俳句例:201句目~
なにもかも亡びし城の森涼し/上村占
犬山の城はるかなり稻の花/正岡子規
犬山の城を見上げて心太/大島まさ子
狐火や秀次が城ありとのみ/山田夏子
狼烟見る人の寒さや城の上/正岡子規
町中に城の銀杏の落葉かな/渋川玄耳
畑うつや石ずゑ起す城の跡/正岡子規
白帝城彩雲のごと桐の花/松崎鉄之介
白藤や城落ちし跡何もなし/北野民雄
ふるさとは大霞して城と畑/福田蓼汀
白鷺城掌中にして青嶺峙つ/伊東宏晃
ほととぎす今帰仁城趾磴畳み/轡田進
短日の城は遠くに仰ぐのみ/稲畑汀子
石も水吸うて春待つ城普請/久保文子
石垣は城の語り部新松子/村川与侑子
わが城は六畳一間障子貼る/渡辺淑子
砂の城崩れて海月太りけり/風巻恵子
砂の城築きし王子潮浴びに/高澤良一
破蓮や城の残せる門四つ/水原秋櫻子
祭くる城の大石角欠けて/百合山羽公
俳句例:221句目~
秋うらら家並隠りに城一つ/河野友人
ビルの窓に大坂城と春の雲/高濱年尾
秋晴や舳ゆる~城へ向く/池内友次郎
秋風や城の辺いそぐ乳母車/藤岡筑邨
秋高く花車空に竝ぶ城の北/正岡子規
篁に石蕗吹き曲げて城の内/古舘曹人
一の橋渡り城趾へ白日傘/田崎七三男
紅梅に城の巽を封じたり/中戸川朝人
紫禁城の土塀の外の柿一枝/伊藤敬子
紫禁城秋日乳房のごと落つる/皆吉司
七草へ薄刃きらりと城の町/大津京子
紫禁城高野の僧に会ひて涼し/杉本寛
老鶯や八洲見ゆる城櫓/長谷川零餘子
舟虫や鐘を沈めて城ほろぶ/巌谷小波
芋の露城よりひらく越の道/巌谷小波
花ふぶく真只中に城の聳つ/伊藤敬子
花一夜城も一夜に亡びしか/近藤一鴻
花冷えの城の石崖手で叩く/西東三鬼
花火会城の樹木が障るなり/津田清子
二輪草小谷の城はそことのみ/飴山實
俳句例:241句目~
花火散るとき鉢形城現前す/石原八束
草荒れて人なき城の胡蝶哉/正岡子規
草萌ゆる城を載せたる巌かな/日原傳
人住みて門松立てぬ城の門/高浜虚子
菜の花に光る時あり城の鯱/高浜虚子
落日を城の旬とす雪解川/鳥居おさむ
蒲団干すや旭今輝く城の鯱/鈴木花蓑
薪城にあがれる人を蜂襲ふ/高田蝶衣
伊達安芸の城の跡なる葱畑/遠藤梧逸
蘆の花彦根の城は隠れけり/正岡子規
余花明り城ある町の人やさし/杉本寛
修復の城に靄湧く春の雨/福内かすみ
虎杖の自縛悪城の壁聳ゆ/河野多希女
傘突いて仙台城趾梅雨深し/小林康治
蚊柱のごときもの立ち城の空/上村占
蛤やをりをり見ゆる海の城/夏目漱石
蟻も伊賀者城塁を攀ぢ登る/津田清子
行方知れぬ百短冊や城雲忌/野村喜舟
要害の城や小春の旧山河/河東碧梧桐
足場組み城築きゐる雪祭/深見けん二
俳句例:261句目~
冬ぬくし養蜂店を城口に/中戸川朝人
踊りつぐ三十一夜城の燈に/近藤一鴻
道三の城に虹立つ神の留守/長村雄作
郭公や烏城にのこる角櫓/水原秋桜子
冬日和埠頭お城のごとき船/河野静雲
酒保閉て灯戸を漏る城の月/正岡子規
金売城の大手を遠く見て/水原秋桜子
銀の城わが国に生れる言葉/阿部完市
凌霄や海辺の出城石のこり/大島民郎
凩や荷馬ひしめき城に入る/中川四明
雪吊りの百万石の城曇る/阿波野青畝
雪晴や女またせて城登り/鈴鹿野風呂
雲の峰左右に従へ烏城聳つ/渡辺恭子
初烏お城の森にさわぐなり/正岡子規
初荷いま橋越す城を遠景に/岡本圭岳
青胡桃田水加へし城の壕/中戸川朝人
音もなく歩くお方や城の秋/岸本尚毅
顎の汗肩口で拭き城の段/平井さち子
風たちて岡城に秋近しとも/松下義幸
風に跳ぶ蜥蜴城裏は絶壁に/宮坂静生
俳句例:281句目~
風花や思はぬ方に城の松/服部鹿頭矢
香水を匂はせて女城を出る/椎橋清翠
参観の昇降機あり梅雨の城/宮武寒々
古井戸は城の抜穴著莪の花/有本玲子
高知城銃眼にさす冬日かな/森山光子
鯉鮒も青葉につくか城の陰/水田正秀
鳥渡る城ある山のよく見えて/杉本寛
鴨とんで松本城の松手入/越桐三枝子
城あとに指笛吹けり浅き春/脇坂啓子
麦の芽や城水攻めの堤あと/宮崎敏昭
城あとは丹波の真中鳥渡る/茂里正治
黒南風や城に秘蔵の火縄銃/北村妍二
黒南風や城の守護霊鎧抜け/生駒清三
城あるを山人誇る耕しつつ/大野林火
城あれば戦がありぬ蔦紅葉/有馬朗人
城これを見守り人等魂送り/伊藤柏翠
城ちかき山梔子の花凋みたり/中田剛
城ちひさく田楽の串長かりし/森田峠
城といふ姿勢を支へゐる青葉/蔦三郎
城の中秋晴にこそ暗かりし/嶋田一歩