母に関連した俳句の例をまとめました。
母を含む俳句例
玉椿八十八の母の息/桂信子
霧の奥より母の声谿の声/裕
鏡餅母在して猶父戀し/暁台
強清水母は一日影育て/原裕
木枯や母の紅衣が嬰包み/林翔
九十の母の喜び冬桜/高木晴子
鳥追や背中で母を呼子鳥/元夢
父島と母島結ぶ春の海/石寒太
兜虫母は兜が嫌ひなる/楠節子
人影の眼元は母の女武者/林翔
湿苔の花の鬱々母匂ふ/石寒太
父の唄母の舞澄む雪の山/原裕
望月を光背母の遅帰り/楠節子
空蝉の中も夕映母の国/今井聖
母の挿す柊低し厨口/岩崎恵一
飯強し母の着給ふ白絣/桂信子
父へ詣母へ買ひきし桜餅/原裕
更衣遺影の母はいつも縞/林翔
磐梯に峰雲の照り母働く/原裕
母一人子一人の冬門に牛/原裕
俳句例:21句目~
鳳梨や恋越といふ母の郷/林桂
更衣母の形見の鯨尺/辻村照子
初茜母の竃火地に展く/竹中宏
雨蛙母の通ひし寺を訪ふ/原裕
十五夜や母の薬の酒二合/木歩
卯花も母なき宿ぞ冷じき/芭蕉
厨にて母聞く父の祭笛/林昌華
風車母に渡せば又廻る/多賀子
同座して老母も屠蘇の小杯/衛
送火や母が心に幾佛/高濱虚子
母長寿たれ家裾に冬の草/林火
母こひし夕山櫻峰の松/泉鏡花
藪入や古びし母の姿見に/霽月
姉母似妹母似鳳仙花/坊城俊樹
蕪白し順縁に母送らねば/秩父
落日の母恋唄や棗もぐ/住素蛾
母の背へ庭木春色漂はす/原裕
少年に母の面影白絣/長谷川櫂
母病みて桜紅葉の遠き嶺/原裕
年々の妻の母なり青楓/小島健
俳句例:41句目~
母に似て一線を縫ふ夏鴎/原裕
紅梅や母の文箱に父の文/原裕
八十の母が出歩く寒桜/外川飼虎
かがみ餅母在して猶父恋し/暁台
母何か叫びしごとし霜の家/原裕
もてなしの白飯も母心/高野素十
梅に瞠く薄明の母の眸か/桂信子
朝顔や母の手ずれの舞扇/森孝子
母も吹く鶯笛や旅の春/岸風三楼
短かめに母の散髪柿若葉/林和子
瞬ける失語の母や冬旱/堀口星眠
畑歩く二月の鴉母衰ふ/服部一彦
梅の夜や誄詞は母称へ/荒井正隆
梟や米櫃に母米満たす/榎本好宏
風にのる母と麓の梅祭/宮坂静生
父五十年忌の母に菊枕/茂恵一郎
空耳に母の声あり吾亦紅/和田登
栗拾ふ天地に母の老い深し/原裕
母いまも竹の物差春隣/友岡子郷
病窓の一つは母の春灯/鈴木昌江
俳句例:61句目~
探梅の母を伴ふ一青年/三橋鷹女
白米を一升母へ盆帰り/沢木欣一
黒葡萄童は母の倍も酸し/楠節子
炎帝に母二人来て帯祝/都筑智子
生家には諭吉が母の砧槌/森田峠
今生の母今生の夕桜/西嶋あさ子
秋彼岸母の遺せし鯨尺/藤井達男
父も母も妻も仏や新小豆/森澄雄
棚経や水の如くに母在す/山川子
黄落や子と母に毬弾みをり/沢聰
父の命母の命や震災忌/京極杞陽
撫肩の母夢に来よ宝船/松本美簾
八十の母の音楽豆砧/成田智世子
木枯しや母の紅衣が嬰包み/林翔
正月も母なき宿ぞ物さびし/蝶夢
上弦の月母と犬我と犬/岩瀬弓彩
故郷の母と姉との初便/高浜虚子
魂祭先導をする母の鉦/大石英子
母の忌の花屋の桃の固蕾/岸田稚
仏名の母と会ふなる髢草/角光雄
俳句例:81句目~
七十の母の煮炊の蜆汁/柳沢洸洋
麦飯や母にたかせて仏生会/其角
七夕の竹を貰ひに母の家/上野泰
皸をかくして母の夜伽かな/一茶
馬追の障子一重に母の影/長田等
鷺草や家の奥より母の声/関一路
梅若忌哀しき母の舞を舞ふ/篠原
母に娘に十一月の花鋏/菅原鬨也
皸や母の看護の二十年/正岡子規
元日の日向の母に鶏集まる/直人
橙や母が手織の絣欲し/石田波郷
灌仏や桐咲くそらに母夫人/鏡花
母に客我にも客や冬籠/星野立子
兄自殺母水死吾夢遍路/星野石雀
病よき老母が甘ゆ忘れ雪/岸田稚
母人や病をおして魂祭/清原枴童
青蛙母の精根つきざるや/原田喬
鰻焼き一筋の母赤褐色/青木節子
時鳥母喪ひし人に啼く/山田弘子
文旦の皮の厚さよ母の恩/早崎明