考え(る)に関連した俳句の例をまとめました。
考え(る)を含む俳句例
大蟻の考へてをる閾かな/泰
考える人の頬杖青嵐/中村星児
考への渦囀に包まるる/保坂リエ
考へ事して橋渡りきる/尾崎放哉
考えて水餅深く沈みけり/高星吐
考へて頷き老婆支線持つ/高島茂
南北を考えている寒卵/永末恵子
寒林や男を離れ考える/高澤晶子
人のこと少し考へ扇風機/内野修
枯蓮考へてゐて目が動く/岸田稚
考える五十七億本の葦/村瀬誠道
老鴬や木が一つ考へる/横溝養三
薺うつ先々のこと考へず/岸田稚
聖樹点滅考へる時間欲し/津田清子
考える肘が冷たい金木犀/布施徳子
考へるふりしてはまた蟇/今瀬剛一
考への鍵をあけたて夕端居/上野泰
考への行止りより黒揚羽/藤田湘子
白桃を啜る間何も考へず/細川加賀
考への断崖にをる端居かな/上野泰
俳句例:21句目~
考えてゐる顔の前吾亦紅/望月皓二
秋の海老人は馬を考える/金子皆子
考へに沈める女月見草/成瀬正とし
考へて申せば咳の伴へり/伊藤白潮
考へて一尺飛べり鴉の子/石塚友二
肉体が考えている秋の暮/池田澄子
暫くを考へてをり蜘蛛の糸/中田剛
籠を出て考へてをり白兎/清水基吉
外套に考えし皺残りけり/恒藤滋生
風光る歩いて考えねばならぬ/原裕
人生を考へる三月となりぬ/皆吉司
木兎の考へ込みし真昼哉/寺田寅彦
枯るる中杖が考へ盲仏/加藤知世子
青栗や猫は尻尾で考へる/中村明子
枯園に考へる人青錆びぬ/沢木欣一
草紅葉踏んで献立考える/中居由美
海をきく顔が考へ冬苺/加藤知世子
考へてをれば蜻蛉交むなり/辻桃子
考えること諦めて熱帯夜/二見宏子
大層に考えずとも春の雪/花谷和子
俳句例:41句目~
椎の花疲れて何も考へぬ/行方克巳
考えこんでいる影も歩く/住宅顕信
道元を考へてゐる裸かな/伊藤白潮
迷ひ箸考へ箸となる夜食/鷹羽狩行
考へてをる水仙ほころひる/山頭火
一口香みじかき戒名考える/穴井太
転業を考へて居り股火鉢/栗原狂山
足を見て考へてをる春の暮/上野泰
考へてゐる学生に春の川/廣瀬直人
蟻地獄死ぬ時の貌考える/寺井谷子
つながれて牛考へる春の暮/桂信子
永遠に考へる人花は葉に/佐伯時子
露の玉考へてをりふるへをり/小澤實
昼めしのことを考へ涅槃像/川崎展宏
晩年を考へてゐる冬木立/中村菊一郎
鵜篝を待つ間よ何を考へし/細見綾子
ががんぼの一肢考へ壁叩く/矢島渚男
栗を出て考へてゐる栗の虫/鈴木鷹夫
校庭に考へてゐる雪だるま/遠藤保資
桜満ち身過ぎ世過ぎは考へず/桂信子
俳句例:61句目~
桜貝ひろひ考へ出稼ぎ女/加藤知世子
止ることばかり考へ風車/後藤比奈夫
死ぬときの顔考えておく汗だ/成島狗
毛皮着て次は情死を考える/鈴木一江
泥葱は考へぶかく貧しかり/栗林千津
灯さずに考へてゐる秋の暮/長谷川櫂
石、蝶が一羽考えている/荻原井泉水
秋風のブ口ンズ像は考へる/嶋田一歩
紙の書に老後の一事考へる/河野南畦
罎の蝮鎌首立てて考へる/小川原嘘帥
考えていると年寄る片時雨/池田澄子
考えている鶏頭の重さなど/久保純夫
龍胆は考へる花やや暗く/小檜山繁子
考えると女で大人去年今年/池田澄子
考へがあつての馬鹿を冷奴/加藤郁乎
一匹は考へごとの毛虫かな/上山洋子
考へてまた炎天を歩き出す/福井貞子
云い訳を考えており夏の雨/伊関葉子
考へてゐるひとところ悴める/岸田稚
今死なば夕菅忌とも考へて/京極杞陽
俳句例:81句目~
考へてをり凍鶴と同じこと/鈴木鷹夫
他のこと考へ枯野逢曳す/堀井春一郎
低く来る蝶の視力を考える/池田澄子
考へて泣いて疲れて秋の暮/森田愛子
考へて考へ抜いて暖かし/後藤比奈夫
先生を考へてをり月の枇杷/斉藤夏風
考へぬことも哲学夏炉燃ゆ/橋本榮治
考へのがらりと変り昼寝覚/柏井季子
冷房の密室にゐて考えごと/高澤良一
出欠を考へ考へ梅を漬け/宇多喜代子
考への何時としもなく懐手/輪湖琴女
考への小は切捨て日向ぼこ/依田明倫
別のこと考へてゐる遠花火/黛まどか
考への遥かより来し負真綿/栗林千津
哲学の道考へる小鳥居て/田畑美穂女
考へはあともどりして日短/松尾静子
考へるさまに傾く雪だるま/大高千代
考へるための夜が来て鉦叩/佐藤麗子
夕焼けて考へる葦そよぐ葦/和田祥子
考へる人か遅日の居眠りか/灘/八朗