しげを
墨すつて十一月の洛の宿/橋本榮治
絹本の墨色浅し一蝶忌/黒田桜の園
うす墨の夕暮過や雉の声/小林一茶
顔に墨つけて洋々日永の子/上村占
夕影を曳く薄墨の花に又/稲畑汀子
筍や墨信に人なつかしき/小川軽舟
俳句例:81句目~
墨堤の花冷え募る太極拳/高澤良一
今昔のいろ淡墨に花吹雪/伊藤敬子
筆始め坐り直せば墨匂ふ/板津/堯
筆墨の濃き晴れさそふ梅の花/原裕
夢に色あらば淡墨桜かな/西川五郎
摺る墨の香は忘れずよ冬の蝿/白雄
霧の谷新樹層々と墨いろに/瀧春一
雁わたる薄墨使ひはじめの夜/原裕
竹青く日赤し雪に墨の隈/山口素堂
幽り世の淡墨桜北にあり/角川春樹
円相の墨の色濃し三が日/高原/桐
大根干す淡墨櫻遠巻きに/黒田杏子
墨壺に井戸水差して初仕事/小林馨
水墨の牡丹の中の牡丹色/銀林晴生
立春大吉絵馬堂に墨匂ふ/岡本菊絵
水墨に加ふる彩や獺祭忌/岩崎照子
墨に雲人のこと葉の初桜/上島鬼貫
冬至とて畳の墨を拭せけり/成/美
墨打ちの糸の直線風光る/富田好江
凍滝の中の水音墨を摺る/一條友子