俳句例:101句目~
気力出て机に秋の水こぼす/鈴木明
毛箒や芒種の机整へん/佐々木六戈
牡丹の花砕けゐし机かな/長谷川櫂
手狭なる机の上の冬日差/高澤良一
初雷や机に寝たる宵の内/角田竹冷
月曜の机の上の牡丹かな/吉野昭子
棕梠団扇丹机青帙白い鬚/会津八一
筮竹に塵なき冬の机かな/正岡子規
林檎箱机に淡き青の日々/攝津幸彦
火鉢あり机の上に鞄あり/京極杞陽
机買ふ算用雪の別れかな/小林康治
机見れば木目波立つ夜寒かな/木歩
机毎香一ちゅうや夏書前/田畑比古
若長が机のうへのざくろかな/蕪村
一尺の梅を座右に置く机/夏目漱石
蓮池を前に夏書の机かな/数藤五城
分校の机高か低く梅の花/鈴木貞雄
机二つ盆梅を隔てゝ話す/正岡子規
机より霧の流れる小学校/高澤晶子
露草の咲き寄せて机かな/黒田杏子
俳句例:121句目~
元日の机辺親しむ心あり/稲畑汀子
兵児帯を探す机辺の冬日沿ひ/原裕
冬籠机辺雑然日々に日々に/上野泰
冴返る机辺整理は喪の如し/安住敦
山吹や筧にうたす糊机/金尾梅の門
分校の七つの机曼珠沙華/江島榮次
地球儀も机辺の一つ春隣/大津希水
服ぬげば机あるすわる/栗林一石路
隙間無く本積む机百間忌/木場瑞子
西瓜喰ふまだ机なき兄妹/小川軽舟
陵守に机一基と栗一と枝/松村蒼石
衰老の机に遠き炬燵かな/会津八一
行秋や机離るる膝がしら/小沢碧童
日記書く机代りに春炬燵/逸見静江
小鳥来て机と移る新校舎/中田勘一
後の月一つ机に姉妹の名/佐藤正大
寒菊や朝日の早き机さき/井上井月
春惜しむ食卓をもて机とし/安住敦
春愁の机古りたる桑づくゑ/及川貞
すゞめ子や机の糊に引れ寄る/嘯山
俳句例:141句目~
笹鳴のちらちら赤き経机/鈴木鷹夫
宵闇の机にあらば随聞記/竹内悦子
行春や朱にそむ青の机掛/飯田蛇笏
めづらしく机に向ふ袷哉/正岡子規
経机秋の白波かぎりなし/友岡子郷
九月尽机の端に手紙かな/高浜虚子
蝉の鳴いて机の日影かな/正岡子規
定年の机拭きあげ九月尽/長谷川進
春昼や祖父の形見の袖机/戸板康二
かんがふる一机の光九月尽/森澄雄
古机新入社員すがらしむ/井沢正江
我が机ひかり憂ふる壁のもと/篠原
春蝉や嫁ぐ机に飴と錐/秋元不死男
亀鳴くや泣く子に机龍之介/仁平勝
啓蟄の足のぶつかる古机/高澤良一
待宵や子が育ちたる古机/橋本佳子
虔みて写仏二日の大机/つじ加代子
落書の四高の机笹子鳴く/山本悦子
子の机鍬形虫の籠を置く/人見幾生
山茶花を机の塵や来山忌/松瀬青々
俳句例:161句目~
黄落の文科や机疵だらけ/平畑静塔
萩散ちるや女机の愚案抄/正岡子規
良夜坐すわが生涯の古机/宇山雁茸
鳥帰るなり整然と椅子机/石田郷子
好もしく低き机や雛の間/高浜虚子
花や咲く筆に机に雲見草/上島鬼貫
馬追や坐り机に灯の死角/山縣輝夫
片付かぬ机辺の俳書宗鑑忌/湯川雅
天牛の机を噛めり敗戦忌/白岩三郎
羅や机にひとつ白き花滝/澤/春吉
旅人に机定まり年暮るゝ/前田普羅
緑さす机の角に蚤殺す/百合山羽公
机にもきこえてきたり薺打/森澄雄
梅雨寒や机の下の膝法帥/西島麦南
筆とらず読まず机に霙さく/上村占
秋黴雨まろべば机のうら寒し/素子
秋風の通ふ机に膝入るる/中村汀女
書机に白玉椿こぼれけり/正岡子規
秋灯下古りし机の幾山河/吉屋信子
入る月の跡は机の四隅哉/松尾芭蕉
俳句例:181句目~
夕焼の机におよぶ初晦日/黒田杏子
秋日濃し燈台守の事務机/棚山波朗
硯箱若葉影さす座机に/小川濤美子
兜虫二匹で占める机かな/田村妙子
元日の勉強机ひとりぼち/一條友子
短夜の机に並ぶ女かな/射場秀太郎
りんだうや机に倚れば東山/岡本眸
夕日の机で旅のたより書く/山頭火
雁啼くや一つ机に兄いもと/安住敦
百取の机つ物に春の地震/攝津幸彦
白菊が机にあがる突然死/高澤良一
夏痩や机の塵の書一巻/島村元句集
白梅や机据ゑたる窓の外/正岡子規
用多き机のメモや日短か/吉屋信子
片隅へ机おしやる蚊帳哉/正岡子規
お机や日想観の紫衣の僧/河野静雲
灯火親し生涯妻に机なし/小林宗一
消しゴムと鉛筆の机蓬餅/瀧井孝作
筆耕の机の塵や日脚伸ぶ/野崎方道
新涼の子規堂小さき机ある/川崎展宏