俳句例:101句目~
八重菊も今日九日の匂ひかな/乙由
雨ちかき温泉のけふりや朧月/召波
きのふけふ樗に曇る山路かな/芭蕉
入学に迄あと四日今日も雨/上野泰
若菜摘けふより花の道広し/千代尼
橡の実や谷川ほそしけふの月/鳩枝
借りかけし庵の噂や今日の菊/丈草
今日買んむぐらの宿の雑煮椀/淡々
今日東風大きな羽の先輩/阿部完市
今日よりや書付消さむ笠の露/芭蕉
今日も干す昨日の色の唐辛子/林翔
今日もまた暑し洋種山牛蒡/小島健
今日ばかり人も年寄れ初時雨/芭蕉
院々の古き硯やけふの月/五車反古
今日の空水の音して糸瓜垂れ/原裕
西行忌心に今日の高曇り/赤羽岳王
けふぞ桂地玉の曇人屋の里/云奴子
悴みてけふこの女醜さよ/中杉隆世
五月雨や今日も勘文奉る/高田蝶衣
捨らるる目に度々や今日の月/馬仏
俳句例:121句目~
魂祭けふも焼場のけぶりかな/芭蕉
月こよひ肴は三五十五文/正岡子規
滄海の浪酒臭し今日の月/松尾芭蕉
我こそはけふを生れ日花の春/来山
けふ既に寒皆尽る柳かな/松岡青蘿
蜆舟の今日南なる去ぬ燕/大谷句佛
けふ紅を加へし庭の梅日和/塙告冬
けふ星の賀にあふ花や女郎花/杉風
下町の今日も雨呼ぶ釣忍/水原春郎
今日の別れ心の波に紅葉散る/樗堂
けふできて光り一日苗代田/森澄雄
茶柱に今日を占ふ尊徳忌/滝本文江
鰯雲けふの日附の友の文/木村蕪城
教卓に龍胆けふは無欠席/島津教恵
教卓の竜胆けふは無欠席/島津教恵
けふの日も棒ふり虫よ翌も又/一茶
物かはゝ上京にあり今日の月/嘯山
散髪をする子けふから夏休/森田峠
幌馬車にけふ初めての鰯雲/有働亨
青空や今日も確かな冬芽嵌む/林翔
俳句例:141句目~
笹鳴やけふ開眼の木彫仏/伊東白楊
鳥交る速達便のけふ多く/石川桂郎
美しき松の緑に今日の雨/星野立子
繕ひし籬に今日の海光る/宮崎寒水
琴弾の祠の上や今日の月/寺田寅彦
あらし吹草の中より今日の月/樗良
立砂の鋭く尖り今日の菊/阪本早苗
神鏡の今日の輝き女正月/高木禮子
初蚊遣けふ箸初の浩宮/石田あき子
新藁を存分に厩けふ産屋/池田蝶子
鵯はけふ何の真似霜日和/矢島渚男
白地図に色塗る今日を渡り鳥/耕二
けふの秋死とも聞し人にあふ/暁台
一握の乳房が虜今日滅ぶ/楠本憲吉
玉祭り今日も焼場の煙哉/松尾芭蕉
猟の犬今日伴はず猟名残/水見寿男
緑蔭に眼帯の娘をけふも見し/麦南
はれ~と今日の紋付菊膾/木下洛水
狩の犬今日伴はず猟名残/水見寿男
飛魚を全く吐かず今日の海/森田峠
俳句例:161句目~
頁繰る如く秋晴今日も亦/星野立子
けふの落椿きのふの落椿/倉田紘文
たんぽゝもけふ白頭に暮の春/召波
日本海けふ力抜く四温かな/辻桃子
満々と今日の河あり原爆忌/板津尭
蓑虫の感情の糸けふ長し/藤田湘子
銀行の今日感謝デー花氷/元島八重
けふぞ年箕曲大夫か右り行く/調和
母の日の今日を母さび勤め妻/林翔
郵便夫今日の枯野を私す/栗生純夫
借銭もきのふの淵ぞけふの春/宗鑑
けふ母が来るやうな風青簾/角光雄
此の千代を今日の馳走よ菊枕/季吟
かつまたの池は闇也けふの月/蕪村
梅便り昨日白球便り今日/今坂柳二
水中花けふ一日の水を足す/神蔵器
有風忌花の墨堤今日も風/柳沢一弥
渋柿にけふも暮れ行く烏かな/二柳
蒼海の浪酒臭し今日の月/松尾芭蕉
酒機嫌草にものいふけふの菊/言水
俳句例:181句目~
この旅や今日に指す山桜/尾崎迷堂
けふは凩のはがき一枚/種田山頭火
騒心や波郷忌をけふ旅の果/森澄雄
明日しらぬ雛の栄耀やけふの桃/支考
綿虫やけふ方丈は留守といふ/飴山實
だまつて今日の草鞋穿く/種田山頭火
ぢやんけんに今日の春着の長袂/汀女
縫物の捗るけふの冬雲雀/北村菜々子
一握の雪に封ぜし今日の涙/三好潤子
三伏や毒消売の今日も亦/金子せん女
美しき花のさかりや昨日けふ/ことの
今日ありと思ふ余命の冬桜/中村苑子
春やけふ授かりし子に朝日さす/林翔
今日のみは江戸つ子たらむ初鰹/林翔
今日の命今日の命と法師蝉/佐藤五秀
今日の興泰山木の花にあり/高浜虚子
今日の雲一旦月を放ちけり/後藤夜半
今日の音階天道虫の紋様は/伊丹公子
春蝉忌けふ桜蘂降りしきる/武藤星玲
春袷けふこそ縫はな畳拭く/市川阜実