万に関連した俳句の例をまとめました。
万を含む俳句例
万木皆姥桜なり帰り花/工云
球場に万の空席初燕/今井聖
万緑の天地有情や杣男/原裕
暁を万戸に伝ふ薺かな/几董
志貫く万の松の芯/高橋悦男
家書万金に抵るなり凧/龍岡晋
万灯のゆらぐ結界宵弘法/林香
霜の声万の陶俑瞑らず/松本久
甕の濡れ一条黒し万緑下/静塔
万緑や瀬音のふかき峠道/林宏
万緑や泳ぐすがたの病臥身/稚
万緑や木の根の湿り蹠に/原裕
俄なり四万六千日の雨/青山丈
恙無く四万六千日迎ふ/陳恵珍
万緑の宇陀郡ぬけて吉野郡/暮石
寂として万緑の中紙は食ふ/楸邨
万噸の錨鎖に憩ふ都鳥/道川虹洋
冬菫咲く万貫の巌を割り/藤井亘
葉桜の万の囁き夜の椅子/森大暁
花の雨三十万の墓洗ふ/影島智子
俳句例:21句目~
枯葎万の星浴び入坑す/浅川方銭
潮照るや万の莟を崖椿/細川加賀
万日の袋か雪の家見舞/水田正秀
万緑の奥のつめたき水の音/蕗村
万緑の葉先葉先の雨雫/池田澄子
万灯の提灯持はご住職/高澤良一
万緑の分水嶺に人灯す/加藤耕子
種蒔や万古ゆるがず榛名山/鬼城
万灯籠明日を春の底冷す/森澄雄
億万の仏の露の高野山/皿井旭川
大空に万燈の燭花辛夷/佐藤千兵
万灯会果て一山の虫の闇/佐藤藍
億万の春塵となり大仏/長谷川櫂
春かけて旅の万やとし忘れ/惟然
外套の肩が擦れあふ万灯会/林徹
唐梅は万木の中の万戸かな/重頼
酒五合豆腐万丁黒川能/棚山波朗
お万灯心に点る戻り道/高澤良一
金田の静寂万の呼吸音/塩川雄三
万緑や採石山は万の傷/和泉伸好
俳句例:41句目~
億万の民に母あり薺粥/森田智子
露の中万相うごく子の寝息/楸邨
青年に万緑の塵見えず飛ぶ/原裕
万緑や力をこめて鐘をつく/非文
巌万古御滝万古神杉に/河野静雲
江南の万緑釦一つ外す/川崎展宏
方舟で万緑の梢漂わん/中島斌雄
万緑や焔出たがる外竃/後藤房枝
万緑の吉野両断吉野川/右城暮石
万燈は頂の花地に崩す/古舘曹人
万緑に大吊橋の軋む音/山下美典
万緑に磐を配す立石寺/高澤良一
刺青の漢ゆ四万六千日/角川春樹
万緑や野麦峠の工女塚/巾下幸一
万緑の一幹馬首のごと叩く/狩行
万緑の中さやさやと楓あり/青邨
万緑の中に胎動日々強く/合原泉
万緑の中の一山杉の鉾/野澤節子
万緑の中の一点美術館/橋本榮治
万緑や不空羂索観世音/長谷川櫂
俳句例:61句目~
万緑や一舟湖へ網捌く/仁科文男
万緑や旅嚢小さき翁像/松橋幸子
大粒の四万六千日の雨/山口耕堂
山巡る四万六千日行者/真鍋蕗径
一種火万灯籠の百灯す/磯野充伯
梧桐に四万六千日の雨/兼藤/光
軍艦に四万六千日の波/高澤良一
逃したる四万六千日詣/松田美子
邂逅や四万六千日通り/橋本花風
鐘ひゞく四万六千日の風/星野椿
風鈴に四万六千日の風/多田裕計
四万十の春料峭と川堤/田村丘子
万蕾のことごとく露菊畑/岡本眸
矛先を天に万蕾花菖蒲/近藤峻雪
辛夷咲き万蕾いまだ空の塵/林翔
経蔵に万巻眠る今年竹/有馬籌子
万緑や産声を待つ控室/浅見まき子
万灯の届かぬ闇に鹿眠る/山根邦子
花堤万の莚を敷き詰めて/高澤良一
万灯の短くゆけり岬の闇/鈴木ミサ
俳句例:81句目~
万緑や幹の片側波はしり/近藤一鴻
林檎万顆穂高も槍も低く輝る/斌雄
八万の毛穴に滝の風涼し/正岡子規
林檎豊作客間増築万元戸/三浦妃代
万燈や言葉の端の姦しく/古舘曹人
万緑や仏間施錠す飛騨民家/津田渡
万灯を見たる便りや花茗荷/飴山實
千客の万来の松飾りけり/村山葵郷
千悔万悔憎き酒を熱燗に/川崎展宏
千羽鶴万羽吊られて春隣/高橋悦男
万緑の法の高野に献木す/大橋敦子
友二先生夫妻に万の山の蝉/岸田稚
四万六千日夕映に柱あり/藺草慶子
万緑の深さに少年暴走す/吉田裕子
蝉の音の万貫の石負ひにけり/楸邨
万緑の雫身に受く西生寺/浦井文江
落椿万幹の竹まつさをに/橋本鶏二
竹林の裾に闇湧き万燈会/阪本謙二
万緑の中残雪の主峰峙つ/伊東宏晃
長江の千紫万紅春夕焼/松崎鉄之介