俳句例:101句目～
旱星神の水甕手窪ほど/佐藤火星
手ばたきの若き翁や小松引/梅室
四十の手習音に聞く太棹/仁平勝
炭俵昔は深く手を入れし/藤映子
手水水涼しかりしを金火鉢/曲言
元日や鬼ひしぐ手も漆の上/梅室
寒椿落て氷るや手水鉢/正岡子規
手移しの二粒甘し山桜桃/河田青嵐
十二月炎の前に手をかざし/森精一
皺の手を膝に淋しき紙衣かな/許六
皹の妻の手一年長かりし/椎橋清翠
團子もむ皺手耻かし魂祭/正岡子規
水鳥や皇宮警手出で来る/岡本松浜
寺男朝な手古摺る夏落葉/高澤良一
手箒を蛤に編む寒しごと/西本一都
陽炎の中に泳ぐ手一輪車/新井真衣
土蛙浮み紅葉手宗吾生地/香西照雄
十月の路上父の手冷たかり/三谷昭
阪道や吹雪に下る四手駕/正岡子規
皹のこの手生涯自分の手/福田蓼汀
俳句例:121句目～
手を拍つて大満月の牛を追ふ/静塔
手絞りの牛乳温し月見草/猪口義雄
坊幾つ芋茎を干して手向村/神蔵器
ほだはらや浜松が枝の手向草/沾徳
千年の楠に手を当つ初詣/園本穹子
あらためた手は膝に在り更衣/可重
水灌ぐ撫子畑の手桶かな/会津八一
白露や草の中なる手水鉢/西山泊雲
城普請手斧始に参りけり/高田蝶衣
手庇のまだ立ち話鳳仙花/矢橋幸子
白墨の手を洗ひをり星祭/三谷道子
病廊を手押車の新茶売/石田あき子
手庇の中にをさまり蜃気楼/小島健
塩入れし水に手清め注連作/小原渉
畦道や月も上りて大熊手/正岡子規
畑打や池田の鯉を手捕つたり/誓子
手庇の中の紅冬紅葉/阿部みどり女
春泥の手押し車や朝の市/大村康二
墓口に忘れ手桶やお中日/河野静雲
厨の手休めて祈る原爆忌/小谷久子
俳句例:141句目～
男手も女手も足り煤払/高橋淡路女
少年の柏手はらり冬紅葉/木下蘇陽
正門に蕨手模様小鳥来る/加藤耕子
手鏡の光を飛ばし初化粧/小路紫峡
叉手網や鮎の波また男波/斉藤夏風
夏の昼酒呑み地蔵頭に手/和知喜八
生涯の手押車や瓜を売る/有馬朗人
教会の辻に落葉の手風琴/加藤耕子
鏡餅割る手力を妻に見せ/野中春艸
瓢箪は手作なるべし鉢たたき/桃隣
鋸に炭切る妹の手ぞ黒き/正岡子規
玉のせるかに春眠の童の手/上野泰
夏影や松の下なる手水鉢/清原枴童
森閑と手斧の痕に昼の月/和田悟朗
手を振れば臍出る童葡萄熟れ/林翔
献立の手抜問はれし花疲/岡田順子
猫の手も江戸拵へや夏ごろも/李由
棟梁の一喝手斧始めかな/兼安昭子
手袋を忘れし人を追ふ手かな/林翔
梳初や油光りの手馴櫛/高橋淡路女
俳句例:161句目～
古妻の手桶重げに百合花/石井露月
手甲かけ女の軍春菜負ふ/古舘曹人
山の駅客の手も借り松飾る/河野靖
古庭の柳散りけり手水鉢/正岡子規
山吹に手鍋洗ふや恋女房/寺田寅彦
手習のまつくろ草紙山眠る/龍岡晋
台風過療者は胸に手を遣し/齋藤玄
山吹や花豌豆の手柴越し/滝井孝作
父母や掌重りのせし仏手柑/森澄雄
父の手を離さぬ幼女秋の海/西尾一
金物にきはる手もとや神楽姫/徐寅
手習の師を車座や花の児/服部嵐雪
熱気球来る鏡の中の手鏡に/須藤徹
熊楠の汗の手写本堆し/土永竜仙子
岩におく手提の刺繍南風/安永典生
焚て又手向となれや枯尾花/沾峨/
湖渡る手草にしをり蓼の花/森澄雄
和装冷し手鏡に谷映さんと/竹中宏
釈迦銭やねはんに帰る手向種/才丸
渋柿はおのが手染めか村紅葉/宗鑑
俳句例:181句目～
淡雪や手量りに売る市の雑/中西暸
手習ひは良寛の歌月の雨/松井トシ
岸行くや雫も切らず四手網/泉鏡花
手を洗ふ冬の泉に小鳥影/田村一翠
春泥に手押車の鳩かた～/横山房子
桃活けて翁と媼手を膝に/川崎展宏
峰入や百の行者の手錫杖/宮下ゆう
喨々先生完市先生佛手柑/黒田杏子
春水を手提げて重しを含む/草田男
手鏡をはみ出て風の秋桜/澤村昭代
島原や媼麦踏む祈りの手/水原春郎
手折々蠅に動かし盲ひ僧/河野静雲
浜小屋に残る手鏡磯開き/畑中次郎
よみ歌をひそかに星の手向哉/几董
流灯を手波で闇へ送り出す/滝佳杖
手秤りの寒鰤の潮雫かな/友岡子郷
遠く鋤く人の手力みえにけり/蒼石
道志みち蛍袋を手囲ひに/伊藤白潮
追に十夜籠りや遣リ手迄/炭太祇
わが行手占ふ如く桐一葉/尾崎陽堂
