俳句例:201句目～
馬車道のアイスクリンの秋日和/鈴木しげを
ラマ僧を乗せて馬車ゆく花野かな/田村了咲
リラの街観光馬車に子等乗りて/福川ふみ子
乗り入れて波をかぶれり昆布馬車/大網信行
馬車駆りて聖土曜日や羅馬さやぐ/小池文子
伊勢路馳る馬車かつ～と初日影/金尾梅の門
馬車駈けてゆきたる月の氷柱かな/山田弘子
傘さして馬車を下りけり薔薇の花/正岡子規
君乗せむかな枯野馬車たびぐらし/田中裕明
夜の橋に馬車もかからず一葉かな/宮武寒々
大根馬車まろき入日を乗せ戻る/岡本まち子
黍の葉に月上りけり遅れ馬車/長谷川零餘子
黒き山に向いて馬車行く夜寒かな/野村泊月
露の野をゆくべき馬車に乗りて待つ/田村了咲
馬車のりばタクシーのりば花の駅/田中松陽子
夏の霧ホテルに着きし赤き馬車/長谷川かな女
便追やアルプス下りて馬車を待つ/青麻やす子
パラソルをさして小さき馬車をよけ/京極杞陽
ハプスブルクの四輪馬車に枯葉舞ふ/仙田洋子
花菜畠ゆくには金ぴか馬車でゆけ/津沢マサ子
俳句例:221句目～
サイダーを積みこんでゐる湖畔馬車/栗原米作
うろくづにまみれし馬車や鰊汲む/池内たけし
紫木蓮アンリ/ルソーの馬車とまる/西岡正保
アカシヤの花に乗り換え砂丘馬車/山口登喜子
枯野馬車日當りてゆくたのしさよ/加倉井秋を
春の日やあの世この世と馬車を駆る/中村苑子
かげろひて波より来たり砂丘馬車/古藤みづ絵
馬車止れば馬車の灯萩を明るうす/大橋櫻坡子
毛糸あめば馬車はもしばし海に沿ひ/木下夕爾
鈴の音は驢馬の曳く馬車サルビヤ緋/竹尾夜畔
翡翠の店へ着いた辻馬車誰も降りぬ/伊丹公子
春のとて馬車腕組みはづし尾行せよ/栗林千津
馬車道を歩きがてらのアイスクリン/高澤良一
鎌倉に馬車の往来やクリスマス/久保田万太郎
日向葵や昼着く汽車に終ひ馬車/長谷川零餘子
旅たのしわが乗る馬車に仔馬つき/五十嵐播水
馬車うらら道をローマヘとりにけり/下村梅子
鐘鳴りて馬車樹がくりにパスハの夜/飯田蛇笏
手綱引く馬車がかぼちゃにもどる闇/対馬康子
馬鈴薯を掘りて積みゆく二頭馬車/鈴木洋々子
俳句例:241句目～
玉蜀黍をもぎをり馬車を乗り入れて/村上杏史
麦の馬車野に置きざりし逢はんとす/萩原麦草
馬車つくや大つごもりの山ホテル/吉岡禅寺洞
馬車になる南瓜の花を聞き分けよ/石井美左於
汽車着けばすぐ出る馬車や水温む/長谷川零餘子
繭売繭籠に倚つて雨の馬車に揺られて/大橋裸木
枯野馬車かなし見てゐて小さくなる/加倉井秋を
楡の実は青きシートの馬車にも降る/加倉井秋を
時雨るゝや馬車走りつゝ灯ともせし/大橋櫻坡子
降るほどの花アカシヤの馬車に乗る/砂田美津子
とて馬車へみんな手を振る文化の日/小倉千賀子
蟷螂は馬車に逃げられし馭者のさま/中村草田男
馬車に乗りし身の揺れ今にさくらどき/栗林千津
馬車窓のべこつくガラスで冬青い海見る/大橋裸木
麦畑雨しとしとと湯治の馬車傾いて走る/大橋裸木
夕日めがけて鞭あぐる馬車はまろびゆく/芹田鳳車
スコールや逃げおくれたるまぐさ馬車/木村要一郎
爐話の嘘をゆるす赤い馬車も出て来い/中塚一碧樓
馬車たまるともなくたまりたんぽぽ黄/久保田万太郎
馬車着きし階の高きや夏館/小川濤美子「和紙明り」
俳句例:261句目～
朝日が呼ぶ海の青さと昆布馬車/大野林火「白幡南町」
辻馬車が来た日とおなじセンチメンタルホテル/伊丹公子
トロ馬車の御者の右手の蝿叩き/富永阿沙「未来図合同句集」
金雀枝黄今日もトレヴイに馬車が待つ/河合由二「三つ茶の實」
春霞あはれさくらのそのよりか靉靆と野をよぎる馬車みつ/下村光男
