麻(織物)に関連した俳句の例をまとめました。
麻(織物)を含む俳句例
水明り焔明りの麻畠/広瀬直人
撫子の池は落さじ麻地酒/史邦
索道の石炭落す麻畠/山口誓子
山陰や一村暮るゝ麻畠/藤野古白
山畑に麻の花澄む颱風季/有働亨
種麻やぐるりに残る焼け畠/浪化
稲妻や裏葉萋たる麻畑/会津八一
青嶺垣麻八尺の丈そろふ/及川貞
釣忍むかし産着の麻模様/辻直美
大寺に麻の衣の僧一人/後藤夜半
やね葺きの額白しや麻頭巾/寿仙
裸身に麻の匂ひやすまひ取/許六
青蓼の厨も見えて麻暖簾/泉鏡花
馬追の柱越えゆく麻袴/桂樟蹊子
麻二寸雀かくれの新樹かな/野径
山麓は麻播く日なり蕨餅/田中冬二
十歩して夕焼さめし麻畠/野沢節子
かさこそと蝗浪うつ麻袋/細谷鳩舎
放牛に虹を二重の青麻山/渡辺古鏡
御命講や紙子のうへの麻ばかま/奚
俳句例:21句目~
大小の穴のまはりの麻袋/各務耐子
下京の一客となる麻衾/上野さち子
石垣を朝の日おりる麻畠/岡井省二
俤は麻の背広を着て歩む/長谷川櫂
夏近き近江の空や麻の雨/村上鬼城
軍服に似し麻服や一教師/岩田由美
干麻に汗の笠抛げ縁昼寝/西本一都
家照つてゐる六月の麻畑/岡井省二
朝市や漆一字の麻のれん/八井悦子
人麿忌真麻に小楢に東歌/西本一都
一日着て麻服に皺松の風/長谷川櫂
稲妻や桑麻の里の浴み時/松瀬青々
蓖麻の実をしぼり出す涙かな/山店
明易き人の出入や麻暖簾/前田普羅
風花の野沢温泉麻釜かな/浅野節子
苧麻の花外周に妙喜庵/木下弥寿子
麻がらの杖草履手向ん瓜の皮/洞雨
麻蒔くや蓬に癖の付かぬうち/暁雨
麻の皮楮を剥くと異ならず/森田峠
麻ひめのをしへ成らん貸小袖/暁台
俳句例:41句目~
麻を蒔く畑深打に熔岩浮び/久保武
巫女の髪麻で束ねて更衣/永岡好友
麻咲いて坊主頭の子に朝日/小澤實
麻服のおのが白さに眩み行く/篠原
麻村や家をへだつる水ぐるま/其角
麻畠金剛の嶮ここに尽く/福田蓼汀
麻紡ぐ工女に笹舟流す暇/西本一都
麻臥して風筋とをす小家かな/斜嶺
向ひ山麻刈る音のとどきけり/及川貞
折りて来し椿とりだす麻袋/長谷川櫂
指し数ふ麻座布団の昼の席/北野平八
撫子の泄れは落さじ麻地酒/中村史邦
敗戦の嘗て其日の蓖麻の花/三橋敏雄
いつせいに亀投身す麻嵐/鳥居美智子
斎館や谷の底まで升麻咲き/手塚美佐
浙江の潮観に行かず麻を刈る/森田峠
菎麻を倒して仔馬耳振れる/松藤夏山
炎天に鹿沼麻緑蔭に鹿沼土/西本一都
星赤し人無き路の麻の丈/芥川龍之介
土曜日の白靴を抱き麻工女/西本一都
俳句例:61句目~
晩年や夜明けの胸の麻ぶとん/西宇内
種麻につく群雀や出水原/金尾梅の門
夏山ヤ岩アラハレテ乱麻皴/正岡子規
杜涼し幣に結びし麻一筋/伊藤いと子
苧麻知らず東海道の一筋も/高澤良一
胸先に風遊ばする麻を着て/青野きみ
夏引その乱れや二十八天下/正岡子規
燕に麻の葉模様かぎりなし/西本一都
油売麻蒔き居れば来るなり/松瀬青々
ちからなや麻刈るあとの秋の風/越人
郡家の東百五十歩の麻畠/廣江八重櫻
夜嵐の嬉しき麻の茂りかな/赤木格堂
一宿して立去る君や麻頭巾/石井露月
一本の竹麻一夏の花として/池田歌子
鳴子引日に五匁の麻をうむ/寺田寅彦
麻から売帰る足にて安く候/椎本才麿
形見て鰻焼く待つ麻のれん/石川桂郎
麻がらを門々売って歩きゐし/岡はる
一村は麻より低き家ばかり/石井露月
麻の中月の白さに送りけり/高浜虚子
俳句例:81句目~
麻頭巾蓮見にまかる小船かな/召/波
行水に星生む麻の風湧けり/大竹孤悠
麻の葉にゆるゆるとくる祝心/上村占
妻の座の束縛もなし麻の帯/三好潤子
麻まくや湖へ傾く四五ヶ村/永田青嵐
麻を着て麻地の鞄形見めく/黒田杏子
下野や麻刈りすみし魂迎へ/印旛/涌
姫君の麻一つ身に紋寂びぬ/都筑智子
麻刈って谿さっぱりと水の音/及川貞
麻刈の毛脛濡らすよ夏の露/梅本塵山
麻刈られ土の軟弱日に晒す/野澤節子
麻だすきして昼寝子よ秋祭/富田木歩
寒天を冷やす平穏麻そよぐ/中山純子
麻月夜みちに川水溢れつつ/西村公鳳
何か言ひかけ先に行く麻畑/福井啓子
麻服の皺つよく敵多かりし/菅原鬨也
麻服の臀は皺をたくはへぬ/大石悦子
麻服の風の乾きも他郷なる/橋本榮治
例幣使街道麻を刈つてをり/西本一都
麻畑に行々子鳴て黄昏るゝ/寺田寅彦