ふところに関連した俳句の例をまとめました。
ふところを含む俳句例
西行のうた懐に耕せり/原裕
懐に白紙一帖更衣/岩木躑躅
懐に父母恩重経春の雁/原裕
東山三十六峰懐手/西野文代
初春や思ふ事なき懐手/紅葉
葛城の山懐に寝釈迦かな/青畝
懐に来る新涼の風少し/安原葉
蜩の懐深き岬かな/八木林之介
懐手して鶴番の大男/染谷秀雄
虫の声草の懐はなれけり/几董
山風を懐に入れ心太/増田萌子
決断の十指の力懐手/岩橋/勲
柩担ぐ男片手を懐手/香西照雄
昂然と今無為ならぬ懐手/林翔
新大仏おん懐に冬桜/井畑雪子
懐紙白鶯餅の色残る/稲畑汀子
懐手して上段に瀧の音/古舘曹人
買物の妻にしたがひ懐手/上村占
鉄炮の山ふところや葛の花/成美
空想が深み深みへ懐手/能村研三
俳句例:21句目~
山眠るその懐に碧き沼/柴田奈美
龍馬思へば海舟の懐手/橋本榮治
生涯を大阪ぐらし懐手/前山松花
懐手東尋坊の崖に立つ/森永美保
並べたる鮪の中の懐手/綾部仁喜
眠りゆく山懐に独り住む/坂井建
懐に項羽本紀や義仲忌/松瀬青々
玄関の人声に出て懐手/高浜年尾
懐手大空に解き大欠伸/山田雲洞
懐に小犬を入れて暦売/下山宏子
中庸を佳しと心得懐手/柴田奈美
鶯や浅香の山のふところに/宗因
初鳩や創口かばふ懐手/吉田鴻司
懐手坂一枚に突き当る/柏原眠雨
行年や懐紙をえらぶ市の中/犀星
乳いじる癖の女や懐手/高浜虚子
山眠る阿蘇八湯を懐に/今村東水
波音を懐に入れ白絣/古賀まり子
懐手トロ箱の足で買ふ/粕谷弘子
寒椿つひに一日の懐手/石田波郷
俳句例:41句目~
難波女の懐寒し春の風/五車反古
母懐ふ老の感傷初不動/富安風生
三県を懐にして瀞の秋/磯野多希
口癖の勇退もせず懐手/斉木永久
大阿蘇の懐深く冴返る/倉田紘文
かの眼山懐に涼むなり/和田悟朗
大山祗おん懐の紅葉晴/加藤耕子
鵯の花懐にかしましや/高澤良一
懐手して宰相の器たり/高浜虚子
大宇陀の山懐に葛晒す/長谷川櫂
歌垣の山ふところや昼寝覚/原裕
行く春や懐深く能の笛/越智協子
から駕や梅の中行懐手/高井几董
鳥海のふところ晴るる岩燕/原裕
日本の夜霧の中の懐手/高柳重信
盤面に鋭きまなこ懐手/石山民谷
掌中に思惑のあり懐手/山田孝浩
咲花や懐紙合て四百本/井原西鶴
手毬手に母を懐ふは美しき/風生
吊大根開聞岳のふところに/原裕
俳句例:61句目~
懐手橙の実の一つかな/長谷川櫂
鮟鱇鍋ひとの大金懐に/橋本花風
懐に密書が覗く菊人形/大久保和子
もの思ふとき女とて懐手/品川鈴子
去年より又さびしいぞ秋の暮/蕪村
綾取りの山ふところの桃の花/原裕
紙の穴等間隔の懐紙かな/岩崎照子
笹鳴や大望の身の懐手/佐々木有風
懐手故郷の町も久しぶり/福田蓼汀
竜馬像迷めくままの懐手/谷萩扇次
懐に夕風入れて牛蒡引/古賀まり子
懐に凍て山河と猫を磨き/和田悟朗
懐に入りし綿虫安楽死/加倉井秋を
懐手抜き会心の一手かな/川村紫陽
白山のふところ灯し踊唄/宇野慂子
懐にかさばる懸想文二つ/大石悦子
お懐紙に勅題菓子の影淡く/檜紀代
峡の村ふところ深く花杏/瀬在苹果
懐手して論難に對しをり/高浜虚子
難民の子の目に耐へず懐手/神郡貢
俳句例:81句目~
懐手して半生を省みる/千石比呂志
序破急の急の齢や懐手/北見さとる
牛乗せし貨物見送る懐手/宮坂静生
年越すに力は要らず懐手/鈴木鷹夫
雁渡る去年の今夜懐ふ頃/会津八一
焼藷が懐にある近松忌/山上樹実雄
懐手嘘もほんとも聞き流し/杉本零
炎昼や妻へのたより懐に/巌谷小波
火の山の懐ふかき初湯かな/飴山實
溝浚ふ脛頼りなき男かな/山田弘子
深秋や子の渡航書を懐に/羽部洞然
駅伝の首尾ふところに初箱根/原裕
夏鶯山ふところの根来寺/室谷幸子
懐手して俳諧の徒輩たり/高浜虚子
山眠るガラス工房懐に/北原富美子
英霊車去りたる街に懐手/石田波郷
懐手俳諧無頼通しけり/深見けん二
山の子は山の入日に懐手/福田蓼汀
懐手解きてふたたび懐手/水野柿葉
沖暮れて何握りゐる懐手/増成栗人