厨に関連した俳句の例をまとめました。
厨を含む俳句例
春雷や暗き厨の桜鯛/秋櫻子
霧深く立木の径の厨窓/原裕
萍の水栽培を厨にて/高澤良一
犬が来て覗く厨の春の暮/誓子
海は秋燈台を出る厨水/飴山實
新しき俎母の日の厨/羽吹利夫
水瓶に柳散込む厨かな/泉鏡花
人日の厨に暗く独言/巌谷小波
純白の布巾揃へて初厨/芝由紀
炉話に時々応へ厨妻/森本古声
我宿の春又やとや厨の内/達布
水にこゑかけ元日の厨妻/原裕
初夏の厨涼しき蕗の風/中勘助
初鶏や漸く静なる厨/浅井歌村
母の挿す柊低し厨口/岩崎恵一
厨こそ女の砦嫁が君/谷知赫童
厨にて母聞く父の祭笛/林昌華
年送る幾年同じ厨事/松山和子
雁や男もすなる厨事/清水基吉
松飾焚きし煙が厨口/大石悦子
俳句例:21句目~
貧厨の大根膾十三夜/田中冬二
蜩や七輪赤く厨には/尾崎迷堂
葱匂ふ厨へ墨の水とりに/羽公
笹鳴や厨ごとこそ大切に/及川貞
夏霞山にせまりて厨窓/坂口栞女
浄闇の厨の音や嫁が君/池松昌子
蜩や暗しと思ふ厨ごと/中村汀女
乾鮭の切口赤き厨かな/正岡子規
春浅し厨片身の鮭さげて/及川貞
春寒の厨に鳴りし電子音/森武子
秋草を厨厠に頒ち活け/高澤良一
白菜の切口甘き厨かな/河合甲南
啓蟄や光り流るる厨水/内藤吐天
なづな打つ厨は母の俤堂/林昌華
鳥雲に箸すててある厨口/中田剛
客に来て厨手伝ふ夕蛙/永井龍男
凩の時間を炒め厨人/田川飛旅子
凩や厨の棚に柚子一つ/松村蒼石
妻の座は厨に近し冬の月/飴山實
鮟鱇に右往左往の厨妻/阿部底下
俳句例:41句目~
老厨夫夏葱さげて帰船かな/図羅
宿坊の厨に届く凍豆腐/細川螢火
南国忌厨に匂ふ薩摩汁/土田澪子
庖丁も厨もゆだね桜鯛/中村汀女
梧桐の簾代はりや厨窓/工藤順子
青蓼の厨も見えて麻暖簾/泉鏡花
寺涼し松かく音厨より/河野静雲
町なかは藪も厨も雪解水/飴山實
厨なる蕨の上に金指環/前田普羅
置所変る厨の生姜かな/高濱虚子
小鰺焼く妻や厨の片襷/巌谷小波
厨にも味見の客や年忘/坊城中子
厨にも曲り角あり冷蔵庫/宮脇満
厨窓町少し見え寒の雨/吉屋信子
雨十日蛞蝓多き厨かな/滝川愚仏
から鮭の切口赤き厨哉/正岡子規
旅終る厨に葱を乾ばせて/樋笠文
厨のいとま柊さすべし/喜谷六花
蹇が厨を鳴むす寒の内/小林康治
貧厨や川蟹乾く籠の中/木下夕爾
俳句例:61句目~
大寒の厨に歌ふ数へ唄/栗原菊枝
早蕨や蔵王の見える厨窓/星野椿
負ひ真綿して大厨司る/高野素十
衣被一人に馴れし夕厨/浅野賀子
蝶々に厨の窓の掃除かな/原月舟
盗人の厨に入るや夷講/寺田寅彦
蕗を煮る厨の窓に瀧頭/斉藤夏風
新生姜十三娘の厨事/渡辺ふみ夫
法師蝉厨は急ぐ夕支度/吉屋信子
貧厨の光を生ず鱸かな/正岡子規
田ざくらや片眼棲む厨川/巌谷小波
昆布の香厨に残る初昔/秋川ハルミ
パン種の匂へる厨朝の鵙/山田弘子
田が始り厨に裸足朝の妻/大熊輝一
ラブレエに厨三尺夏木立/小池文子
七夕や窓あをあをと閨厨/古舘曹人
物の香の立つや厨の夏隣/巌谷小波
父老いぬ厨の隅の蝮酒/下山田禮子
焼茄子の直火強めて盆厨/高澤良一
日脚のぶ厨片づけ刻あまり/及川貞
俳句例:81句目~
炭へりし俵かたむき厨口/榊原史郎
妻の座の盤石にして初厨/岩田秀夫
新涼や井水をみたす厨桶/石川桂郎
滴りの雌雄の響や夜の厨/西山泊雲
妻癒えず寒の厨の音沈む/小林康治
清流を厨に曳けり盆仕度/伊藤京子
浅漬や厨に月の影しろし/勝田千以
俎板に水走らせて初厨/萩原三重子
冬されの厨に赤き蕪かな/正岡子規
冬ざれの厨に赤き蕪かな/正岡子規
書斎派と厨派のをり油虫/鈴木鷹夫
茎の石厨終生母のもの/古賀まり子
若水の玉なし奔る厨かな/吉川与音
花冷や行厨すみて酒到る/亀井糸游
罵りし声のするどき寒厨/石原舟月
厨灯が晩學の灯三葉芹/石田あき子
鳥雲に仕へて使ふ厨井戸/岡井省二
鰊燃ゆ平凡な日の夕厨/田川飛旅子
かいまみし人の厨や花葵/中村汀女
初松厨に人のたかりけり/籾山柑子