時雨/しぐれに関連した俳句の例をまとめました。
時雨/しぐれを含む俳句例
頭巾きて老とよばれん初しぐれ
切株の茸かたまる時雨哉/一茶
何色の暗き一色秋時雨/斎藤玄
塩鮭は親し北方から時雨/雅人
畝襟や時雨もいたく横嵐/尺草
時雨けり衣手の森洗濯屋/調泉
鶯の卯の時雨に高音かな/几董
新田に稗殻煙るしぐれ哉/昌房
時雨にもいと騒々し男松/立独
時雨てや花まで残る槍笠/園女
枯蘆や起て戦ふ一しぐれ/淡々
大根の大根になる時雨哉/尚白
重箱の銭四五文や夕時雨/一茶
笠箱や跡の川音夕しぐれ/調泉
十月の今宵ハしぐれ後の月/蕪村
春時雨清水坂に小買物/麻田椎花
古郷に高い杉あり初しぐれ/荊口
暮て行時雨霜月師走哉/井原西鶴
軒庇秋の時雨を暫しのせ/上野泰
夕日さす波の鯨や片しぐれ/巴人
俳句例:21句目~
蒟蒻の湯気暖かに時雨かな/猿雖
初時雨姫街道の石紅し/有馬朗人
僧堂の鐘一打より夕時雨/星野椿
赤玉の木の実も降や露時雨/一茶
聖堂の森の時雨や夕鴉/寺田寅彦
婿入の宵月ほそし初しぐれ/鉄僧
唯今は十国峠時雨をる/高木晴子
唐人の泪ぞ時雨色じゅくし/丸露
菊の殼色も残さず時雨けり/篠原
竪戸樋の中は旱の時雨かな/士丸
勤めより夜の勤めへ秋時雨/林翔
宵々の砧もうとし初しぐれ/我則
総門の白蛙股時雨けり/高澤良一
再びの春の時雨の板庇/星野立子
くろみ立つ沖の時雨や幾所/丈草
振売の蛤飛ぶや村時雨/幸田露伴
野風吹く室町かしら初時雨/几菫
門前や一本槇の露時雨/松瀬青々
ぼた餅の来べき空也初時雨/一茶
星月夜空にはくれし時雨哉/孤舟
俳句例:41句目~
川添の飴屋油屋時雨けり/泉鏡花
初時雨夕飯買に出たりけり/一茶
寝莚にさつと時雨の明り哉/一茶
定家卿時雨そめけん夏座敷/調和
夕時雨蟇ひそみ音に愁ふ哉/蕪村
朝風の零す旋律露しぐれ/湯川雅
吹かれ~時雨来にけり痩男/一茶
時雨せよ茶壷の口を今切ぞ/一茶
時雨たか今朝は緑の麦門冬/随古
池の鴨森の鴉や夕時雨/寺田寅彦
散るや実花の時雨の山西瓜/調鶴
初しぐれ眉に鳥帽子の雫哉/蕪村
濁流の瀬波頭に秋時雨/福田蓼汀
漉切や鼻の穴もれ行く時雨/調巴
杣の負ふものの雫や霧時雨/忍月
神祀る燈明二つ露時雨/福田蓼汀
蕗の葉に酒飯くるむ時雨哉/一茶
時雨華やぐ釈尊の肋骨/加古宗也
黒島の藷の畑に時雨虹/松藤夏山
初しぐれ誰が雨男雨女/石川桂郎
俳句例:61句目~
時雨ても雫短し天王寺/上島鬼貫
十月や山の寺々時雨月/小杉余子
玄関にて御傘と申時雨哉/炭太祇
旅人と我名よばれん初時雨/芭蕉
旅人と我名呼ばれむ初時雨/芭蕉
凩の地にも落さぬ時雨かな/去来
時雨にぞ一本させた峰の松/立允
信号の青つぎも青夕時雨/清水崑
黒門やかざり手桶の初時雨/一茶
通り行時雨をまねけ青蝦手/重貞
日本と砂へ書きたる時雨哉/一茶
初時雨提をもやして遊けり/一茶
一夜づゝ淋しさ替る時雨哉/巴人
船頭の罵る聲や夕時雨/会津八一
猫拾ひ来て長子立つ露時雨/原裕
新藁の屋根の雫や初しぐれ/許六
早打の先へはれ行しぐれ哉/子曳
時雨宿娘にかます猿轡/筑紫磐井
立臼のぐるりは暗し夕しぐれ/樗良
神輿倉昼も灯す青しぐれ/高澤良一
俳句例:81句目~
枯木から絞り出したる時雨哉/斗文
僧ひとり辛崎へ乗る時雨かな/秋風
内灘や砂塵礫となる時雨/桑田青虎
酒蔵の小窓明りや朝時雨/桐山秀峰
遺言の末尾に花押初時雨/塚本邦雄
御像の鉄より黒し秋時雨/沢木欣一
御漁場の鮎網舟や秋時雨/石川桂郎
業の鳥罠を巡るや村時雨/小林一茶
再会は駅の北口初時雨/岡部名保子
時雨冷覚え高原いゆく旅/松尾緑富
冬近し時雨の雲もここよりぞ/蕪村
心身の心の衰へ秋時雨/長屋せい子
番傘の油の匂ふ初しぐれ/内田白花
うぐひすの忍び歩行や夕時雨/太祇
悲しくも美し松の秋時雨/鈴木花蓑
分校の廃校となる初時雨/河村昌子
車折と駅の名読めて北時雨/澁谷道
片しぐれ幾日つづくぞ小町寺/麦水
おもひやる時雨の中や筏さし/阿誰
綿玉のひそかにはぜる時雨哉/一茶