俳句例:101句目~
我庵は汽車の夜嵐時鳥/正岡子規
我庵や萩に飯櫃松に竿/正岡子規
我形の哀に見ゆる枯野かな/智月
我影の皆になるまで月見哉/二貞
我影や廣重流の道中畫/正岡子規
梅さげた我に師走の人通り/蕪村
我心或時軽し罌粟の花/高浜虚子
我思ふ人の姿よ花卯木/正岡子規
我恋の松嶋も嘸はつ霞/井原西鶴
我恋は婆になりたる十夜哉/蓼太
空青し我も我もと仏の座/赤松勝
我旅の遠々しさよ古暦/石井露月
我昔揚屋に年を忘れける/左衛門
水仙の吾を肯へり熟睡せむ/波郷
母となる吾母と居て冬隣/大高翔
我泪見て妻笑ふ終戦日/岩脇五風
我病で桜に思ふ事多し/正岡子規
頼みけり我誓願寺郭公/井原西鶴
炎帝の怒りに我の髪乱れ/上野泰
我病んで鶯を待つ西枕/正岡子規
俳句例:121句目~
我祖師も舟橋おがむ秋の水/鬼貫
我箸も苧殻に数へ紛れけり/乙二
我肌にほのと生死や更衣/原石鼎
鎮花祭我句の力短くも/岡野知十
兄自殺母水死吾夢遍路/星野石雀
我術の空中樓閣置巨燵/正岡子規
朝鵙や吾健康の顔洗ふ/羽村佳川
我足にまけな朽木の蜒/正岡子規
我門へ来さうにしたり配餅/一茶
夏籠の我をにらむか蟇/正岡子規
秋風や我一枚の干浴衣/遠藤梧逸
蛎むきや我には見えぬ水鏡/其角
佇むや吾も色なき風の中/小川恵
我頭程の瓢を作り見ん/寺田寅彦
月の幻月の幻吾を捉ふ/京極杞陽
我魂と人や見るらめ鵜の篝/賜馬
振上げた我手眺めつ秋の蝿/桃李
提灯に我影さむし寒詣/田中王城
敵眠り我眠り戦場に月/片山桃史
天地にす枯れ葵と我痩せぬ/篠原
俳句例:141句目~
神寂や秋蝉我にいしばりす/麦水
蝿叩とり彼一打我一打/高濱虚子
旅人の我から潜る花樗/前田普羅
起承転我還暦や初詣/岩田沙悟浄
蠣むきや我には見えぬ水鏡/其角
出勤す我に妻はや筵織り/前田六霞
犬白息我も白息朝駆けて/菅井康次
鰒喰ひし我にもあらぬ雑煮哉/太祇
門の雁我帰つてもねめつける/一茶
吾もいただく献上の冷奴/大橋綸子
負真綿落して歩く我は老/高浜虚子
鰒喰し我にもあらぬ雑煮哉/炭太祇
吾が車大内山へ霞かな/松根東洋城
椨も又我あり顔に桜どき/高澤良一
彳めば我も冬木と異らず/福田蓼汀
宗吾堂泰山木の花かかぐ/小林洋子
初風呂に我もこみ合ふ一人哉/初子
雑炊をよろこぶ我は戦中派/森田峠
此夏を我と達磨の寒さ哉/正岡子規
此夏を達磨と我の寒さ哉/正岡子規
俳句例:161句目~
秋山やこの道遠き雲と我/飯田蛇笏
馬鈴薯の花の紫忘我とは/児玉悦子
死神は下戸かも我は年酒くむ/林翔
夷講我れ料理してしらぬかほ/曲翠
珍しと我影さへや窓の月/上島鬼貫
龍膽の色のうちなる吾は音楽/林桂
笠の蝿我より先へかけ入りぬ/一茶
如意渡し船待つ我と十夜僧/蔵巨水
贋作の我かもしれぬ初鏡/有馬英子
吾妹子を客に口切る夕哉/夏目漱石
吾妹子や白水漑ぐ鳳仙花/野村喜舟
山霧に幹の如くに我は濡れ/上野泰
糸瓜忌や我本領は老書生/遠藤梧逸
秋晴の岬や我れと松一つ/渡辺水巴
吾にまだ長き人生年暮るゝ/藤丹青
鶯や我に親しき母の客/深見けん二
古郷は我を見る也うすがすみ/一茶
川蟹の渡る世界に我一人/山内崇弘
秋雨や我に施す我の在る/永田耕衣
輪飾や我は借家の第一号/内藤鳴雪
俳句例:181句目~
汝と我の間の月見草ひらく/上野泰
恋やあらぬ我や昔の朧月/正岡子規
秋風にこの形ゆえ我は人/池田澄子
鶯や我かげうつす手水鉢/正岡子規
汽車に驚く鴨におどろく旅人の我れ
天鵞や吾が唇を欲る楽器/阿部娘子
君も我も明治の生れ初詣/星野立子
天に凧地に吾ひとり夕茜/中嶋秀夫
鶯や垣をへだてゝ君と我/正岡子規
鵯は花食ひをり我は煎餅を/森澄雄
河豚汁や豪傑我と汝のみ/福田井村
彼一語我一語秋深みかも/高濱虚子
吾が舟も鯛網舟も波高し/宇川紫鳥
鳳梨を買ふ吾も亦船の客/荒木宗平
恬淡かはた貪慾か鵙と我/栗生純夫
吾ヲ啖フ勿レ晩白柚曰ク/坂本宮尾
鳥も巣を急げり吾に旅鞄/島谷征良
吾を起すなり郭公と末娘/堀口星眠
吾を恃む道百年の残雪に/古舘曹人
起重機の旋廻我も蒼穹もなく/篠原