嘘に関連した俳句の例をまとめました。
嘘を含む俳句例
紫荊嘘で固めた戦して/高澤良一
嘘うそと囁くごとし秋の風/照敏
美しき嘘漆黒の絹扇子/木田千女
花氷女の嘘はもえぎ色/西谷剛周
年の豆妻に嘘ある昔かな/玉越琅々
生涯に嘘いくつ言ふ蛇苺/阿部寿雄
太平洋側は夏空嘘のやう/高澤良一
方便の嘘をつきをり冷奴/白井新一
真実を嘘と身構へ万愚節/山田千代
美しき嘘の舌垂れ花菖蒲/藤岡筑邨
縁日の嘘を楽しむ女とゐ/筑紫磐井
烏瓜税につく嘘相似たり/川畑火川
妻の嘘夫の嘘や漱石忌/阿波野青畝
麦秋や誰もが痒き嘘を持ち/橋田勉
鬼灯や真赤な嘘を吐く女/野村喜舟
嘘をつき通す少年蚊喰鳥/櫛部天思
懐手嘘もほんとも聞き流し/杉本零
貫かん嘘美しく炭火燃ゆ/福本竹峰
豊作や開拓哀史嘘のごと/小路紫峡
見え透いた嘘の辻褄風知草/堀井鶏
俳句例:21句目~
螽焼く爺の話や嘘だらけ/正岡子規
八月の嘘と親しむ甘納豆/坪内稔典
冬ざれや問診票に嘘一つ/藤野延子
初夢を美しとせし嘘少し/嶋田一歩
花氷女の嘘もうつりけり/野村喜舟
朧の夜女正しく嘘を言ふ/河西志帆
小包で半月分の嘘とどく/松原秀行
吊し柿嘘偽りも甘くなる/津田清子
方便の嘘も詫びねば宵閻魔/橋本博
嘘ついて胸に隙間や鰯雲/牧/多恵
春愁の小さき嘘を恨みけり/上村占
天変常なり雪渓嘘つかず/田村/實
形代の嘘いつはりのなき形/矢島久栄
河豚鍋や嘘美しく老いし膝/小林康治
ソムリエに嘘すこしある春灯/松本久
鷽替の嘘を誠に替えにけり/芝田教子
鳥雲に女滅ぼす嘘ひとつ/堀井春一郎
室咲に問ふ何が真なにが嘘/中嶋秀子
髪洗ふ母には嘘がつき易く/齋藤朗笛
寒椿嘘を言ふなら美しく/渡辺八重子
俳句例:41句目~
本当も嘘も葡萄の一粒づつ/荒井良子
香水したたらす軽い軽い嘘/関由起子
亀鳴くや齢の数より嘘の数/石田小坡
風鈴や話に嘘の見えてをり/西嶋明美
連翹や権力と嘘ポケツトに/檜山火山
嘘つける相手が欲しい冬椿/清水鵲木
寒満月本ま顔して嘘を言ひ/影島智子
あどけなき幼なの嘘や金草/権藤千秋
嘘に倦みて青き陶酔が凍る/石原八束
偽りも嘘もまことや西鶴忌/石山佇牛
嘘の無き百寿の顔の暖かし/廣瀬秋紅
妹のオーデコロンのような嘘/曾根毅
四月馬鹿常の話も嘘多く/石川かほる
妻の嘘妻の日傘の中で聴く/市川愁子
冬薔薇嘘の如くに大輪に/波多野爽波
寒紅や美しき嘘うべなえり/大野岬歩
嘘をつき了せざる日の油蝉/杉山岳陽
短日の嘘と知るべき話なり/今泉貞鳳
子の嘘は子の夢岩を縫ふ蛍/成田千空
蛇苺ほどの嘘つく齢かな/長谷川鉄夫
俳句例:61句目~
薬掘る百に一つは嘘まじり/中川秀司
新宿や春月嘘つぽくありて/山元文弥
嘘吐きし舌に薬味の葱ひびく/上村占
同窓会の美しい嘘夏果てる/橋本純子
呑で吐く炭団の嘘や辻手品/会津八一
草餅を食べ芳しき嘘をつく/坊城俊樹
木賊刈る鎌もて斬らむ嘘の舌/林昌華
少年の嘘のにおいの黄落期/対馬康子
嘘吐けば高貴な熱帯の匂ひ/櫂未知子
色恋は嘘がつきもの七日爪/平谷破葉
大年の嘘は申さじ今宵ぎり/菊地三寅
美しき嘘透く夏の羽織かな/野村親二
まことより嘘が愉しや春灯/吉屋信子
また外れ真っ赤な嘘の油照/高澤良一
涅槃会や嘘を月夜となりにけり/蕪村
嘘つくや豆粒程の蚤なりと/星野麦人
あさがほに夜も寐ぬ嘘や番太郎/炭太祇
紫陽花やきのふの誠けふの嘘/正岡子規
うき世とは下戸の嘘也花に酒/正岡子規
紫陽花や七色の嘘聞いてをり/北村一郎
俳句例:81句目~
群れ咲いて二人静といふは嘘/高木晴子
うつくしき嘘は何色梅雨地獄/市川彳水
胸中に嘘あたためて泡立草/青柳志解樹
能因の嘘の日焼の案山子かな/野村喜舟
膝の上の悴む手では嘘は云へぬ/岸田稚
かたくなに泥鰌嫌ひで嘘嫌ひ/中島豊三
かるがると嘘の身をゆく冬霞/橋石和栲
花びら餅美しき嘘聞きゐたり/矢島艶子
そぞろ寒心ならずもつきし嘘/石川幸子
花韮の白さどきまぎ嘘ばかり/小堤香珠
とつぜんに嘘と気づいて薮虱/岡田史乃
草餅や幼なの嘘は口とがり/赤松けい子
葛湯ときつつ嘘おほき齢とも/高田正子
葱刻む妻の背に嘘なかりけり/鳥居露子
蕗を煮て四月一日嘘もなし/田中午次郎
街朧言つてしまへば皆嘘めく/品川鈴子
見えすいた嘘をつるりと心太/武田すみ
見つけたり嘘といはねど失を/筑紫磐井
陽炎や遊女の嘘はたくみにて/尾崎紅葉
まつくろな嘘もあるべし蛇苺/高橋悦男