鏡を使用した俳句

俳句例:101句目~

夏鏡女医の鞄に盲いたり/渋谷道

夏の雨鏡の中を騒然と/菖蒲あや

春昼や廊下に暗き大鏡/高浜虚子

鏡中に昭和果てたる床柱/桂信子

春日影音も香もなき鏡かな/越人

鏡面に花鏡中に花の山/岡井省二

出女や水鏡見るところてん/木導

髪梳くや鏡の中の秋の風/有働亨

鶏頭と鏡の中の乳房かな/今井聖

春夕焼向ひの家の鏡見ゆ/岡本眸

明日嫁ぐ鏡大きく雁渡し/石寒太

初冬の海を鏡に子の読書/原和子

朝起の鏡に寒し梨の花/正岡子規

旅芝居穂麥がもとの鏡たて/蕪村

初鏡手話試みて教師たり/浜明史

吊鏡髯の男をひきよせる/東条団

桃の花鏡は知らぬ姿哉/正岡子規

とびの長き飛翔や鏡浦/高井北杜

ない影はうつらで寒き鏡哉/木因

はぐれ猿来て炎天の鏡立つ/原裕

俳句例:121句目~

散髪の鏡を過る麦藁帽/貞森/喬

わが庵の鏡ひらけよ鼠ども/蝶夢

父母がありて倖せ初鏡/高木晴子

庭傾き映れる鏡青簾/阿波野青畝

枯葎茫々道鏡墳とのみ/北城昌房

初飛行大宍道湖の鏡凪/金森柑子

スイートの大きな鏡更衣/星野椿

山荘の鏡に移る秋の雲/松本澄江

大年の我顔惜む鏡かな/大谷句仏

大鏡我が総身と白鳥と/有馬朗人

炭うりに鏡見せたる女かな/蕪村

炭焼の女の小さき掛鏡/赤木範子

炭焼の妻のちひさき鏡かな/船山

枯芝と枯蔓映りゐる鏡/京極杞陽

照紅葉風の祓ひし鏡池/関森勝夫

牧開汚れ鏡に笑顔ある/四ツ谷龍

玄関に大きな鏡室の花/山田閏子

男にも涙ぶくろや冬鏡/奈良文夫

畳踏む大足うつす梅雨鏡/桂信子

白藤の垣間明りに朝鏡/石原舟月

俳句例:141句目~

短夜や湖山閣上の大鏡/野村泊月

短夜や鏡の下の火取虫/北原白秋

石垣に鏡の破片蚕飼村/飯田龍太

秋暑し鏡少なき工学部/市川結子

秋深し鏡に映る女の奥/高橋妙子

凧高し鏡が浦は真ッ平/子規句集

秋雨や鏡は曇る青和幣/正岡子規

秋風に咲く山吹や鏡立/渡辺水巴

秋風や顔虐げて立て鏡/飯田蛇笏

朧夜や越路にかへる鏡磨/大江丸

稍寒の鏡もなくに櫛る/夏目漱石

稲光り走る鏡の暗き中/三好潤子

立鏡いくつもありて夏館/桂信子

笹酢や次の間赤き鏡掛/西宮陽子

耕せり大秋天を鏡とし/西東三鬼

炭焼の小屋の柱の懸鏡/清崎敏郎

船酔の鏡覗きぬ木下闇/宮武寒々

芋の露野守の鏡何ならん/炭太祇

菅笠を着て鏡見る茶摘かな/支考

水鏡して炎天はいづこにも/原裕

俳句例:161句目~

蝮草人の居ぬ日の鏡の間/桂信子

行春を鏡にうらむ一人かな/成美

西海の浦の鏡や光琳忌/石田波郷

橙朱欒鏡のなかの橙朱欒/小澤實

起~の鏡するどしけさの秋/几董

鏡には今が映れり更衣/喜岡圭子

鏡閉づ鏡の奥へ雪女郎/木内怜子

陽炎や老眼くもる鏡研/幸田露伴

雪嶺の青く震ひぬ夜の鏡/桂信子

雪渓を天の鏡に開田村/野澤節子

露に雲蓬つむ野の朝鏡/上島鬼貫

青梅や誰か盗みて鏡篋/松瀬青々

顔といふ凹凸の有り春鏡/乾澄江

風や秋鏡のなかの帽子掛/桂信子

風花や鏡の奥に子供の手/皆吉司

白紙に拭ひて船の初鏡/宮武寒々

鳥帰る合せ鏡の湖と空/藤本末尾

鳳仙花葬の鉦に置く鏡/宮武寒々

初鏡化粧ふ娘に育ちけり/岡安仁義

寝化粧の鏡掠めぬ灯取虫/宮武寒々

俳句例:181句目~

桃の花鏡を知らぬ娘かな/正岡子規

眉を引く鏡の中へ猟銃音/平林恵子

人の汗見る鏡中の街角で/対馬康子

初鏡男の鼻毛伸びやすし/坂井春青

写し見る鏡中の人吾寒し/正岡子規

初鏡盲とならば清からむ/木村えつ

柿若葉鏡の前を風とほる/池田秀水

家成りて春の白壁鏡なす/高橋克城

初能の鏡の間より調べ笛/岩崎眉乃

初鏡閨累々と横たはり/波多野爽波

初鏡闇累々と横たはり/阿波野青畝

八咫鏡梟に皺ありにけり/各務耐子

空梅雨の鏡中占むる顔かたち/原裕

いちはやく秋夕焼の水鏡/東野昭子

涼しけに横日匂へり夕鏡/尾崎紅葉

口下手の夫の一言初鏡/早乙女成子

夏めくや合せ鏡に走る虹/久米正雄

夏草のひとり花ゆれ水鏡/上島鬼貫

海棠に鏡立てたる化粧哉/正岡子規

八月の鏡に映り不和の家/森田智子